東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

入試ネット投稿から一年 不正対策 悩む大学

昨年の大学入試センター試験で開始を待つ受験生=昨年1月、東京都文京区の東京大学で

写真

 全国公立大学と、私立大学の九割が参加するセンター試験が十四日から始まり、受験シーズンが本格化する。京都大学などの入試問題がインターネット上に投稿された昨年の事件を受け、大学入試センターや各大学は、不正防止策の強化を余儀なくされている。予期せぬ事態に、大学関係者からは戸惑いや悩みの声も聞こえる。 (中山高志)

 早稲田大では、今春の入試に向け、試験監督を務める教職員に初めて事前研修を実施し、不正防止を徹底。試験会場の座席配置も死角が生まれないように見直した。

 一方で、会場に携帯電話の妨害電波を飛ばすことや開始前に携帯を預かるなど、さまざまな方策も検討したが「現実的でない」と導入を見送った。担当者は「監督する側が監視を意識し過ぎて、受験生に圧迫感を与えることがないようにしたい」と対応の難しさを語る。

 同志社大では、一般入試で受験生に不正があった場合、併願するほかの学部の入試も無効とするルールを打ち出し、監督者の数も増やした。入試担当者は「本来はここまでやりたくないのだが」と苦しい胸の内を明かした。

 京大でも、募集要項で不正行為の具体例を列挙するなどして、受験生に注意喚起を図る。入試担当者は「コメントは特にない」と語るのみで、本番を控えピリピリした様子。

 大学入試センターによると、センター試験ではすべての教科の開始前、受験生に携帯電話の電源を切らせ、いったん机の上に置かせる。その後、監督者は、受験生がかばんにしまう様子を確認する。試験中に携帯電話を手に持ったり身に付けたりした受験生がいた場合、監督者は注意する。注意に従わず、不正行為とみなされれば退室となる。

 センターは「問題冊子、解答用紙を試験室から持ち出す」「試験時間中に電子機器類を使用する」など九項目を「不正行為」と定義付けている。

 入試問題ネット投稿事件 昨年2月の京都大入試中、会場から携帯電話で英語の問題をインターネット上の質問サイトに投稿し、大学の業務を妨害したとして、京都府警が同3月、予備校生だった仙台市の少年=当時(19)=を偽計業務妨害容疑で逮捕した。

 少年は、京大のほか早稲田大、立教大、同志社大の入試でも同様の投稿をしていたことを認めている。山形家裁は同7月、少年を不処分とした。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo