【ウィーン樋口直樹】AP通信などは9日、イラン中部コム近郊の地下にあるウラン濃縮施設で、濃縮度を約20%に高める作業が始まったと報じた。国際原子力機関(IAEA)が先週実施した現地査察の情報に基づき、複数の外交筋が匿名で明らかにしたという。空爆されても被害を受けにくい地下施設で、ウランの高濃縮化作業が始まったことで欧米などとの対立は一層深まることになる。
地下施設ではウラン濃縮用の遠心分離機348台が稼働している模様。濃縮度約20%のウランは中部ナタンツにある別の濃縮施設でも製造されている。原爆を製造するためにはウランの濃縮度を90%以上に高める必要があるが、約20%に達すれば濃縮工程全体の大半を終えたことになると言われている。
毎日新聞 2012年1月9日 23時28分(最終更新 1月9日 23時40分)