SC相模原は……。

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SC相模原は、どこに向かって、どこへ進んでいるのだろうか?

昨年の山口、ひたちなか。今年の大垣、淡路島、大阪と使ったお金は40万円以上。どぶに捨てたようなもんだ。

まあ愚痴はこの辺にして、なぜ負けたのかである。

選手の質の問題、サッカーの質の問題、モチベーションの問題、メンタルの問題、戦術や采配の問題などいろいろあるだろう。でも僕は、それ以前の問題のほうが大きいと思う。それはひとりの人間として、ひとりの社会人としてということ。HOYO大分に敗れ3連敗でJFL昇格が夢と終わったあと、スタジアムの出口にサポーターが「よくやった」と出迎えていた。

それに対して「すみません」「応援、ありがとうございました」というひと言もいえない。全員を確認したわけではないが「すみませんでした」と頭を下げたのは金澤大将、工藤祐生、吉岡航平ぐらいだった。なかにはポケットに手を突っ込んでふてくされたような態度でバスに向かう選手もいた。

それが、貴重な休みを潰して大阪まで応援に来てくれたサポーターに対する態度か。恥ずかしい、カッコ悪いという気持ちもわかるが、熱心なサポーターがクラブを支えているということをわかっていない。挨拶をしないのは、別にこの日だけではない。僕は、このチームを立ち上げから見ている。年間10試合以上は見に行っている。気になるときは、試合後に選手に話しを聞いたりもした。昨年も今年も全社の大会では宿舎まで顔を出した。それでも選手から挨拶してくるのはひと握りだけ。

ホームの麻溝競技場の試合でも、フロントと話をしていても素通りするだけ。フロントと話をしているのは、クラブのお客様じゃないのか。今のままでは将来、クラブハウスが完成して、出入りする業者のひとたち、宅急便の配達のひと、出前のおじさんなど、すべてのお客様に挨拶などできないだろう。それはプロサッカー選手である前に、人として一般人としての最低のマナーをわかっていないということになる。自分から進んで挨拶してくるのは榎本貴久、井上要、クリスティアーノ・アキオ・イトウぐらいだった。

「気分はJリーガー」なんだろう。だったら六本木を歩いてみろ。誰が相模原の選手に声をかけるか。いや、相模原駅の改札で待ち合わせしてみろ。何人の相模原市民が「頑張ってください」「応援してます」と声をかけるか。自分たちの置かれている立場を考えてみろ。

そういう選手を作ったフロントにも責任がある。フロントもスタッフも選手に嫌われたくない、仲良くなりたい。まるで腫れものを触るような扱いをしていた。それが原因で横柄な選手が生まれたんじゃないのか。

フロントの問題はほかにもある。サポーターは確実に昨年よりも減っている。その分析はしているのだろうか。このままJFLに昇格しても、J2に上がれる条件である1試合平均3000人の入場者は見込めない。今年の春、あるサポーターが、

「去年は山口、ひたちなかまで応援にいきましたけど、もう麻溝にも行きません」

といっていた。去っていくサポーターはクラブに対して無言でいなくなる。それをわかっているのか。かつてヴェルディがホームタウンを川崎から東京に移転したとき、川崎市民のサポーターが一気に減り、東京にはFC東京があった。あの手この手でサポーターを増やそうとしたが、なかなかうまくいかず、彼らは民家やマンションを1軒1軒回ってチケットを売ったという。「うちは野球しか興味がないから」「うちはFC東京を応援しているから、もう来るな」などといわれながらも、朝から夜までインターフォンを押し続けた。もちろん、サポーターが一気に増えるわけではないが、翌年に年間シートを買ってくれる人が現れたという。手間ひまかけて努力しなければサポーターは増えない。

相模原はどうだろうか。駅前でチラシを配っていたときがあるが、それも途中で辞めてしまった。チラシを配るとはどういうことか。一気に1000人、2000人と増やすためではない。続けることでチラシを貰った人の頭に仲に「SC相模原」の名前を焼きつける。それがJFLやJ2に昇格したときに「あのチラシを配っていたチームだ。1度、見に行ってみようか」となる。そのために続けなければいけない。東日本大震災の支援についても、最初は姉妹都市の大船渡市のために募金などを行っていたが、それも途中で辞めてしまった。現在の被災地の現状を思えば続けるべきだろう。大船渡市は避難所はなくなったが、多くのひとりぐらしの老人が仮設住宅の生活をしている。寒さ対策としてサッシが二重になったりしてるというが、東北の本当の寒さは年が明けてからだ。赤崎中学校は瓦礫の山で大船渡中学校の3階を借りて授業をしていると聞く。今でも全国から多くのボランティアが東北で頑張っている。サッカー協会、Jリーグ本部、各Jクラブ、選手協会が今でも支援活動をしているのに、なぜSC相模原はできないのか。

まずフロントは相模原市に住民票を移し、相模原に住んで、相模原で生活して、相模原市民と触れ合い、初めて相模原市民の考えや何を求めているのかがわかるんじゃないか。東京や横浜に住んでSC相模原の名刺を出しても説得力はない。

そしてサポーターは、もっと要求するべきだ。負けて「よくやった」ではチームは強くならない。腹が立ったらブーイングを浴びせ罵声を浴びせないと強くならない。浦和がいい例だ。不甲斐ないフロントに対してブーイングを浴びせ続けたから、岡田武史、西野朗という名前が挙がった。柏も以前は負けるたびに「社長、出て来い」「監督、辞めろ」と罵声が飛んだ。強くするためにブーイングを浴びせてほしい。

このコラムは、もっと早く書かなければと思っていたのですが、冷静になってから書こうと今日になりました。もうひとつの理由は、今日(12月11日)町田ゼルビアがJ2昇格を決める日。決まってから書こうと思ったからです。町田のJ2昇格が決まり、相模原市民の中から町田のサポーターになる人も増えることでしょう。それに対して、相模原のフロントは危機感を持たないのだろうか。選手もフロントも1度、顔を洗って1から出直す覚悟を持て。

偉そうに書いてきましたが、来年の麻溝競技場の開幕戦、また取材に行っちゃうんだろうなぁ。

渡辺達也

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