年間最高視聴率を死守も……。“絶対に見過ごせなかった”紅白歌合戦のツッコミどころ

[2012年01月10日]


東日本大震災の復興支援がテーマだった昨年大晦日のNHK紅白歌合戦。出場者の選考は、例の暴力団排除条例の影響によってかなり難航したという噂もあったが……。

「島田紳助さんが暴力団との関わりを指摘されて芸能界を引退したこともあり、局内でもかなりモメました。ただ、出場候補者全員を“身体検査”するわけにもいかない。結局、東京都で条例が施行された昨年10月1日以前のことはおとがめナシという判断になりました」(あるNHK職員)

事前にそんなゴタゴタはあったものの、午後9時からの第2部の平均視聴率は41・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、なんとか年間最高視聴率の座を守った。コラムニストの小田嶋隆氏はこう評価する。

「くだらない応援合戦もなかったですし、司会者や出演者が寒いジョークを連発して視聴者を“凍死”させることもなかった(笑)。全体的にはいい印象でしたね」

一方で、上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授からは苦言も。

「スッキリした内容でかなりよかったと思いますが、出場者の大半が『歌で勇気を与えたい』と口々に言っていたために、どこか勇気や元気という言葉が安っぽく聞こえてしまいましたね。感動を押し売りされ、リラックスして見られなかったのが残念」

では、出場アーティスト個々についてはどうか。長渕剛が被災地の宮城県石巻市からの中継をしたり、AKB48が総勢210人でスペシャルメドレーを披露したりと見どころは多かったが、ツッコミどころも満載だった。前出の小田嶋氏が話す。

「被災地を元気づけようとしたのでしょうが、演歌歌手が意気込みすぎていたのが気になりましたね(笑)。元来、演歌とは恨(うら)み節(ぶし)や後ろ向きな未練を歌うもの。それを無理やり前向きな感じにしているわけですから。特に、サブちゃん(北島三郎)の『帰ろかな』は、もっと静かな感じで歌ってほしかった(笑)。力が入りすぎて失敗した顕著な例でしょう」

前出の碓井氏は、松田聖子と娘の神田沙也加の初共演を挙げる。

「テレビ初共演ということをしきりにアピールしていましたが、最後まで神田沙也加が出演する意味がわかりませんでした(笑)」

そして、今回の紅白の目玉のひとつとなったのが、紅白史上初のVTR出演を果たしたレディー・ガガだ。大ヒット曲『Born This Way』を熱唱したのだが、歌詞の和訳に関してひと悶着あった。

「もともとの歌詞には『レズビアン』や『バイセクシャル』といった言葉が入っているのですが、紅白でそのまま直訳するのは難しい(苦笑)。だから、ガガ側にも許可を取り、本来の意味を失わない範囲でやんわりとした表現に変更しました」(前出・NHK職員)

また、今回はKARAや少女時代などの韓流アーティストも出演した。

「NHKは彼らにかなり気を使っていて、リハーサル中から、取材に来たマスコミ各社に撮影禁止を通達するなどピリピリしていましたね」(スポーツ紙記者)

そして、前出の小田嶋氏が最も理解できなかったというのが、子役の芦田愛菜ちゃんと鈴木福くんがディズニーのキャラクターとともに熱唱したシーン。

「普段は、公共放送であるNHKは一企業の宣伝に荷担しないと言っているのに、なぜアメリカの資本主義の権化(ごんげ)であるミッキーマウスを出したのでしょうか(笑)。頭の悪いNHKのおえらいさんが『世界はひとつ』という感じにしたかったのでしょうけど」

こんなにツッコミどころがあるのも紅白ならではの魅力か。

写真でピックアップ

グラビアジャパン2011
インタレストマッチ - 広告掲載について