安岡勘助役・尾上 寛之さん
記念すべき初ゲストは、やっぱり、愛すべき息子で
濱田:
「玉枝の部屋」にようこそ〜。
尾上:
どうも、はじめまして(笑)。記念すべき第1回目なんですよね?
濱田:
そう!第1回目のゲストは、あなたしか考えられなかったんでね。それにしても、すっかり撮影が進んでますけど、スタジオのどこにあなたがいるか、すぐに分かりますね。
尾上:
えっ、うるさいですか?
濱田:
ちがーう、あの引き笑いですよ。「ひーっひっひっひっひっひっひ…」(と、モノまね)
尾上:
(笑)。それ、よく言われます。引き笑いだけは直らないんですよね(苦笑)。
濱田:
まぁ、楽しそうだからいいんですけどね(笑)。ところで、撮影はどうですか?楽しい?
尾上:
はい!楽しいですよ。
濱田:
…へぇ(無表情で)。
尾上:
えーーーっ?何で!?
濱田:
いやいや、楽しいのは大前提やと思いますけど、ここではちょっと違うことを聞きたいんでね。「こういうとこ、しんどいな」とか「あれっ?」と思うこととか。そう!難しいこと聞きますよ、この「玉枝の部屋」は!
尾上:
ほんまですねぇ!しかも、かなり抽象的な感じで(笑)。
濱田:
そう(苦笑)、あなたの持ってる引き出しすべてを、ガーーッ!と開けますからね。ほら、今回、時代もんのドラマやんか。何か大変なこととかないですか?
尾上:
そうですねぇ…。あぁ、撮影初日の日に、高下駄を履いたんですよ。14歳の勘助がいじめられるシーンがあって、それを京都で、高下駄を履いて撮影したんですよね。普通の下駄より2倍くらいの高さがある高下駄ですよ。
濱田:
10cmくらいはありそうですね?
尾上:
はい。歯は2本あるけど、すっごい歩きにくいんですよ。
濱田:
コケました?
尾上:
足をぐねりましたね。病院へ行きましたもん(苦笑)。
濱田:
マジで!
尾上:
はい。だから、なんで昔の人はこれを履いてたんやろな、と。
濱田:
でも、お台所用品にしても、昔の道具は必ず機能的ですからね。きっと高下駄がいい理由があったんでしょうね。
尾上:
僕、見栄を張るためだけなんかな?と、思ったんですけど。
濱田:
なに言うてんの、下駄は体にめっちゃいいねんで!鼻緒にクッと入れる親指と人差し指の間は、喉の疲労回復にも効くツボやねん!(と、自慢げな顔)。
尾上:
そうなんですか(笑)。でも、それにしても、高下駄は歩きづらい!いじめられた勘助が斜面から駆け下りるシーンがあったんですけど、バランスも取りづらいし、難しかったですね。
Q. 「糸ちゃんに、恋心はないの?」
A. 「いやぁ、あそこまでいじめられると…」濱田:
さて、次は勘助として答えてもらいましょうか。ぶっちゃけ聞きますよ。糸ちゃん(小原糸子)のこと、どう思う?
尾上:
そうですね…。変な話なんですけど、糸子役の尾野さんと台本の本読みで会った時、どうも初めて会った気がしなかったんですよ。
濱田:
え、あんたら、今回が初共演なん?へぇ〜、とても信じられへん。
尾上:
はい。向こうも心を開いてくれたからかも知れないですけど、「あぁ糸子か」「あんたが勘助か」みたいな感じやったんで、驚きましたね。
濱田:
「カーネーション」の中では、ふたりの力関係(糸子が上、勘助が下)がしっかり決まってますよね。実際、勘助としてはどうなん?糸ちゃんってただの幼なじみ?ラブな部分はないの?
尾上:
いやぁ…あそこまでいじめられると、さすがに恋心はないでしょうね(苦笑)。もしかしたら、ちっちゃい時は少しはあったかもしれないですけど、大きくなるにつれて「これは違うぞ」と(笑)。だって、ちっちゃい時は勘助もまだ強かったですからね。でも14歳くらいから、明らかな上下関係ができあがっていくじゃないですか(苦笑)。
濱田:
勘助くんが、「ヘ」の付くものになりましたからね。「ヘタレ」さんに。
尾上:
ちっちゃい時は勘助もあんなに悪ガキやったのに、気づけば、ヘタレと呼ばれるようになりますからね(苦笑)。逆に、糸ちゃんは強い女性の象徴のような存在なんで、さすがに恋愛対象にはならんでしょうね。
濱田:
まぁ、糸ちゃんが恋愛体質じゃ全然ないからね。ほんま、かっこええ女性やなぁ。
近いけど、ちょっぴり遠い特別な存在
「泰蔵兄ちゃんって、神様なんかも」
濱田:
じゃあ、泰蔵という兄を持ってどう思います?
尾上:
かっこいいですよね!勘助とは全然違いますからね。でも実は、あまり兄ちゃんとしゃべるシーンがないんです。お母ちゃんも、(シーン上で)兄ちゃんとはあんまりしゃべってないんですか?(笑)。
濱田:
そういえば、「おかえり」「ただいま」くらいやろか…(苦笑)。そんな意味でも、泰蔵はちょっとミステリアスな存在やね。勘助はどう思う?
尾上:
最初は、泰蔵兄ちゃんと勘助って何でもしゃべりあえる関係なんかな、と思ってたんですよ。でも、だんだん違うような気がしてきた。例えば、好きな人ができたとか、たぶん兄ちゃんには何にも話してないと思うんですよ。泣いてる勘助に道ですれ違っても、兄ちゃんは何も僕に聞かないんです。「帰るで」ってひと言だけ。もしかすると、兄ちゃんとは話がしたくてもあまりできない存在なのかもしれないですね。でも、お互い、分かり合えてる気はするんですけど。
濱田:
はぁ〜、やっぱりミステリアスやな。泰蔵は。
尾上:
(笑)。勘助は泰蔵兄ちゃんに怒られたりするんですかね?
濱田:
よっぽどの時に言われるくらいちゃう?
尾上:
「お前、ちゃんとせえよ」って、ひと言?…それも怖いなぁ(苦笑)。
濱田:
やっぱり泰蔵は、第1話で(大工方を務めるという)あれだけの大仕事してるし、だんじりを愛する岸和田の人たちの神様みたいな存在やろか?
尾上:
そうや、神様なんじゃないですか(笑)。
「相当、愛してるんじゃないですか」
息子から母へ、密かな愛の告白です
濱田:
ところで。あなた、撮影現場でめっちゃ愛されてるの、知ってる?
尾上:
マジですか?
濱田:
いじられ上手は、愛され上手なんやで。自覚はないの?
尾上:
あんまりないですね。気ぃついたらいじられてるな、とは思いますけど(笑)。
濱田:
あなたが思っている以上に私はあなたを大事に思うし、リスペクト申し上げておりますよ。
尾上:
ありがとうございます。
濱田:
ところで、私が演じる玉枝というお母ちゃんのこと、どう思う?お父ちゃんが戦争で亡くなってから、泰蔵と勘助、ふたりの男の子を女手ひとつで育てているんですが。
尾上:
相当、愛してるんじゃないですか。
濱田:
誰が、誰を?
尾上:
僕がお母ちゃんを。
濱田:
いやっ!ありがと!
尾上:
母ちゃんと勘助って、めっちゃ仲いいですよね。昔の親子ってそうなんかもしれないけど。
濱田:
玉枝が一番仲いいのは、きっと勘助なんですよ。
尾上:
勘助もそうや思います。
濱田:
ほんま?糸ちゃんやないの?
尾上:
いや、糸ちゃんは姉弟みたいな存在じゃないですか。気ぃついたら勘助は糸ちゃんのとこにいるし、糸ちゃんも安岡家にしょっちゅうご飯を食べにくるし。やっぱり勘助にとって、お母ちゃんは別格で大事に思ってると思うんですよね。でも、言うこと聞かなかったりもするけど(笑)。
濱田:
そうやんなぁ!勘助が起こすトラブルは、ほんま、たまりませんね。ひと言、「あほかぁっ!」って言いたくなる(笑)。
尾上:
ですよね(苦笑)。
濱田:
勘助はしょっちゅう面倒を起こすけど、とはいえ、「お母ちゃんに心配かけたらあかん」っていう気持ちはあるよね?
尾上:
絶対そうですね。でも、心配かけちゃう(笑)。迷惑かけるつもりはないけど、結局かけてしまうんですよね。
迷惑かけんよう、頑張ります(笑)。
迷惑かけんよう、頑張ります(笑)。