三菱UFJ証券の件に思う
テーマ:ブログ4/8 に明らかになった三菱UFJ証券の件で、翌9日に、1千件を超える問い合わせの電話が同社にあったそうである(三菱UFJ証券に1千件超す問い合わせ 情報漏えい問題 )。有名企業のブランド・信頼感も、ただ一人の社員の浅はかな行いにより簡単に失墜するという恐ろしさを改めて感じた。
三菱UFJ証券には知り合いが何人もいて、この不祥事は私としても痛恨の極みである。社員の行いは「会社」の行いであり、当然会社が批判の対象になるのだが、正直な話、大多数の同社社員に対しては同情を禁じえない。同社の話ではないが、三菱東京UFJ銀行で利用されているシステムに感銘を受けたのでなおさらである。
【高レベルな三菱東京UFJ銀行のシステムの個人情報保護】
最近、私は三菱東京UFJ銀行に電話して登録住所の変更を行ったが、その個人情報保護の方式も見事なものであった。個人情報を変更するには「本人確認」が必要である。その段階になると電話を受けたオペレーターから「コンピューター音声へ通話が切り替えられ、現在記載されている通帳残高や生年月日等、通帳を持っている本人以外は知りえない情報を直接コンピューターに入力することが求められる。その間のやりとりはオペレータからは遮断され、その本人確認情報は一切電話オペレーターには通知されない。オペレーターには本人確認が完了したか、失敗したかだけが伝わり、成功しない限り情報修正ができないようになっていた。立派なシステムであり、現在の最高レベルだと思う。
しかし、そのような企業風土の中でも今回の事件は起きた。
【情報漏えい対策の難しさ】
情報漏えいの分類として、「部外者からの防御」、「内部者からの防御」という切り口がある。このうち、「内部者からの防御」を行うことは、前者に比べてはるかに難しい。部外者に対しては一般的なシステムセキュリティーにより、重要なデータに到達できないようにしてしまえば良い。しかし、内部者は一概にそれができない。日々の業務はデータにアクセスできて成り立つものであるからである。
通常、社員に対しても重要なデータにアクセスできる対象者を絞り、不必要なアクセス権を一般社員に開放しないようにしてリスクの低減を図るが、今回の件はシステムの部長が関与している。通常のこのクラスの人物は社内システムに強力なアクセス権を持っており、重要データを簡単に入手できる立場の人物である。このように内部者による犯行は、外部者による犯行とは別次元の防御対策が必要となってくる。
最近叫ばれているのは、「ログ」管理である。守りたい情報に関しては、そのアクセスログを完全に取得し、その保存を徹底することで悪意を持った情報の取得を抑止しようというものである。ただ、今回の件で新たに判明した事実は、そのシステムの部長が「他人のID、パスワードで情報を入手していた 」ということである。今回の件、ID、パスワード管理に対する課題も含まれ、情報漏えい対策の奥の深さ、考慮すべき範囲の広さを強く認識した。
【会社の規模の功罪】
情報漏えい対策について、当社のように社員数が少ない小企業において、ある意味有利な点がある。それは「社員全員の顔がお互い見えている」ということである。当社においては、社員が全員いつも半径「数(!)メートル」以内に位置し、常日頃からお互いの動きを認識しながら、会話をしながら業務をしている。また、(私が知りうる限り)みんな仲が良い。この状況は、ある意味大きな情報漏えいに対する抑止効果となっている。
悪いことをすると知り合いに迷惑が降りかかる。昭和初期の頃まで日本の治安が高く、犯罪発生率が低く抑えられてきた背景が現在の当社には当てはまっている。
情報漏えい対策については、当社もできる限りの対策を行い、その結果プライバシーマークも取得しているが、社員に対して性善説を想定するか性悪説を想定するかについては、現状では当社は明らかに前者の恩恵を「追加で」受けていると考えている。
さびしいことではあるが、いつの日か会社の規模が大きくなる過程で、その追加で受けている恩恵が消失する段階があるのであろう。それを左右するファクターには、人数増加やセクション数増加などが考えられるが、私個人が考える重要なファクターは「拠点数」である。たとえ人数が100人になろうとも、1拠点1フロアに全員がいれば、前述した良い「長屋効果」は持続するのではないか。お互いの顔が見えて、コミュニケーションが密に保てれば、良い犯罪の抑止効果が持続できるのではと思っている。
今後、当社の人数がたとえ増えたとしても、今のような良い「長屋状況」は保ちたいと考えている。
(ピロキチ)