[シネマトゥデイ映画ニュース] ニンテンドー3DSなどで裸眼で観ることができる3D映像が身近になりつつあるが、映画館でメガネなしの3D上映が実現するのはいつになるのか……株式会社IMAGICAで、3Dスーパーバイザーを務める灰原光晴氏が語った。「真面目に研究をして、20年くらいかかります」。灰原氏が、研究者に話を聞くと、そう応えが返ってくるという。しかし、「ということは、その研究をしている人も、その研究を真面目にする気はないんですよね」と灰原氏。理論上はできるという映画館でのメガネなしの3D上映だが、その実現にはまだまだ長い道のりが必要だという。
左目を隠し、右目だけで見て指し示したものを、両目で見てみると、ずれが生じる。左目だけで見たものを、両目で見ても、同じようにずれが生じる。現在、映画館で導入されている3Dの映写システムは、この、幼いころに誰もが一度はやったことがあるであろう“目の遊び”、“視差”を利用している。2台のカメラを使って右目には右目用の映像、左目には左目用の映像を撮影し、3Dメガネを使い、右目には右目用の映像だけを、左目には左目用の映像だけを映し出すことによって、立体視が実現しているのだ。
では、映画館でメガネを使わずに立体視を実現するためには、どうすればよいのだろうか? 灰原氏は、現在は右目用の映像、左目用の映像と2視点で制作しているものを、多視点映像にすれば、メガネを使わない立体視は、理論上は可能だと言う。しかし、それを大きなスクリーンで実現するとなると、まだまだ課題は山積み。「テレビの裸眼3Dは広がっていくと思いますが、スクリーンサイズは難しいですね」という灰原氏の言葉から“真面目に研究すれば20年”という月日は、リアルな数字なのであろう。
2012年1月21日、シリーズ第3弾で初の3D映画に挑戦した映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』。メガホンを取った山崎貴監督は、第1弾、第2弾でも「映画館で昭和の世界にタイムスリップしていただくこと」を一つのテーマとして制作してきた同シリーズの最新作を3Dにしたことによって、「劇場に来てもらう意味みたいなものを付け加えることができたのではないか」と語っている。3D映画は、メガネを掛けるのがわずらわしいという声もあるが、映画館でメガネなしの3D上映実現がまだまだ先であり、メガネを掛けることによって、映画館でタイムスリップ感を味わうことができるのであれば、メガネもドラえもんの秘密道具のように思えてくる。
『ALWAYS 三丁目の夕日'64』は、前作から5年、オリンピックに沸いた昭和39年の東京を舞台に、1作目で夕日町三丁目にやって来た須賀健太演じる淳之介、堀北真希演じる六ちゃんの成長、三丁目の住民たちの温かな交流を描いた作品。物語を彩る圧巻の3D映像で、前作を超えるタイムスリップ感を、映画館で味わってもらいたい。(編集部・島村幸恵)
映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』は1月21日より全国公開