約2千年前に建てられた古代ローマの巨大円形競技場コロッセオが、崩壊の危機に直面している。財政再建で文化予算が減る中、高級ブランドが修復費用を出すと表明したが「商売に使われる」と批判が出た。契約に独占禁止法違反の疑いがあるとして、会計検査院も調査を始めた。計画が進まぬ中、崩落は続く。
コロッセオはローマの象徴として年に約600万人の観光客を引きつける。だが大気汚染で汚れ、石組みの崩落も起きるなど、傷みがひどくなっている。真下を走る地下鉄の振動の影響も指摘され、早急な修復作業が必要とされてきた。
ベルルスコーニ前政権が文化予算を減らす中、手を差しのべたのが、文化活動の支援に積極的な同国の高級靴ブランド「TOD’S(トッズ)」グループだ。2010年末、修復費用の約2500万ユーロ(24億5千万円)を全額負担すると表明した。
デッラ・バッレ会長は「商業利用するつもりはない」と表明したが、ロイター通信などによると、契約にはトッズがコロッセオの画像を15年間、商業利用できる権利が含まれていた。これに消費者団体などがかみついた。