遂にこの時がやってきた!
貴方が投票したキャラは何位だ!?
特別企画:人気投票結果発表じゃァァァァ!
とある広いパーティー会場。
沢山のテーブルが並べられ、その上には豪華な食事が用意されている。そんなパーティー会場に、黒いタキシード姿の男が二人いた。
「『ナンバーズ〜魔法が使えない男〜』第一回キャラ人気投票結果発表だァァァァァ!!」
タキシードの男──この小説の作者である赤夜叉が叫んだ。
「ああ。そだね……」
もう一人の男──この小説の主人公である塚本隼樹は、赤夜叉とは対照的にテンションが低い。
「どうした、隼樹? 何かテンション低いな」
「ねぇ、これ発表しなきゃダメ?」
「え?」
赤夜叉は首を傾げた。
「いや……主役なのに順位が低かったら、どうしようって不安でさ……」
「あ〜、まぁ大丈夫じゃね? 本編でもお前頑張ったじゃん。こういう時くらいはポジティブにいこうぜ」
赤夜叉は肩をポンッと叩き、隼樹を励ました。
「まぁ、そうだよね。ポジティブにいくか」
「そうそう」
「そういえば、ちょっと気になってんだけど」
「何?」
「何で作者のお前が此処にいるの? 何で会場に俺ら以外誰もいないの?」
赤夜叉を見た後、隼樹は会場を見渡す。
会場には、隼樹と赤夜叉以外誰もいない。
「いいじゃん。俺だってナンバーズと話したいんだよ。ナンバーズファンだから」
「キャラと話して痛い作者だな、て思われても知らないからな」
「いいよ別に」
やれやれ、と隼樹は溜め息をついて、この件に関しては諦める。
「そうそう。今は会場に俺達しかいないけど、ランキングを発表していくと、その順位のキャラが出てくるから」
「なるほど」
順位を発表しながら、会場に人が増えていくようだ。
「ぼちぼち結果発表したいんだけど、票の多い順に発表するか? それとも少ない順?」
「じゃあ……少ない順から」
隼樹が答えると、赤夜叉は懐から一枚の紙を取り出した。
どうやら、人気投票の結果が書かれてある紙のようだ。
順位を確認して、赤夜叉が叫ぶ。
「よーし! んじゃ、まずは第18位から第16位まで発表するぞ! ちなみに票の数が同じの場合は、作者である俺の好きなキャラ順でいきます。それでは、とくと見さらせェェ! これが結果だァァァァ!!」
第18位:高町なのは。1票
第17位:八神はやて。1票
第16位:赤夜叉。1票
「よっしゃあ! オラァァァ!!」
紙を握り潰して、赤夜叉はガッツポーズを取った。
直後、
「おおおおいっ! ちょっと待てェェェェ!!」
隼樹が大声を上げた。
「お前、キャラじゃなくて作者だろ! しかも第16位!?」
「言っとくけど、イカサマはしてないから。むしろ俺も驚いてるから。本当に票が入るとは、思わなかったから驚きだよ」
ランキングに入って、赤夜叉は本当に嬉しそうに笑っている。
「しかし、なのはとはやては順位が低いね〜。まぁ出番が少なかった上に、扱いも酷かったしね。仕方ないか」
紙に視線を落として、赤夜叉が言った。
「いや、お前が書いてるんだろ!」
「あっ、そうだった。まぁいいや。それじゃあ、結果発表を続けるか!」
紙に目を通したまま、赤夜叉が言う。
「第15位から第13位、どうぞ!」
第15位:ヴィヴィオ。1票
第14位:ガジェットIII型。1票
第13位:ギンガ・ナカジマ。1票
発表して、赤夜叉は紙から目を離して顔を上げた。
「はい。こんな感じです」
「ちょっと待て! ヴィヴィオもうちょい上でもよくね? つーかガジェットがヴィヴィオより上!?」
ヴィヴィオのパパとなった隼樹は、結果に納得できず、ジロリと赤夜叉を睨む。
「わりっ。ヴィヴィオの順位が低いのは、多分俺のせいだ。ヴィヴィオもあんまり出番なかったから」
「次から出番増やしてあげなさいよ」
「努力する」
「んで? 第14位のガジェットは何?」
「このガジェットIII型は、ディエチのサポートでヴィータを捕らえて、ヴィータごとディエチの砲撃を受けて粉々に爆砕されてしまったガジェットだ」
「そんなガジェットがいたのか」
「散り様が漢らしかった、という意見があってね。ガジェットIII型に投票があった時は、本当にビックリしたよ」
二人がガジェットIII型について語っていると、二つの足音が近づいてきた。
「パパー!」
「隼樹さん!」
会場にやってきたのは、ヴィヴィオとギンガだった。二人とも綺麗なドレス姿である。
「おおっ! ヴィヴィオ! ギンガ!」
隼樹が振り返ると、ヴィヴィオが抱き付いてきた。
ヴィヴィオを抱き上げて、隼樹は二人のドレス姿を見る。
「二人ともドレス姿、綺麗だよ」
少し恥ずかしがりながら、隼樹は感想を言った。
「えへへ♪」
「ありがとう、隼樹さん」
ヴィヴィオは嬉しそうに笑い、ギンガは頬を赤くして照れながら礼を言った。
「ギンガ。本当に綺麗だな」
赤夜叉も頬を赤くして、ギンガのドレス姿に見惚れる。
「赤夜叉」
「あ、ああ。オホンッ」
隼樹に言われて、赤夜叉は咳払いをした。
「じゃ、じゃあ人数も増えた所で、結果発表を続けるぞ!」
赤夜叉は、再び紙に目を通す。
「それでは、第12位と第11位の発表だ!!」
第12位:セイン。1票
第11位:セッテ。1票
「やっほ〜! 第12位のセインだよ!」
「セッテです」
発表を終えた直後、ギンガ達と同じくドレス姿のセインとセッテが会場に現れた。
「登場早いな、オイ!」
二人の早い登場にツッコむ隼樹。
だが、すぐにセインとセッテのドレス姿に見惚れる。ドレスを着た二人は、普段とは違う魅力を出していた。
「どうしたんですか、隼樹?」
「もしかして、あたし等のドレス姿に見惚れたか?」
隼樹の様子にセッテは首を傾げ、セインはニヤニヤと笑みを浮かべる。
「……うん。二人とも似合ってるし、綺麗だよ」
顔を赤くして隼樹が感想を言うと、セインは頬を赤くしてそわそわして、セッテも僅かに頬を赤くした。
「ナンバーズは美人だからな。何着ても似合うよね」
うんうん、と頷く赤夜叉。
すると、セインが赤夜叉に声をかける。
「赤夜叉〜、そろそろ次の順位発表したら?」
「えっ? あ、ああ! そ、そうだね!」
セインに声をかけられ、ナンバーズファンの赤夜叉は緊張しながら返事をした。
落ち着け、と心の中で自分に言い聞かせ、赤夜叉は発表を再会させる。
「で、では! いよいよベスト10の発表です! 第10位から第7位、どうぞ!!」
第10位:クアットロ。1票
第9位:ウーノ。1票
第8位:ガルマ。2票
第7位:ノーヴェ。2票
「ガルマァァァァ!! ガルマが第8位だとォォォ!?」
順位を見て、隼樹は驚いて目を見開く。
「ムッ。コレハ何ノ騒ギダ?」
隼樹が騒いでいると、ガルマがやってきた。残念ながら、彼はタキシード姿ではない。
「おわっ! いきなり出てくるなよ!」
ガルマの登場に驚いた隼樹は、ビクッと体を震わせた。
「ちょっと〜! 私がガルマよりも順位が下だなんて、納得できないわぁ〜!」
「私も同感だわ」
ドレス姿のクアットロとウーノが、会場にやってきた。
二人とも、自分の順位に納得していない様子だ。
ガルマを睨んで、負のオーラを放っている。
「ウーノママ、クアットロお姉さん……恐い……!」
負のオーラを放つウーノ達を見て、ヴィヴィオは隼樹の腕の中でガタガタ震える。
「う……ウーノ! クアットロ! ヴィヴィオが恐がってるから、抑えて抑えて!!」
冷汗を流しながら、隼樹は二人の怒りを静めようとした。
「ハッ! 私としたことが……ごめんなさい、ヴィヴィオ!」
隼樹の言葉で負のオーラを消して、ウーノは怯えて泣いているヴィヴィオを慰めた。
だが、クアットロの負のオーラは消えない。周りのみんなは、彼女から離れていく。
「でも、ガルマが上位にいるのは確かに意外ね」
「……ヨク分カラン」
ギンガに答えて、ガルマはぽりぽりと頭を掻く。
すると、バタバタと走ってくる音が近づいてくる。扉が勢いよく開かれ、一人のドレス姿の女の子が会場に入ってきた。
「ま……間に合った……!」
次の順位が発表される前に、第7位のノーヴェが到着した。急いで走ってきたらしく、息を切らして汗を流している。
隼樹が駆け寄って、ノーヴェに尋ねた。
「ノーヴェ! お前、どうしたんだ?」
「ド……ドレス着るのに、てこずってた……!」
走ってきたせいで、ドレス衣裳が少し乱れている。
乱れたドレスから、ノーヴェの胸元が見えていた。隼樹と赤夜叉は、彼女の胸元を覗き込む。
二人の視線に気付き、ノーヴェは顔を真っ赤にさせる。
「こ……このスケベ野郎共ォォォォ!!」
怒鳴りながら、ノーヴェは二人に鉄拳をお見舞いした。
「ぐはっ!」
「がぼっ!」
鉄拳を受けた二人は吐血をして、宙を舞い、床に体を叩きつけた。
「ふ……ふふふ……。ノーヴェの、鉄拳を受けるという……貴重な体験をしたぜ……」
不敵な笑みを浮かべる赤夜叉。
すると、横で倒れてる隼樹が弱々しい声で言った。
「……おい、んな馬鹿な事言ってねーで……結果発表続けろや」
「そ……そうだな。では、第6位から第4位までの発表だ!」
第6位:チンク。2票
第5位:ディード。2票
第4位:ウェンディ。3票
「ヒャッホー! やったっス! 沢山いる姉妹の中で第4位になったっスよー!!」
第4位のウェンディは、ドレス姿なのも構わず嬉しくて大はしゃぎする。
「ウェンディ姉様、おめでとうございます」
ウェンディの隣で、ディードがパチパチと拍手をしていた。
「オイ! これはどういう事だ!?」
ウェンディがテンション高くして喜んでいると、会場にチンクの大声が響いた。
全員が顔を向けると、そこにはゴスロリ衣裳を着て、顔を赤くしているチンクがいた。
「何故、私はドレスではなく、ゴ……ゴ……ゴスロリ衣裳なんだ!?」
納得できず、チンクは赤夜叉に問い詰める。
「いや、やっぱりチンクにはゴスロリが一番かな〜と思って」
「ふざけるな!」
チンクは飛び跳ねると、赤夜叉の顔面に蹴りを叩き込んだ。
「ぶべがっ!!」
蹴りを受けた赤夜叉は、再び床に倒れた。
チンクは息を荒くして、倒れた赤夜叉を見下ろす。すると、後ろから誰かに肩を叩かれた。
振り返って見ると、そこには隼樹がいた。
「チンク。可愛いよ!」
グッと親指を立て、隼樹は笑顔で言った。
「……うう」
チンクは、顔を真っ赤にさせて俯く。
「赤夜叉さん。発表の続きをお願いします」
ヴィヴィオを連れたウーノが、倒れてる赤夜叉に言った。
「はい! 次の発表いきまーす!!」
ウーノに声をかけられて、赤夜叉は一瞬で復活した。
「いよいよ人気投票ベスト3の発表だァァ! まず、第3位!!」
第3位:『姿偽り隠す美しき諜報者』ドゥーエ。5票
「ふふふ。投票してくれた皆さん、ありがとうございます」
ドレス姿のドゥーエが、会場にやってきた。
「……」
ドゥーエのドレス姿を見て、隼樹は思わず言葉を失くして見惚れる。
「どうしました、隼樹?」
笑みを浮かべて、ドゥーエが隼樹に近寄った。
「あ、いや……3位おめでとう、ドゥーエ」
照れながら、隼樹はドゥーエに祝いの言葉をかけた。
「ふふふ。ありがとうございます」
ドゥーエは満面の笑顔で、隼樹に礼を言った。
「俺もドゥーエに祝いの言葉を……!」
赤夜叉が駆け出した時、ノーヴェが肩を掴んだ。
「オメーは発表の続きをしやがれ!」
「わ、わかった……! わかったから、グーはやめて! 暴力反対!」
青ざめた表情で、赤夜叉は顔を引きつらせた。
そんな中、セインは早くもテーブルの上に用意されてる料理を食べている。
「じゃ、じゃあ、第2位の発表です! 第2位はこのキャラだ!!」
第2位:『危ないというより面白おかしな科学者』ジェイル・スカリエッティ。7票
「ハッハッハッ! この私が第2位か!」
笑いながら登場したのは、第2位のスカリエッティ。いつもの白衣ではなく、白いタキシードを着ている。
「スカリエッティィィィィ!!」
叫びながら、隼樹は走り出した。
「何でお前が2位なんだァァァァァ!!」
勢いをつけた渾身の飛び蹴りが、スカリエッティの顔面に炸裂する。
「ぶはっ!」
鼻血を吹き出して、スカリエッティは床に倒れた。
「何でお前がドゥーエより上なんだよ!? 納得いかねー! 代われ! ドゥーエと2位を代われ!!」
スカリエッティの上に乗って、マウントポジションを確保する隼樹。
腕を振りかぶり、スカリエッティの顔を殴ろうとしたところで、ウーノ達に止められた。
「隼樹、落ち着いて!!」とウーノ。
「私なら気にしてませんから! 殴るのはやめてください!」とドゥーエ。
「お前の気持ちはわからんでもないが、とにかく落ち着け!!」と赤夜叉。
「離せ! 俺はドゥーエの仇をとるんだ!!」
「いえ、私死んでませんから!」
全員で力を合わせて、やっと隼樹をスカリエッティから引き離した。
ウーノやドゥーエ達の説得を受けて、ようやく隼樹は落ち着く。
「一時はどうなるものかと思いました」
隼樹が落ち着いて、ギンガは胸を撫で下ろす。
「……すいません。取り乱してしまいました」
落ち着いた隼樹が、みんなに謝った。
そして“ある事”を思い、隼樹はテンションを下げた。
「……ていうか、いまだに俺の名前が出てないって事は……俺は順位に入っていないのか? 俺はあのアホ科学者以下?」
思考がネガティブになっていき、隼樹は溜め息をつく。
「パパ。元気出して」
「そうだぞ、隼樹。希望を捨てるな。それじゃあ、いよいよ人気投票第1位の発表だ! 栄えある第1位は、このキャラだ!!」
紙に目を通して、赤夜叉が発表した。
第1位:『地味だけど主人公』塚本隼樹。12票
「隼樹だァァァァァァ!!」
マイクを片手に、赤夜叉が大声で叫んだ。
「……!!?」
発表を聞いた隼樹は、目を見開き、震える指で自分を指差していた。自分が1位である事が信じられず、驚愕している。
「やったじゃん、隼樹! お前1位だよ!」
隼樹の背中を、バンバン叩く赤夜叉。
「おめでとうございます、隼樹!」
「やりましたね、隼樹!」
「おめでとうっス、隼樹!」
「パパ、おめでとう!」
みんな拍手をして、1位になった隼樹を祝福する。
隼樹は驚いた顔のまま、赤夜叉に聞いた。
「マ……マジで? マジで!? 俺が1位!?」
「そうだよ!」
「しかも12票って……2ケタいってんじゃん!」
「そうだよ! ほら!」
言って赤夜叉は、結果が書かれてある紙を隼樹に手渡した。
紙を受け取り、隼樹は書かれてある結果を疑視した。紙を持ってる手が、震える。
「や……」
隼樹は、グシャッと紙を握り潰した。
「やったァァァァァァァ!!」
両手を上げて、隼樹は歓喜の声を上げた。
そして、喜ぶ隼樹を、みんなで胴上げする。
読者の皆さん、沢山の投票ありがとうございました!
〜おまけ〜
急いで会場へ向かう、はやてとなのはの姿があった。
「完全に遅刻や!」
「もう発表、終わっちゃったかな?」
二人は勢いよく扉を開けて、会場に入った。
中では、発表が終わり、みんな雑談をしながら食事をしていた。
「あ……あのっ!」
なのはが声を上げると、全員が二人に顔を向けた。
「あっ、18位のなのはと17位のはやてだ」
二人を指差して、セインが言った。
「え?」
セインの言葉を聞いた瞬間、なのはとはやては顔を引きつらせた。
「わ、私が……じゅ……18位……?」
「17位……? ホンマに……?」
二人は、自分達の結果が信じられない、といった顔をしている。
そんななのは達を見て、隼樹は憎たらしい笑みを浮かべ、前髪をかきあげて言った。
「俺、『1位』なんだけど〜。人気投票……キミ達何位? ねぇ」
「……!」
隼樹の憎たらしい笑みを見て、なのはとはやては悔しくて歯を食いしばり、黒いオーラを放つ。
そんな二人に、更なる追い撃ちが。
「チナミニ、私ハ8位ダ」
さらりとガルマが、自分の順位をなのは達に告げた。
なのはは愕然となり、本編でガルマに敗北しているはやてはショックで床に倒れる。
そんな二人を見て、隼樹はニヤニヤ笑いながら食事を続けた。
「嫌な主人公だな、お前」
赤夜叉がポツリと呟いた。
赤夜叉「第二回、どうしようかな〜」
隼樹「もう人気投票はやらないぞ! 俺がトップのまま終わらせます!!」
赤夜叉「うわ〜」
+注意+
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