中東問題において、中国は米国に挑戦状を突きつけた。イラン産の原油の最大輸入国である中国は、イランのエネルギー産業に対する米国の経済制裁に協力しないことを公言した。中国外務省のリュウ・ヴェニミン報道官は、イランの核問題は経済制裁に訴えるだけでは決して解決しないと述べている。
リュウ報道官は、イラン中央銀行への米国の制裁について以上のように述べた。
米国の制裁を受けるのは、イラン中央銀行のみならず、原油の代金をイラン中央銀行に振り込む外国の銀行もこの制裁を受ける。米国の銀行は、これらの銀行との取引を中止する。この制裁措置は、原油代金をイランに振り込んでいる中国に甚大な打撃を与えることになることは明らかだ。
30日に開催される欧州外相会議でイラン産原油の輸入禁止が決議されれば、中国の原油輸入が問題視されるのは時間の問題で、状況は一触即発となるだろう。そのような事態となれば、イランはホルムズ海峡の閉鎖でそれに応酬すると脅し、米国はその脅しについてさらなる制裁を加えるだろう。
中国が米国の新たな制裁にこれほど反対するのは、経済的な利害関係からだけでなく、戦略上の理由からでもあると国立経済学大学院所属の専門家、アレクセイ・マスロフ氏は考えている。
「中国の目的は、米国の中東における影響力を制限することです。数日前、中国は、米国がアジアへの軍事介入を強めることを許さないとの声明を出しました。中国は米国の影響力を全般的に制限し、ペルシャ湾における影響力の排除も当然目指しています。中国がペルシャ湾に関心を示したことは一度もないため、米国に対する非難と数日前の声明は、アジアへの影響力拡大を目論む米国への反抗だと捉えることができます。今年と来年で、この問題に関する中国と米国の論争は激化するでしょう。中国は米国をアジアから追い出し、アフリカにおける米国の影響力を弱めようとするでしょうし、米国のペルシャ湾における活動ももちろん制限しようとするでしょう。」
中国はイランに対し大変な経済的関心を持っており、イラン問題において西側と対立している。イランが米国およびEU諸国との対立を深め、緊張がピークに達している今、中国が米国の利権がからむペルシャ湾の問題に、はじめて直接的に介入したのは偶然ではない。
米国も中国の行動を黙って見過ごすつもりはない。10日、米国のガイトナー財務長官が中国を訪問する。今回の訪問の目的は、イランの原油産業に対する制裁における米国の立場を説明することだ。
イラン問題は、米中関係においてさらなる緊張をもたらすことは明白だ。両国は地政学上の覇権を争うだろう。中国は、世界的な経済的影響力を背景にアジアを政治的に制覇しつつある。そして、ついにはペルシャ湾の利権において一番手になろうとする米国の意図に異を唱えるまでになった。
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