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菓子作りで生計、容疑者親族「信じてた」 埼玉偽装殺人

2010年2月4日0時2分

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写真木嶋佳苗容疑者=関係者提供

写真木嶋容疑者が住んでいたマンション。弟や妹らと自室でパーティーを開くこともあったという=東京都板橋区

 埼玉県富士見市の駐車場で昨年8月、会社員大出嘉之さん(当時41)が殺害された事件で、県警に殺人容疑で再逮捕された無職木嶋佳苗容疑者(35)=詐欺罪などで起訴=の親族が、木嶋容疑者の生い立ちや事件前後の様子などを語った。菓子作りで生計を立てていると信じていたという。

 【昨年9月25日、長野県の50代男性に対する詐欺容疑で逮捕。一連の詐欺被害、不審死の捜査が本格化した。】

 逮捕直後に家族が県警の聴取を受けた。刑事からインターネットのブログやメールを束で見せられて「うそを言って信じ込ませている」と説明された。亡くなった父親が生きているかのように記したメールもあった。家族や職業のことなど、内容が全部うそだと感じた。

 家族は逮捕前、本人から「絶対にしていない。なんともない」と弁明した、と聞いていた。

 昨年2月に弟の結婚式があり、(木嶋容疑者は)手作りのお菓子を一人ずつに渡していた。変わった様子はなく、そんな最中に詐欺事件を起こしていたとするなら……。

 【1993年、就職のため上京。96年に私立大夜間学部に入学するが、除籍に。定職に就いた様子がない。】

 最初は(東京都)目黒区に住み、近所の子どもたちにピアノを教えていた。大学に行かなければならないと、すぐに壁にぶつかったようだ。

 板橋区のマンションに引っ越し、上京した妹と一時同居した。菓子を作りインターネットで販売し、講師もしていると聞いた。

 弟や妹が首都圏に住むようになると、(長女として)親代わりになり、自室でパーティーを何回もするようになった。いま(費用を)考えると、ブランドバッグや高級車を購入していて不思議だが、当時は疑わなかった。

 【03年、インターネットオークションを使った詐欺事件で警視庁が逮捕。有罪判決を受けた。】

 事件の処理は父親がやって、家族も知っていた人は少ない。

 【交際男性や知人に、偽名を使うことがあった。】

 5年ほど前から最近まで、付き合っていた年上の男性がいた。(福島県の)裏磐梯によくバス釣りに出かけていた。男性の父親が04年に亡くなる前は、病院に通っていたほど。でも「結婚はしない」と言っていた。

 男性に「吉川桜」と名乗っていたようだ。(木嶋容疑者と)男性が妹の娘を連れて動物園に行ったとき「どうして桜ちゃんなの」と尋ねられたと聞いた。刑事は男性について「金銭的な被害に遭っていない唯一の人」と話していた。

 【高校までは北海道別海町で育った。父親は行政書士、母親はピアノ講師。父親は05年に他界した。】

 中学時代の成績はトップクラス。高校に入るまで自宅にはテレビがなく、本をたくさん読んでいた。ピアノを習い、コンクールで賞を取ったこともあった。

 父親はグルメで料理上手。食材にこだわり、お菓子も作っていた。ブログに料理のことを書いているのは、父親にほめられたいという気持ちがあったと思う。亡くなったとき、(木嶋容疑者が)保険金の支払い手続きをした。お墓も「東京に建てる」と言い出して。いつでもお参りできる場所と考えたと思う。

 たがが外れたのか。父親が生きていれば、こんなことにならなかったと思う。

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