【社説】自国の顧客をだましていたサムスンとLG

 サムスン電子とLG電子が共謀し、洗濯機や平面テレビ、ノートパソコンなどの価格を不当につり上げ、公正取引委員会から446億ウォン(約30億円)の課徴金支払いを命じられた。両社は2010年にもエアコンやテレビを政府に納品する際に談合を行うなど、ここ2年間で3回も談合が摘発されている。しかしLG電子は談合の事実を先に申告したため、計3回の摘発でいずれも課徴金の納付を全額免除され、サムスン電子も2回目の申告のため課徴金は半分の納付で終わった。

 サムスンとLGは世界の家電市場で1位と2位を誇る企業だ。最近は米国ラスベガスで開催された世界最大規模の家電見本市(CES)で、両社は「最高革新賞」をはじめ主な賞を総なめにし、最も注目を集めていた。そのような世界的企業の両社が、国内では少しでも利益を上げようと、口裏を合わせて販売店での割引率を引き下げ、工場での卸売価格を不当につり上げるといった、卑怯なマーケティングを行っていたのだ。

 両社は新技術や新製品を登場させるたびに、互いに相手側を露骨に攻撃し、感情争いを繰り返してきた。一見すると、絶対に顔も合わせないほど厳しく対立しているようだが、裏では手を握って価格を引き上げ、不当な高値で販売を行っていたのだ。こうした実態を知った韓国国内の消費者は、不信感を持って当然だろう。

 両社が韓国市場で占めるシェアは洗濯機86%、平面テレビ98%、ノートパソコン58%といずれも市場を独占している。そのためテレビ、洗濯機、エアコンなど主要家電では、他社の販売員が名刺を出すことさえはばかられるほどだという。これといったライバル企業が見当たらない市場で、両社は大型化、高級化競争を繰り返して割高な新製品ばかりを販売し、消費者に必要以上のサイズや性能を持った高級品を押しつける販売戦略を続けてきたというわけだ。

 一方で、最近は大手量販店が中小メーカーや台湾のメーカーが製造した低価格テレビの販売を開始し、人気を集めている。これに対して「品質が悪いため後で後悔するだろう」などと批判的だった両社も、今後は普及型の製品を販売する方向に舵を切っている。サムスンとLGは世界のトップ企業に上り詰めたといううぬぼれに陥り、自国の消費者をだまし続けてきたことに何の疑問も感じないのだろうか。

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