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震災後の首都圏の人口に異変

去年3月に起きた東日本大震災と原発事故の後、首都圏の人口に異変が起きています。
茨城県と千葉県で人口の減少が目立ち、東京、神奈川、埼玉でも人口の増加に歯止めがかかっていることが各都県のまとめでわかりました。
専門家は「震災の影響で沿岸部の人口が流出し、企業が東京への一極集中を避けて本社機能を分散する流れも影響しているのではないか」と分析しています。
NHKが各自治体を通じてまとめたところ、千葉県は去年1年間の人口が初めて前の年を下回ることが確実になりました。
千葉県の人口は、去年1月から11月までに7724人(0.12%)減って620万9303人となり、近くまとまる去年12月分を加えても、大正時代に統計を取り始めて以降、初めて減少する見通しです。
市町村別では、人口の減少が多い順に市川市が2012人(0.42%)、浦安市が1331人(0.8%)、松戸市が1264人(0.26%)などとなり、例年に比べて都市部での減少が目立っています。
浦安市の人口が減少していることについて42歳の主婦は、「震災の影響は大きいと思うが、子育てや都心への通勤面などでとても生活しやすい場所なのでまた人が増えて元の活気ある町に戻ってもらいたい」と話していました。
また、40年間住み続けているという59歳の女性は、「液状化の被害で、引っ越さなくてはならなくなった友人もいるが、新たなマンションの建設なども始まっているので、人口の減少は一時的なものではないか」と話していました。千葉県の政策企画課では「震災や放射能の影響などさまざまな原因が考えられるが、人口比でみればわずかな減少なので、一過性のものなのか今後も続くのか、注視していく必要がある」としています。また茨城県の人口も震災が起きた去年3月から11月までの9か月間で1万1719人減り、295万5235人となりました。
茨城県の人口は平成16年以降、減り続けていますが、去年はおととしの3倍近いペースで減少し、震災以降減った人口は、多い順に日立市で1164人、取手市で758人などとなっています。
県全体の人口減少のおよそ4分の1にあたる3118人は外国人で、茨城県の統計課では「震災のあと原発事故への不安などから、海外から来た多くの農業実習生が帰国したことが影響していると思う。茨城県の人口が大きく減ったことに県としても危機感を抱いている」としています。
一方、東京都、神奈川県、埼玉県は震災後も人口が増え続けているものの、そのペースに歯止めがかかっています。
東京都は、去年は11月までに人口が2万7454人増えましたが、おととし1年間に増えた7万6170人に比べると、およそ3分の1にとどまっています。
神奈川県は去年は11月までに1万870人増えましたが、おととし1年間のおよそ4分の1に、埼玉県も去年は10月までに6644人増えたものの、おととしのおよそ3分の1に減りました。
東京都は夏場の6月から7月に、韓国人をはじめ外国人の転出が目立つことから、震災の影響があると見ています。
一方、栃木県と群馬県は震災の前後で大きな変化は出ていません。人口の分析を続けている国立社会保障・人口問題研究所人口構造研究部の小池司朗室長は「これまで東京のベッドタウンとして人口の流入が続いていた、千葉県の市川市や浦安市など沿岸の自治体が、のきなみ人口減少に転じている。首都圏全体でみても、企業が東京への一極集中を避けて、本社機能を関西や中京圏内に分散する流れが起きていることが影響しているのではないか」と分析しています。今後の長期的な人口の見通しについては、各都県は少子高齢化を見込んで、埼玉県が2015年から、千葉県が2019年から、東京都と神奈川県が2020年から減少が始まると予測し、震災後もこの予測を変更していません。
これについて小池室長は「出生率の低下で全国的には人口減少の流れが続くが、これまで都心からの人口流出が続いたケースはない。首都圏でどのような影響があるのか推移を見守りたい」と話しています。

01月11日 18時03分

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