去年1年間に倒産した企業の数は、およそ1万1000件で、2年連続で減少しましたが、東日本大震災の被災地では事業の現状を把握できていない企業も多く、実態はもっと深刻だとみられています。
民間の信用調査会社、帝国データバンクによりますと、去年1年間に1000万円以上の負債を抱えて法的整理になった企業は、前の年より2.5%少ない1万1369件で、2年連続で減少しました。これは、震災で被害を受けた企業が金融機関から資金を借りやすくする国の対策が拡充されたことや、被災地で復興に向けた公共工事が増えていることで、東北地方の倒産件数が前の年より20.9%減ったことなどによるものです。しかし、津波で大きな被害を受けた被災地の沿岸部では実質的に事業を行っていないものの倒産の手続きが取られていない企業や、経営者と連絡が取れないままとなっている2000社以上が、調査の対象から除外されており、実態はもっと深刻だとみられています。今後の見通しについて、信用調査会社では「歴史的な円高や消費税率の引き上げを受けて消費者心理が冷え込むおそれがあることなどから、倒産が増えることも考えられる」と話しています。