ファンサービスを今後充実させるためのテスト施策で行われた撮影会でファンと握手する白鵬=両国国技館で
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◇初場所<3日目>(10日・両国国技館)
2日続けて横綱、大関陣に波乱がなかった。3場所連続22度目の優勝を狙う横綱白鵬(26)=宮城野=は安美錦を一方的に押し出して3連勝。新大関稀勢の里(25)=鳴戸=も小結雅山を押し出して3戦全勝とした。他の大関陣は琴奨菊が隠岐の海を危なげなく寄り切って2勝目を挙げた。把瑠都は小手投げで豪栄道を下し、日馬富士、琴欧洲とともに3連勝となった。5大関が2日続けて安泰だったのは、2009年夏場所の6、7日目以来。全勝は関脇鶴竜、新入幕の千代の国を含めて11人。
五輪イヤーの2012年。白鵬は2人の偉大な金メダリストのアドバイスを胸に白星街道を突き進んでいる。
相撲巧者の安美錦を押し出して3連勝と結びを締めた横綱。立ち合いは警戒したというが、「しっかりと合わせて立ちたいという心構えがありました」と堂々と受けて立った。
プロやアマを問わずスポーツ界とつながりを持つ横綱が、その中でも親しくしているのが柔道の山下泰裕氏(54)とレスリングの富山英明氏(54)。ともにロス五輪で金メダルを獲得している。
2人から「“威張らない”ということを感じています」と言い、「まさに自分の目指すこと。どんな相手にも同じように対応できるのは、豊かな気持ちがあるから」と尊敬してやまない。
富山氏は白鵬を「人間的な柔らかさ、包み込む柔らかさを感じる。オレがオレがではない」と評する。すでに富山氏も認めている白鵬だが、以前こんなアドバイスをしたという。「山下もよく言うことなんだけど、勝たなきゃいけないけど、勝つことより自分を出すことが大事。勝つ前に、自分をいかに出すか。そういうことが大事だという話はした」。2人のアドバイスはしっかりと横綱の胸に染みている。
2日続けて5大関が安泰だった。「多少は意識します。そりゃあ、目の前で相撲を取ってますからね」と勝たなきゃいけないと意識するが、「地位が地位なんで。日下開山(大相撲の最高位を指す)なんで」。その前に横綱として自分の相撲を取りきることの方を強く意識する。
白鵬が「先生」と呼ぶ2人からは、「夢を持つ大切さ」も教えられたという。まずは、手の届くところにある夢。貴乃花親方と並ぶ22回目の優勝をつかみにいく。
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