母親がベトナム出身の小学生キム君(13)は、小学校に入る前から集団での嫌がらせに苦しんでいた。見た目が違い、韓国を学ぶのが遅かったため上手に話せないという理由からだった。小学校に入ってからは、高学年の児童たちがキム君のかばんや教科書をごみ箱に捨てたこともあった。昼休みには「ベトナムでは手で食べるんじゃないの?」とスプーンや箸を取られたり、靴を奪われて靴下だけで帰宅したこともあった。
ムジゲ(虹)青少年センターのキム・ジェウ多文化パワー強化チーム長は「国際結婚家庭の子どもだということを知られたくなくて、奨学金の対象に推薦されても拒否するケースがある。彼らに特別な支援と恩恵を与えるのではなく、われわれと同じ隣人だという認識の転換が必要だ」と話した。
■教師がためらいなく人種差別的発言
国際結婚家庭の子どもたちは、同世代の集団だけでなく、教師からも差別を受けるという。母親がモンゴル出身の小学校5年生A君は昨年、教師の言葉を聞いて大泣きした。教師は授業中にためらいなく「韓国人はよく譲歩するが、モンゴル人はけんかが得意だ」という差別的発言をした。教室で盗難事件が起きると、A君をはじめモンゴル出身の親を持つ子どもたちをまず疑ったりもした。
教科部政策研究報告書によると、ある教師が両親のうち片方が日本人の国際結婚家庭の子どもに「日本でもこんなふうに(給食費などを)ただにしてくれるの? だったら日本に行けばいいのに、なんでここにいるのか」と言ったケースもあった。
韓国女性政策研究院のキム・イソン家族・多文化政策センター長は「教師たちが、国際結婚家庭の子どもたちが排除されることは大したことではないという意識を(子どもたちに)植え付けたり、むしろ教師自身が人種差別に対する意識が低く、子どもたちを傷つけたりすることもある。教師養成課程から、国際結婚家庭の子どもたちを配慮する実践的な方法を教えるべきだ」と話した。