豊ノ島(右)に押し出しで大関初黒星を喫した稀勢の里=両国国技館で
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◇初場所<4日目>(11日・両国国技館)
日本人大関2人がそろって敗れた。新大関稀勢の里(25)=鳴戸=が関脇豊ノ島(28)=時津風=に押し出されて初黒星を喫し、琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は安美錦(33)=伊勢ケ浜=に寄り切られ2敗目を喫した。
22度目の優勝を狙う横綱白鵬は隠岐の海を左下手出し投げで下して4戦全勝。小結若荒雄を送り倒した把瑠都、豪栄道を突き倒した琴欧洲、豪風を寄り切った日馬富士の3大関も4連勝とした。
勝ちっ放しは関脇鶴竜、平幕朝赤龍を含めて6人となった。
思わぬアクシデントに緊張感が緩んだか。興奮がピークに達する出番直前の一番で行司が倒れ、担架で運ばれるまで5分ほど。その間、稀勢の里は張り詰めたものを懸命につなぎ留めようとしたが、持ち前の集中力はわずかに揺らいだ。
突き押しで土俵際まで追い込んだが、姿勢の低い豊ノ島には力が十分伝わらず決定力に欠く。うまく体を入れ替えられ、上体が浮いたところを逆に押し込まれるともろくも土俵を割って5連勝中とあいくちのいい相手に大関初黒星を喫した。
「手押しでした。ああいう時こそ下から押さないと…」と首をひねる。報道陣から相手を見すぎたか、と問われると「そういう意識じゃ駄目。もっと攻めていかないと駄目だ」と唇をかんだ。
もちろん相手も立場は同じだが、出番前に水を差され、動揺が大きいのは格上の方。しかし「それはない。いつも通りやった結果」と稀勢の里は自らを責める。ただ、放駒理事長(元大関魁傑)は「緊張感が途切れた可能性はある」とかばった。
この日、故郷の茨城県牛久市からバス3台、約130人の後援会メンバーが国技館に駆けつけ、2階席から大声援を送った。取組後はあえてこの話題は避けた。以前「ありがたいこと。来てくれた時は勝率が高いんです」と話したことがあっただけに悔しさも倍増だろう。
「まっ、しゃあないですね。明日からです」。大応援団に白星で応えられなかった悔しさをこらえ、5日目からの反撃へ気持ちを切り替えた。 (竹尾和久)
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