【テルアビブ花岡洋二】演出家の蜷川幸雄さんが12日、イスラエルのテルアビブで会見し、戦争の悲惨を描いたギリシャ悲劇「トロイアの女たち」を今年12月に、テルアビブのカメリ劇場などで上演すると発表した。イスラエルと日本の国交樹立60年記念事業で、両政府の支援を受けて共同制作する。
劇は蜷川さんが演出。オーディションでユダヤ系とアラブ(パレスチナ)系のイスラエル人俳優が選ばれ、日本人俳優と共演する。イスラエルの公用語であるヘブライ語とアラビア語に、日本語を加えた3言語の入り交じった作品になる。
蜷川さんは、日本・イスラエル関係だけでなく、パレスチナ紛争で対立する人々の文化や言語をつなぐことを意識しているといい、「新しいコミュニケーションの第一歩、小さな希望を育てる第一歩にしたい」と話した。この劇は、東京芸術劇場(東京都豊島区)でも上演される。
日本は、1948年建国のイスラエルを52年に承認した。
毎日新聞 2012年1月13日 10時40分(最終更新 1月13日 11時24分)