「食べログ」を運営しているカカクコムや「アメーバブログ」のサイバーエージェント、オンラインゲームなどのGREEやDeNA、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のミクシィといったインターネット企業の株価が急落している。
背景には、年明けから「やらせ」発覚とネットで話題になっている「ステマ」、ステルス・マーケティングがあるとみられる。ネット銘柄は外国人投資家を中心に「成長株」とみられていて、2011年は株式市場をけん引してきただけに、市場全体への影響も懸念される。
年明けの2012年1月4日、カカクコムが運営する飲食店の「クチコミ」サイト「食べログ」で、作為的に飲食店に好意的なクチコミを投稿したり、ランキングを上位に押し上げたりする「やらせ業者」に、人気ランキングが操作されている事例があったことが発覚した。
食べログの月間利用者数は3200万人以上(11年11月時点)と、利用者も多いことから、影響力は大きい。やらせによる「印象操作」によって、利用者が公正な判断を下すことができなくなれば、サイトそのものの信用力も、収益力も落ちることが懸念される。こうしたことが、株価にも影響した形だ。
1月4日に2850円あったカカクコムの株価は、翌5日には2769円、6日には2624円に下落。11日の終値は前日比104円高の2725円だったが、4日と比べると4.4%下落した。
一方、自身の正体を隠したり偽ったりして、隠れて宣伝・PRをすることをいう「ステマ」、ステルス・マーケティングは、米国などで広告代理店が利用していたPR手法だ。
年末から年明けにかけて、アニメ制作会社が2ちゃんねるのまとめサイトのアフィリエイトURLをそのまま使用し、販売しているDVDがアマゾンドットコムで紹介されたことが、いわゆる「ステマ」ではないかという疑惑が持ち上がった。
制作会社は「担当者のミス」と説明したが、ネットでは「それだけで説明がつきにくい」などと疑いの目でみている。
それもあって、「ステマ」が1月4日のグーグル検索の急上昇ワードで、なんと1位になった。
ネット上での「やらせ疑惑」はこれまでも少なからずある。2007年頃から、有名タレントの公式ブログやファッション雑誌のカリスマ読者モデルのブログなどで、あからさまなPRが行われるようになったが、それを宣伝・PRとわかっている読者がいる半面、知らない読者もいて、結果的に「やらせ」のようにみえるわけだ。
最近も、あるタレントが紹介した商品を、ほとんど同じような文章で複数のタレントが一斉に公開して話題となったし、ツイッターでも「ステマ」の手法を使った宣伝活動が活発になり、多数のフォロワーを持つ有名人がキーワードをつぶやくことによって対価を得ることを暴露している。
そんなことから、SNSなどのクチコミ情報やブログでの情報への信頼が薄れており、ネット企業の株価もそれを反映しているようだ。
「アメーバブログ」を運営するサイバーエージェントの株価は、1月4日に25万4100円だったが、1月11日には前日比7300円安の23万1500円と8.9%下落した。
携帯オンラインゲーム銘柄で、芸能人ブログを運営するGREEも4日の2648円から13.8%も下落して、11日は前日比117円安の2282円だった。「モバゲー」のDeNAは11日に年初来安値を記録、前日比128円安の1899円で引けた。4日と比べて17.1%も下落している。
SNS大手のミクシィも11日は前日比8100円安の20万5000円に下げ、4日と比べて11.3%も下落した。
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