東京電力は12日、公的資本注入による実質国有化受け入れに向けた検討に入った。枝野幸男経済産業相が昨年末、東電に対し、実質国有化を受け入れるよう求め、東電側は明言を避けてきた。だが、原発停止に伴う燃料費の増加に加え、廃炉などの費用負担も経営を圧迫することは必至のため、実質国有化はやむを得ないとの判断に傾きつつある。
東電の藤本孝副社長は12日「(東電が3月に策定する)総合特別事業計画の中で(政府による)増資の話も議論していきたい」と述べた。電気事業連合会の記者会見で語った。東電は原発を代替する火力発電の燃料費が年間で8300億円程度増加し、12年3月期連結決算で約6000億円の最終赤字に陥る見込み。今後は巨額の廃炉・除染費用が経営を圧迫し、13年3月期にも債務超過になる可能性が高まっている。
こうした状況を受け、東電は公的資本を受けいれる際の助言役となる金融機関の選定に入った。東電内には「公的資本を受け入れても、経営権は保持したい」との意見もあり、決着には曲折も予想される。【立山清也】
毎日新聞 2012年1月13日 東京朝刊