どうも、赤夜叉です。
他の作品が完結せず、更新が遅れてる状態で、懲りずに新しい連載小説を始めました。
今回もオリキャラの隼樹が主人公です。『リリカルなのは』の知識はありませんが、漫画・アニメの知識はそれなりに豊富です。魔法等の特別な力がない、容姿もかっこよくない主人公にこだわってます。『カイジ 人生逆転ゲーム』の影響で、話の展開等が『カイジ』っぽいところがあったりします。
それでは、『魔法少女リリカルなのは 凡人の魔法ゲーム』始まります。
虚数空間。
何も存在しない、無限に広がる無の空間。
底無しの無の空間を落ちていく、二つの人影があった。
長い黒髪、胸元や肌を露出した紫色の服の上に黒いマント、年齢は三十路を超えながらもスタイルの良い美貌を保った美女。美女の名は、プレシア・テスタロッサ。ある世界で大魔導師と呼ばれていたが、研究で事故を起こしてから行方をくらまし、地球に散らばった『ロストロギア』の一種である『ジュエルシード』を集めていた。
プレシアの傍には、大きなガラス張りのケースがある。ケースの中には、緑色の液体が入っており、金色の長髪で、まだ十歳前の小さな女の子が漂っている。この少女は、プレシア・テスタロッサの娘──アリシア・テスタロッサだ。プレシアの研究の事故により、死亡してしまった悲しい少女。
娘の死にプレシアは悲しみ、狂った果てに娘の蘇生を計画した。人の手で人を造り出す『プロジェクトF』という人造魔導師計画により、死んだ娘のクローン──フェイト・テスタロッサを生み出す。が、アリシアの記憶を受け継いだフェイトは、アリシアとは別人だった。フェイトに絶望したプレシアは、アリシア蘇生の為に次の計画を立てる。
ジュエルシードの膨大な魔力で、古の秘術が眠る地『アルハザード』へ向かい、アリシアを生き返らせるというものだった。自らも事故で患った病を抱えながら、プレシアはフェイトにジュエルシード集めを命じる。しかし、21個全てのジュエルシードを揃える事は叶わず、集まった数は半分以下の僅か9個。それでもプレシアはジュエルシードを発動させ、アルハザードを目指して旅立とうとした。その結果、次元断層によって生まれた虚数空間にアリシアと共に身を落としてしまった。
「アリシア……もう離さない……ずっと一緒よ……」
虚数空間に落ちる続けるプレシアは、アリシアの亡骸が入った生体ポットを抱く。
二人を囲むように、9個のジュエルシードが輪を作って浮いている。やがてジュエルシードは強い輝きを放ち、二人の姿を包んだ。
*
自室のベットの上で横になってるのは、林隼樹。短い黒髪、地味な眼鏡、ダラけきった顔、見るからに無気力そうな感じをしている。
大学を卒業し、就職して働いているが、充実した毎日を送れずにいた。毎日ダラダラダラダラ、やる気を出せずに仕事をする日々。
仕事を終え、家に帰った隼樹は夕飯と風呂を済ませてベットの上で横になる。すぐに強い睡魔に襲われ、隼樹は静かに目を閉じた。仕事を始めてからは、夜更かしも出来ず、すぐに眠りについている。
隼樹が眠ってるベットの横には、それなりに大きな棚がある。そこには、漫画やアニメのDVD、フィギュア等が置かれてある。この事から分かる通り、隼樹は“オタク”なのだ。
漫画やアニメを観ては、隼樹はそんな刺激的な世界を求めていた。
そして今夜、彼の望みが叶う時がきた。
ベットで寝てる隼樹の真上に、空間の裂け目が現れた。裂け目は広がり、空間にポッカリと黒い穴が出来た。
空いた穴から人影が降ってきて、寝ている隼樹の上に落ちた。
「ぐぶぁっ!」
腹に重い衝撃を受けた隼樹は、強制的に目を覚まされた。
落下物と共に隼樹がベットから落ちた直後、穴からまた落下物が現れ、ベットに落ちた。
「う……」
薄目を開けると、蛍光灯の光が目に入る。部屋に来てすぐベットに倒れたので、電気はつけっぱなしになっていたのだ。
腹に痛みを感じる隼樹は、眠い目を腹の上に向けた。ソレを見た隼樹は、目を細める。
彼の体に乗っかっていたのは、プレシアだった。気を失ってるらしく、目を閉じたまま動かない。
「な……な……!」
見知らぬ美女を見た隼樹は眠気が吹き飛び、顔を赤くして半分動揺半分興奮する。プレシアの綺麗な顔が近い上に、豊満な二つの胸が隼樹の体に密着しているのだ。興奮するなという方が無理だろう。
全く状況が理解出来ない隼樹は、あたふたして顔をベットに向けた。
「はあ!?」
ベットの上にある物を見て、隼樹は目を見開いた。何故なら、ベットの上にアリシアの亡骸が入った生体ポットが倒れているのだ。しかもアリシアは裸なので、隼樹は二重に驚く。
「な……何なんだよ、コレ?」
現状を理解しようと必死に頭を働かせるが、馬鹿な隼樹には現状把握は出来なかった。いや、例え馬鹿でなくても、すぐにこの状況を把握するのは無理だろう。
その時、穴から青い宝石が一つ落ちてきた。淡い輝きを放つ宝石──ジュエルシードは、隼樹の目の前に落ちた。
隼樹がジュエルシードを見て訝しんでると、部屋に出来た黒い穴は塞がった。
その時、
「……ん……うん……」
隼樹の上のプレシアが、意識を取り戻した。
声に反応した隼樹は、プレシアに顔を戻した。
プレシアが、ゆっくりと目を開く。
隼樹は金縛りにあったかのように体が動かず、緊張が高まり、心臓の鼓動を高鳴らせる。
目を覚ましたプレシアは、顔を上げて隼樹と目が合った。
「……貴方、誰?」
少し疲れた感じの声で、プレシアは尋ねた。
「は……林、隼樹です」
顔を真っ赤にさせ、緊張した様子で隼樹は名前を教えた。
この出会いをキッカケに、隼樹の日常は崩れ、非日常へと変わっていく。
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