東急電鉄が、大田区にある蒲田駅と京急蒲田駅の両エリアを結ぶ「新空港線」(蒲蒲〈かまかま〉線)構想の実現に向けて動き出した。区も「羽田空港の利便性が向上する」と建設促進を訴えるが、1000億円を超す建設費に都は難色を示す。蒲蒲線は開通するのか――。
■羽田への利便性に期待
蒲蒲線は、JR・東急電鉄の蒲田駅と、京急電鉄の800メートルを鉄道で結ぶ計画路線だ。一帯には商店街などが広がるため、地下に約3.1キロのトンネルを掘るという。2000年、国の運輸政策審議会で「15年までに整備着手することが適当」とされた。
大田区は、02年から建設費などの調査を開始。05年には整備促進区民協議会を立ち上げるなど、計画実現に積極的だ。区まちづくり推進部の佐藤国治担当課長は「交通ネットワークは、つなげることで利便性が増す」と強調する。
東急多摩川線の利用者が羽田空港に向かう場合、蒲田駅で降りてバスを使うか、品川駅を経由するなどの必要があった。蒲蒲線の開通で、空港利用者の利便性向上も期待される。
蒲蒲線を取り巻く環境が変わったのは昨年11月。東急電鉄が投資家向け会社説明会で、初めて計画実現に前向きな姿勢を示した。同社の担当者は「羽田空港は国際化で利用客が増えている。鉄道ネットワークの拡充は必要」と説く。