指導医:大谷 肇 |
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指導システム: 心疾患の臨床と研究において指導を行なう。臨床では虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、高血圧や糖尿病に対するカテーテル療法や薬剤治療に際し心筋保護と再生の面からアプローチできるように指導する。さらに、6年以内に循環器専門医や内分泌専門医の資格が取得できるように指導する。研究においては心筋保護と再生の分野で心疾患に対するトランスレーショナルリサーチを行なう。2年間の基礎研究の間に学位取得可能な研究論文が完成するように指導する。その間、国内外の著名な学会において英語で口演ができるように指導する。当グループから毎年複数の大学院生や研究医員が循環器領域で最も権威ある米国心臓学会で発表を行なっている。また、希望があれば、海外の著明な施設への留学を斡旋している。特に米国コネチカット大学分子心臓病学教授の
Dipak K Das 教授の研究室にはこれまで当グループから何人かの留学生が十分な給与に支えられて留学している。 |
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取得できる専門資格: 内科認定医、循環器専門医、内分泌専門医 |
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研究テーマ:心筋保護と再生 |
心疾患に伴う心不全は多くの先進国において主要な死因である。心筋細胞のような最終分化細胞は、心疾患、心臓手術、加齢とともにその数が減少し、心臓の機能は減退する。心筋保護の基本的な考え方は、そのような侵襲から心筋細胞を保護することによって一つでも多くの心筋細胞を温存するように努力することである。近年、急速に進歩した分子生物学、細胞生物学は従来の心筋保護法に新たな展開をもたらしている。しかし、心筋保護のみでは失われた心筋を回復させ、予後を改善することに限界があることも事実である。そこで、失われた心筋細胞を再生医療によって補填することも心臓の機能を回復させるために重要な課題である。治療的血管新生や心筋再生に関する医学の進歩は、心疾患によって障害を受けた心臓に対しても恩恵を与えうる可能性を示唆している。このように心筋保護と再生医療との協調的な進歩が心臓というかけがえのない臓器を守るために重要である。
当グループでは学内関連各科から常時10人程度の大学院生や研究医員が集まり精力的に上記テーマにもとづいた研究を行なっている。それ以外にも国内では筋組織の医工学応用というテーマが文部科学省の選定する2005年度学術フロンティアに採択され、大阪工業大学生体システム工学科との学間連携のもとに共同研究を行なっている。また、摂南大学薬学部との学間連携においては心筋細胞特異的タンパクであるジストロフィンの虚血、再潅流障害と心不全における役割を共同研究中であり、いずれのプロジェクトも近い将来には特許や創薬に発展すると期待している。国外では米国コネチカット大学分子心臓病学教授の
Dipak K Das 教授と提携し心筋保護と再生を中心に共同研究を行なっている。このように当グループでは恵まれた環境のもとに高い水準で効率的な研究を行なうことが可能である。 |
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将来性: 基礎研究の成果を効率的に臨床に還元できるトランスレーショナルリサーチは現在最もニーズの高い開発型医療の一つである。特に心筋保護と再生の分野は命長き時代に高齢者の
QOL を高める上で今後ますます重要な役割を果たすことが期待され、将来性の非常に高い分野といえる。 |