核開発を巡って欧米と対立を深めるイランが原油の主要な輸送路のホルムズ海峡を封鎖すると警告するなか、UAE=アラブ首長国連邦は、海峡をう回して原油を輸出できるパイプラインの運用を半年以内に開始する方針を明らかにしました。
このパイプラインは、日本が輸入する原油のおよそ9割が通過するペルシャ湾のホルムズ海峡が戦争や事故で封鎖された場合などに備え、UAE=アラブ首長国連邦が計画しているものです。UAEのハミリ・エネルギー相は、9日、この計画について地元の記者団に対し、「ほぼ完成し、ことしの5月か6月には運用を開始できる」と述べ、半年以内に運用を開始する方針を初めて明らかにしました。UAEは、日本にとってサウジアラビアに次ぐ原油の供給元で、このパイプラインによってUAE産の原油の7割を運ぶことができるということです。ホルムズ海峡を巡っては、核開発問題で欧米との対立を深めるイランが、最近、周辺で大規模な軍事演習を行い、イランへの経済制裁が強化された場合には報復措置として海峡を封鎖すると警告しています。アラブの湾岸産油国は、イランに対抗するため、親米路線を取っており、UAEがこの時期に、パイプラインの完成見通しを発表した背景には、イランをけん制するねらいもあるとみられます。