【我慢ならない】民主は海保と自衛隊を強化せよ!厳しさ増す日本

2012.01.13


尖閣諸島沖で、海上保安庁の巡視船に衝突してきた中国漁船(左)。中国は東シナ海への野心を強めている(ユーチューブから)【拡大】

 2012年は、世界の主要国・地域の指導者が交代する年である。日本を含む東アジアの平和と安定に極めて大きな変化が出かねない。

 米大統領選(11月6日投開票)は、再選を目指す民主党のオバマ大統領に、共和党の新人が挑む構図となる。前半戦の注目は、共和党の候補者指名争いで、混戦模様だ。共和党強硬派の中には小さな政府を訴えて「在日米軍撤退」を公約にする人物もおり、日本の外交・安全保障上、無視できない選挙といえる。

 ロシア大統領選(3月4日)は、返り咲きを目指すプーチン首相の楽勝と思われていたが、中東の民衆運動「アラブの春」の影響などから、首都モスクワでも数万人規模の「反プーチン」デモが発生している。現状で、プーチン氏の優勢は変わらないとみられるが、KGB外交で日本に厳しい姿勢をとってくることは間違いない。

 中国では秋の共産党大会で、習近平国家副主席が党総書記(国家主席)になる見通しだ。尖閣沖漁船衝突事件で険悪になったが、胡錦濤国家主席は改革派であり、日中関係は良かった。これに対し、習氏は江沢民前国家主席の後押しで最高権力に登りつめた。江氏は国内問題を回避する手段として「反日」を使った人物であり、習氏が先祖帰りする可能性がある。

 いずれにしても、日本は外交的に極めて厳しい立場に立たされている。

 読者の方々は驚かれるかもしれないが、このままでは日本の選択肢は、(1)中国の朝貢国として服従する(2)核武装して主権国家として独立を守る(3)集団的自衛権を認めて日米安保を強化する−の大きく3つしかない。

 日本が急いで着手すべきは「海防」「国防」の意識を高めることだ。日米安全保障条約は1年ごとの更新となっており、1年前に事前通告すれば解消できる。民主党政権のような外交・防衛政策を続けていたら、米国は「東アジアの安全保障は米国と中国で分担した方がいい」と判断するかもしれない。米軍の負担を減らすよう、ハリネズミのように、できる限り、自国で守りを固めなければならない。

 具体的には、まず海上保安庁を強化する。中国が東シナ海や西太平洋の覇権を狙っているなか、海上保安庁の総予算は年間1700億円程度しかない。イージス艦「あたご」(約1450億円)よりやや高い予算で、1隻あたり約100キロもの沿岸を守っている。ここを強化する。

 日本全土を射程に入れる北朝鮮のミサイル「ノドン」に対応するため、海上自衛隊のイージス艦6隻が日本海で備え、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を国内24の高射隊すべてに配備する。尖閣諸島などの島嶼(とうしょ)防衛のため、陸上自衛隊の1個大隊(1600人)を海兵隊のような装備・体制にすることも必要だ。

 他にもやるべきことはあるが、民主党政権は2012年度予算で防衛費をまた減らした。東日本大震災で、自衛隊員はあれだけ救援・復旧活動で頑張ったが、隊員たちも部隊も表彰すらされていない。やはり根底には「自衛隊は暴力装置」(仙谷由人政調会長代行)という意識があるのではないか。

 ■佐々淳行(さっさ・あつゆき) 1930年、東京生まれ。54年、東大法学部卒業後、警察庁入庁。以来、半世紀にわたって治安・外交・防衛・危機管理の最前線で活躍し、東大安田講堂事件やあさま山荘事件では陣頭指揮に当たった。77年に防衛庁出向し、官房長、防衛施設庁長官を歴任。86年、初代内閣安全保障室長に就任し、89年、昭和天皇大喪の礼を最後に退官。その後、新聞やテレビなどで鋭い論評を展開し、2007年に正論大賞を受賞する。著書に「ほんとに 彼らが日本を滅ぼす」(幻冬舎)など。

 

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