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職安法違反:原発に不正派遣 工藤会系組長の妻らを逮捕

 福岡、福井両県警は12日、福井県おおい町の関西電力大飯原発改修工事に労働者を「偽装請負」で不正派遣したとして▽福井県敦賀市、太平電業福井地区営業所長(当時大飯事業所長)、一瀬秀夫(58)▽京都府舞鶴市、高田機工社長、富田好(59)▽北九州市若松区、ドリーム(当時総進工業)役員、池上加奈枝(36)の3容疑者を職業安定法違反容疑で逮捕した。

 両県警は、労働者の派遣元となった総進工業の役員だった池上容疑者が指定暴力団工藤会(北九州市)系組長の妻と確認しており、原発への労働者派遣が工藤会の資金源になったとみている。原発関連工事への労働者派遣を巡って暴力団の関与を視野に強制捜査するのは極めて異例。全国の原発労働のあり方に影響を与える可能性もある。

 逮捕容疑は10年3月上旬~9月下旬、請負契約を装って総進工業社員の男性を大飯原発の改修工事に従事する労働者として派遣し、男性を太平電業の指揮下において改修工事に従事させたとしている。3人とも容疑を認めているという。

 福岡県警などによると、総進工業と高田機工、高田機工と太平電業の2段階で請負契約を装っていた。請負契約を結んだ業者は、発注者の太平電業から独立して業務を行わなければならないが、派遣された男性は太平電業社員の指揮下で配管の取り換え工事などに従事しており、両県警は実態は現場に送り込まれただけの派遣労働とみている。同様に不正派遣された労働者が複数いるとみられ、「偽装請負」が常態化していた可能性があるという。

 原発労働を巡っては、複数の派遣会社の介在による給料の中間搾取が問題視されており、労働者の派遣元として暴力団の関与も指摘されている。福島第1原発の事故処理についても、発注者である東京電力は警察庁から暴力団との関係遮断を指導されており、昨年7月には元請け業者22社と暴力団排除協議会を設置している。太平電業は1947年設立で資本金約40億円の東証1部上場企業。全国各地で原発の建設や補修を行い、福島第1原発の事故処理にも当たっている。11年3月期決算の売り上げは約618億円。

毎日新聞 2012年1月13日 8時38分

 

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