イランが中部コム近郊でウラン濃縮施設を稼働させたことについて、ロシア外務省は10日、「遺憾であり懸念する」との声明を発表した。濃縮施設の建設停止を求めた国連安全保障理事会決議などを引き合いに出し、「国際社会の要求を無視していると認定せざるを得ない」と指摘した。
声明はまた、イランが事前に濃縮開始を国際原子力機関(IAEA)に通告、その監視下で濃縮を進めていることを踏まえ、「関係国に軽率で過激な対応を自重するよう呼びかける」としている。
この問題をめぐって、米国務省は9日、「20%以上に濃縮するなら事態を悪化させる」とイランを非難。欧米との敵対姿勢を強めるアフマディネジャド政権に濃縮活動の即時停止を求めている。
イランは核開発の放棄を拒否する姿勢で、欧米が制裁レベルを引き上げる動きなのに対し、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖を示唆している。(モスクワ=副島英樹)