アサヒビールが2月に発売するビール風ノンアルコール飲料「ドライゼロ」をめぐり、業界で波紋が広がっている。キリンビールの松沢幸一社長が11日の記者会見で「(アサヒの主力ビールの)スーパードライと外見が似ており、誤飲につながりかねない」と指摘、サントリー酒類の相場康則社長も同様の懸念を表明した。シェア拡大を狙うアサヒをけん制するとともに、市場が拡大するノンアルコール飲料への批判を避けたい思惑があるようだ。
アサヒは10日、ドライゼロの発売を発表した。誤飲を防ぐため、外見に「ノンアルコール」と大きく表示しているが、銀色の缶の中央にアサヒのロゴマークがレイアウトされ、スーパードライを連想しそうなデザイン。キリンの松沢社長は「未成年の飲酒や、誤飲による飲酒運転を招きかねない」とアサヒをけん制した。サントリーの相場社長も11日、「(誤飲などのトラブルが)ビール業界に対する規制強化を招かなければよいが」と懸念を示した。
ビール風ノンアルコールではキリンとサントリーが先行しており、アサヒはドライゼロを「トップを狙っていける」(アサヒの小路明善社長)商品と位置づけ、PRに力を入れる。「スーパードライとは切り離した商品」との姿勢を強調しているが、思わぬ反響を呼んだ形だ。【久田宏】
毎日新聞 2012年1月11日 21時45分(最終更新 1月11日 22時39分)