イタリア中部の島で、13日、4200人余りが乗った大型のクルーズ船が座礁して、3人の死亡が確認された事故で、現地の日本大使館によりますと、乗船していた43人の日本人については、全員の無事が確認されたということです。
イタリア中部のトスカーナ州沖で、13日、大型クルーズ船「コスタ・コンコルディア」が島の近くの浅瀬に乗り上げて、巨大な船体が横倒しになりました。クルーズ船には乗客・乗員合わせて4200人余りが乗っていて、現地の海上警備隊が救助に当たりましたが、これまでに3人の死亡が確認されました。さらに、所在が確認できていない乗客などがおよそ40人いるという情報もあり、海上警備隊では、船に取り残された人がいないかどうか捜索を続けています。ローマの日本大使館によりますと、日本人も、団体客など43人が乗船していましたが、全員の無事が確認されたということで、乗客の多くはすでにローマに移動しているということです。船が座礁したとき、船内はちょうど夕食の時間帯で、多くの乗客はホールにいたということで、避難した乗客は、突然、大きな衝撃音が聞こえて、船が激しく動くとともに、停電が起きたと話しています。当時、乗客に対する適切な誘導がなく、甲板では乗客たちが大勢、救命ボートに殺到するなど、パニック状態になっていたということです。船が座礁した原因は明らかになっていませんが、船会社の社長は、「船が大きな岩にぶつかったあと、航行できなくなった」と話していて、検察当局は船長の身柄を拘束して捜査を進めています。「コスタ・コンコルディア」は、1500の客室やさまざまな娯楽施設を備えた大型の豪華客船で、イタリア中部のチビタベッキアを出港し、およそ1週間をかけて地中海を巡ることになっていました。
事故に遭ったクルーズ船から救助され、ローマ市内のホテルに到着したアメリカ人の女性は、「船の上で指示がなく、どこに行けばいいのか分からなかった。救助用のボートに乗ろうとしても、満員の状態で、5回目でようやく乗ることができた。ボートに乗れていない人もいた」と、混乱した救助の状況を話していました。また、南アフリカの男性は、「自分たちの足元にまで水がきていたので、妻と一緒に海に飛び降りて、岸まで泳いだ。泳いでいる間は、船が倒れてこないか心配で、できるだけ遠くに行こうと思った。妻に声をかけながら泳ぎ、岩場をよじ登った。100人くらいは海に飛び込んでいたと思う」と話していました。
また、無事に救助された日本人の団体旅行客の多くは、ローマ市内のホテルに滞在しています。このうち女性の1人は、「日本人の団体客は、みんなで団結していた。タイタニック号のようだった」と涙ながらに話していました。また、男性の1人は「ぶつかったとき、グラっときて、ガタンという大きな音がした。船が傾いて、立っていられなかった。スーと滑ってしまう感じだった。とにかく怖かった」と、疲れた様子で話していました。