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遂に動き出してしまった、聖王のゆりかご

そして戦闘に参加できない隼樹

お前、ホントどうすんの?
第十九話:ゆりかご戦開幕
 『聖王の器』。
 約十年前、聖王教会にある司祭がいた。その司祭は、聖遺物管理という重職に就いていた。聖遺物とは、聖王教会の信仰の対象、古代ベルカ時代の聖なる王様、聖王陛下の持ち物だった物とか、遺骨とかの事である。司祭は、ある女性への愛から、聖遺物の一つである“聖骸布”に手をつけてしまったのだ。そして聖骸布に極僅かに付着していた血液から、聖王の遺伝子情報が取り出された。そのデータをクローニングして生まれた聖王の器が、ヴィヴィオなのだ。
 ちなみに、司祭を騙して聖王の器の遺伝子を盗ませた女性の正体、行方はいまだ謎である。



 聖王のゆりかご内部、王座の間。
 王座の間にいるウーノが、モニターを展開して他のナンバーズに通信を繋げた。
 アインヘリアルを破壊して移動してるナンバーズは、目の前に現れたモニターに目を向ける。

「聖王の器とゆりかごは、安定状態に入ったわ」

 モニターに映ってるウーノが、ゆりかごの状態をナンバーズに告げた。次に、今後の行動の指示を出す。

「クアットロとディエチは、ゆりかご内に。私と交代」
「は〜い」
「了解」

 飛行能力があるクアットロが、ディエチを抱えてゆりかごへ向かう。

「トーレとセッテとセインは、ラボでドクターの警護」
「心得た」

 トーレとセッテも空を飛行し、飛べないセインは飛行型のガジェットに乗ってアジトに向かって飛行していた。

「ノーヴェは、ディード、ウェンディ、チンク、オットーと一緒に地上本部へ」
「もう向かってる」

 ジェットエッジで道を走って、ノーヴェは地上本部へ向かっている。
 オットーとディードは飛行して、ウェンディもIS『エリアルレイヴ』で浮遊させたライディングボードに乗機して、飛行能力がないチンクはセインと同じく飛行型のガジェットに乗って地上本部に向かう。

「ゆりかごを動かし、大きな騒ぎを起こせば、必ず機動六課は動き出すわ」
「そして、現れた機動六課の隊員を私達が倒すって筋書ねぇ」

 ウーノの言葉を、クアットロが継いだ。
 そこでセインが、顎に手を当てて言った。

「つまり、ゆりかごは機動六課を誘き寄せるエサみたいな物か」
「そうなるっスね〜」

 ウェンディが頷く。

「一応、ゆりかごを主砲が撃てる位置──二つの月の魔力を受けられて、地上攻撃ができる軌道位置に辿り着かせる。勝率を上げる為にも、使える戦力は使うぞ」

 トーレが言うと、他のメンバーは納得したように頷いた。
 モニターを消して、それぞれの役割に集中して、目的地へ向かう。


*


 王座の間。
 妹達との通信を切って、ウーノは後ろを振り返る。そこには、魔力を吸い上げられて、少し苦しそうにしているヴィヴィオの姿があった。
 ウーノは、少し辛い表情をして痛みに耐えているヴィヴィオに近寄った。

「ヴィヴィオ。もうすぐ私は、この船を降りるわ」
「え? ヤダ! 行かないで、ウーノお姉さん!」

 目に涙を浮かべて、行かないように必死に訴えるヴィヴィオ。
 ウーノは、いつものように優しく微笑むと、ヴィヴィオの頬にそっと手を添えた。

「ごめんなさい、ヴィヴィオ。でも大丈夫。貴女を一人にはしないわ。私の代わりに、クアットロとディエチがくるから。貴女は一人じゃないわ」
「ウーノお姉さん……」

 ヴィヴィオは、自分の頬に添えられているウーノの手を握る。

「ごめんなさい。貴女に苦しい思いをさせて。だけど、これが終わればママの所に帰れるから」

 ウーノは優しい声で、ヴィヴィオを励ます。
 ヴィヴィオは、暗い表情で顔を伏せる。

「……ウーノお姉さん」
「何?」
「ヴィヴィオ……もっとウーノお姉さん達と一緒にいたい」
「え……!?」

 ヴィヴィオの口から思わぬ言葉が出てきて、ウーノは驚く。
 顔を伏せたまま、ヴィヴィオは続ける。

「もっとウーノお姉さん達と一緒にいたい……もっと隼樹お兄さんと遊びたい……」
「ヴィヴィオ……。けど貴女には、なのはママがいるじゃない」
「なのはママは好き。だけど、ウーノお姉さんも好き。隼樹お兄さんも他のお姉さん達も好き」

 ヴィヴィオが、自分の想いをウーノに伝えた。
 ウーノは何も言えなかった。こんな事を言われるとは、思ってもいなかったのだ。
 なんと答えればいいか分からず悩んでいたが、やがて両手を伸ばし、無言でヴィヴィオを抱きしめた。


*


 アースラの会議室。
 機動六課の面面が集まって、事態の対応について作戦会議をしていた。
 会議の結果、三グループに別れて各部所に協力する事に決まった。

「それにしても、あの塚本隼樹って男は何者なんだ?」

 腕を組んでヴィータが言った。

「さぁな」

 ライトニング分隊の副隊長、シグナムが溜め息をついた。

「敵対してる理由も、“私達の事が嫌い”やったし……」

 機動六課の部隊長──八神はやても、眉を寄せて困惑の表情を浮かべる。
 ソレについては、他のメンバーも気にしていた。

「それと、あの人がスカリエッティの顔を机に叩きつけた時は、ビックリしました」
「私も」

 エリオの言葉に、隣に座ってるキャロが頷く。

「ヴィヴィオの事を気遣ったり、スカリエッティとの関係もよく解らないし……」

 フェイトも顎に手を当てて、考え込む。
 すると、ティアナが挙手をした。

「スカリエッティに洗脳されてる可能性は、ありませんか?」
「いや、洗脳されてる奴が主の顔を机に叩きつけるか?」
「……ですよね」

 ヴィータに言われて、ティアナは手を下ろした。

「とにかく、ここでジッと考えててもしょうがないよ」
「そうやな。私達がするべき事は、ガジェットと戦闘機人、ゆりかごを止めることや!」

 なのはの言葉に頷き、はやてがみんなに言った。

「はい!」

 フォワード部隊のみんなが、声を揃えて応えた。
 会議室を出て、一同はそれぞれの持ち場へ向かう。
 なのは、ヴィータ、はやての三人はゆりかごへ向かい、スバル達フォワード四名は地上本部へ向かっている戦闘機人の対処。フェイトはスカリエッティのアジトへ、シグナムはリインフォース・ツヴァイというユニゾンデバイスと共に中央本部方面を目指す。
 隊長、副隊長一同は、能力限定を完全解除されてる。
 能力限定が解除されて、なのははエクシードモードにチェンジして、バリアジャケットが変わった。

「ヴィヴィオを連れて、一緒に元気に帰ろう!」

 なのはは、決意を固めると共に、仲間達と一緒にゆりかごへ向かった。


*


 スカリエッティのアジト。
 隼樹とスカリエッティは、研究室で話をしていた。
 すると、そこへゆりかごから帰還したウーノがやってた。

「ああ。おかえり、ウーノ」
「おかえりなさい、ウーノさん」

 スカリエッティと隼樹は、振り返ってウーノに挨拶をする。

「はい、ただいま」

 ウーノも二人に挨拶をした。

「トーレとセッテ、セインも戻りました。迎撃準備完了です。クアットロとディエチは、ゆりかご内部に。他の妹達は地上本部へ向かっています」

 ウーノが、ナンバーズの状況をスカリエッティに報告した。

「騎士ゼストも動かれていますが」
「なに、問題ないさ。彼が何を知ろうが、もう関係ないからね」

 二人が話していると、隼樹は携帯電話をいじってモニターを展開している。
 隼樹の様子に気付いて、ウーノが尋ねた。

「隼樹さん。何をしてるんですか?」
「ん? ああ、ナンバーズのみんなに、大した事ないちょっとしたアドバイスを」

 言って隼樹は、ニタリと笑った。


*


 暗い空間。
 空間には、電気などの明かりが無く、沢山の黒く大きなプレートのような物が宙に浮かんでいた。
 プレートばかりが浮いている空間の中心辺りに、何かの装置のような物があり、その前には人影がある。
 人影は女性で、長い金髪、体にピッタリとフィットしたスーツを着て、右手には黄色い液体が付着しているカギ爪に似た武器を付けている。彼女はナンバーズのNo.2──ドゥーエだ。
 彼女の足元には、大量の黄色い液体がぶち撒かれていて、三つの人間の脳が転がっていた。
 朽ちていく肉体を捨てて、脳だけの状態になって生き長らえてきた彼等こそ、時空管理局を生み出し、スカリエッティのスポンサーである最高評議会の正体。次元世界の平和を護るという彼等の想いは時と共に歪んでいき、広域次元犯罪者のスカリエッティを利用する等、目的の為には手段を選ばなくなり、次元犯罪者と変わらぬ存在へと変わってしまったのだ。
 結局、スカリエッティを利用していたつもりが、彼に裏切られてしまい、醜く哀れな最期を迎えた。

「ふふ。次は地上本部ね」

 ドゥーエは妖艶な笑みを浮かべると、カギ爪状の固有武装『ピアッシングネイル』に付着している液体をペロリと舐めた。


*


 ゆりかご周囲。
 大量のガジェットがゆりかごから出てきて、管理局の魔導師隊がガジェットと交戦していた。
 なのは、ヴィータ、はやての三人も次々とガジェットを撃ち落としていく。なのはが放つ桜色の閃光が数十機のガジェットの群れを飲み込み、ヴィータもグラーフアイゼンでガジェットを叩き潰し、はやては魔導師隊と連携してガジェットを破壊している。
 ガジェット軍との交戦中に、他の魔導師から連絡が入った。

「高町一等空尉! 奥へ進めそうな突入口が見つかりました!」
「了解! 私とヴィータ副隊長で内部に突入します!」

 報告を受けて、なのはとヴィータは突入口へ向かう。
 突入口からゆりかご内部へ侵入すると、中はAMFで充満していた。
 なのはとヴィータは、魔力を高めてAMFに対抗する。

「よし。それじゃあ、あたしは駆動炉を叩く。なのははヴィヴィオの所に行け」
「わかった。ヴィータちゃんも気をつけてね」
「あたしを誰だと思ってんだ? 鉄槌の騎士ヴィータだぞ。これくらいでやられる程、ヤワじゃねーよ!」

 力強く言って、ヴィータは笑った。
 なのはも頷いて返し、別れて目的の場所へ向かう。


*


 スカリエッティのアジト。
 アジトに侵入したフェイトとシャッハは、襲い掛かかってくるガジェットを破壊していく。

「烈風一迅!」

 シャッハが、撃鉄を起こしてカートリッジロードをする。
 ガジェットの群れに向かっていき、高密度の魔力を乗せた斬撃で、ガジェットを破壊した。

「はあああああ!!」

 フェイトも、ガジェットの光線の雨をかわして、敵に接近する。
 カートリッジロードを二回して、大型の魔力刃を備えたバルディッシュを豪快に上段から振り下ろす。バルディッシュの一振りで、数機のガジェットが爆発を起こして破壊された。

「このまま奥へ、スカリエッティの居場所まで行きましょう!」
「はい!」

 シャッハに言葉に、フェイトは力強く応えた。


*


 地上本部手前の廃棄された都市。
 都市の上空を飛んでいるヘリから、スバル達フォワード隊四人が降下した。
 キャロとエリオは、巨大な真の姿となった使役竜フリードリヒ、通称フリードの背中に乗り、スバルはマッハキャリバーを使って地上を走り、ティアナも後に続いて走っている。
 そして、スバル達を狙う影があった。

「IS・レイストーム」

 廃ビルの屋上に立っているオットーが、緑色の光線を放つ。
 放たれた光線は、真っ直ぐスバル達に向かっている。

「回避っ!」

 光線に気付いた四人は、素早く動いて回避した。
 攻撃を回避したティアナは、近くの廃ビルの屋上に飛び移る。
 直後、後ろから気配を感じて振り返った。そこには、ライディングボードを構えてティアナを狙っている、ウェンディがいた。
 ウェンディがティアナに向けて、数発のスフィアを発射する。

「くっ!」

 ティアナは、後ろに引いてスフィアを避ける。が、スフィアが足場を破壊して、ティアナは廃ビル内部に落下する

「ティア!」

 スバルがティアナを助けに行こうとするが、

「うおおおおお!!」

 突然、ノーヴェが現れて、スバルに蹴りを入れる。

「うああああ!!」

 咄嗟に両腕で防御体勢を取ったが、ガードの上から吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

「スバルさん! ティアさん!」

 キャロが振り返って叫ぶ。
 直後、自分達に接近してくる人影を見つける。
 双剣を手にしたディードが、高速でエリオ達に向かってきていた。

「ストラーダ!」

 エリオもストラーダを構えて、迎え撃つ。
 双剣と槍が火花を散らせて激突して、衝撃でエリオはフリードの背中から落ちてしまった。廃ビルの屋上に着地したエリオを、上空からディードが追撃する。

「エリオ君!」

 キャロがエリオの元に向かおうとした時、上空から何かが接近してきた。
 接近してくるのは、飛行型ガジェットと、ソレに乗っているチンク。両手にスティンガーを構え、キャロに向かって放つ。

『プロテクション』

 キャロのグローブ型デバイス『ケリュケイオン』から音声が出て、プロテクションが張られた。スティンガーはプロテクションに弾かれ、チンクとキャロも廃ビルの屋上に着地する。フリードも、キャロの後ろに降り立つ。
 スバル達は、ナンバーズの奇襲を受けてバラバラになった。

「隼樹のアドバイスその1『敵の力を分断させろ』。とりあえず上手くいったっスね」

 ライディングボードを構えたウェンディが言った。
 ナンバーズは、隼樹の言葉を思い出す。

「いいか? 正義側はコンビネーションで二倍、三倍にも力を高める。ソレをさせない為にも、敵の力を分断させるんだ。つーか俺、作戦参謀?」

 ここで確実に倒す。
 ナンバーズは、それぞれ武器を構えた。


*


 その頃、ナンバーズとは別行動で地上本部へ向かってる者達がいた。
 飛行して地上本部を目指すのは、ゼストとアギトである。
 地上本部が見えてきた時だった。前方に、人影が二つ見える。
 シグナムとリインフォース・ツヴァイだ。リインフォース・ツヴァイは、アギトと同じくらいの大きさである。
 二人の姿を確認して、ゼストとアギトは止まった。
 最初に口を開いたのは、ゼストだった。

「局の騎士か?」
「本局機動六課、シグナム二尉です。中央本部を、壊しにでも行かれるのですか?」
「古い友人に……レジアスに会いに行くだけだ」

 一瞬だけゼストは、遠い目をした。

「それは、復讐のためですか?」
「言葉で語れるものではない。道を開けてもらおうか」

 ゼストが構える。

「言葉にしてもらわねば、譲れる道も譲れません!」

 シグナムも鞘から、剣型のデバイス『レヴァンティン』を抜く。カートリッジロードをして、刀身に炎が現れる。

「あっ……!」

 ソレを見て、アギトが動揺した声を出す。

「アギト。どうかしたか?」
「あ、何でもねぇ」

 慌ててアギトは、ゼストに答えた。

「グダグダ語るなんてな、騎士のやるこっちゃねーんだよ!」

 アギトは、ゼストとユニゾンをする。ユニゾンによって、髪や服の一部が黄色く変色した。

「騎士とか、そうでないとか、お話しないで意地を張るから戦うことになっちゃうですよ!」

 リインフォース・ツヴァイも、シグナムとユニゾンする。ユニゾンが終わり、シグナムの髪とバリアジャケットの一部が紫色に変色した。

「いきます!」

 両者、自身のデバイスに炎を纏わせて同時に突進する。
 炎を纏った槍と剣がぶつかり合って、激しい火花と強烈な閃光を放った。


*


 フェイトとシャッハは、アジトの中を進んでスカリエッティの居場所へ向かっていた。
 通路を進んでいくと、戦闘機人の素体が入っている生体ポッドが並べられている部屋に入った。

「これは……人体実験の素体!?」

 素体が入れられた生体ポッドを見て、シャッハが驚きの声を上げる。

「だと思います」

 フェイトの表情が、今まで以上に険しくなった。

「人の命を弄び、ただの実験材料として扱う。あの男がしてきたのは、こういう研究なんです」
「一秒でも早く、止めなくてはなりませんね」
「はい」

 二人は改めて、スカリエッティを捕まえる決意を固める。
 その時、突然部屋が揺れ出した。
 危険を察して、その場を離れようとした時、シャッハの足元の床からセインが現れて、彼女の足を掴んで動きを止める。

「なっ!?」
「シスター!」

 フェイトがシスターを助けようと動く。
 だが、突如二本のブーメランブレードが飛来してきて、フェイトに迫る。

「くっ!!」

 フェイトは、バルディッシュで二本のブーメランブレードを防いだ。

「はあああああ!!」

 シャッハはカートリッジロードをして、床にデバイスを叩きつけた。
 衝撃で床が砕けて、シャッハとセインは下の階に落ちる。直後、真上から大型のガジェットが降ってきて、シャッハが空けた穴を塞ぐ。

(シスター!!)

 フェイトが念話で、シャッハに声をかける。

(フェイト執務官。こちらは無事です。戦闘機人を一機捕捉しました。この子を確保次第、すぐにそちらに合流します)

 下の階で、シャッハとセインが対峙する。

「……了解しました」

 シャッハからの報告を聞いて、フェイトも目の前の敵に集中した。
 フェイトの前に現れたのは、トーレとセッテ。

「フェイトお嬢様」
「……」

 名を呼ばれ、フェイトは二人を睨む。
 構わずトーレは続ける。

「こちらにいらしたのは、帰還ですか? それとも反逆ですか?」
「どっちも違う」

 フェイトは、バルディッシュを二人に向けた。

「犯罪者の逮捕。それだけだ」


*


 スカリエッティの研究室。
 隼樹とウーノ、スカリエッティはモニターでトーレ達の様子を見ていた。

「何でフェイト“お嬢様”?」

 モニターを見ている隼樹が、ふと疑問を口にした。
 すると、ウーノが答えてくれた。

「フェイト・T・ハラオウンは、ドクターが構築した基礎論理の技術で生まれた人造魔導師なんです」
「人造魔導師? ああ、人工的に造られた人間って事ですか」

 ウーノの返答を聞いて、隼樹は納得する。
 つまり、スカリエッティはフェイトの生みの親でもあるような感じなのだ。
 まぁ、どうでもいいや。とフェイトに対して興味を失くし、隼樹は携帯電話を操作して新たなモニターを開く。
 モニターには、部屋で眠っているメガーヌと傍に座ってるルーテシア、別の部屋で眠っているギンガの姿が映っている。二つの部屋は、戦闘が行われている場所から離れているので、被害は出ないだろう。
 次に隼樹は、市街地の防衛ラインの様子をモニターに映す。ゆりかごから出てくるガジェットが、続々と市街地へ向かっていく。ガジェットの進攻を阻止しようと、防衛ラインの管理局の魔導師隊が奮闘している。
 隼樹は、モニターの映像を切り替えて、街の様子を見ていく。
 隣にいるウーノが、気になって声をかけた。

「どうしたんですか、隼樹さん?」
「……ちょっと異形の姿を探してるんです」

 隼樹が答えると、ウーノは表情を険しくさせた。
 モニターを見つめて、隼樹は考える。あの異形が、こんな大騒ぎに気付かないハズがない。必ず、どこかに潜んでるハズだ。
 隼樹は、異形の姿を探し続けた。


*


 市街地の防衛ライン。
 魔導師隊が、ガジェットと交戦していた。戦況は、魔導師隊がギリギリの様子である。

「隊列を崩すな! 何としても此処を守り抜くんだ!」

 声を上げて、防衛ラインを死守する魔導師隊。
 だが、彼等にガジェット以外の驚異が近づいていた。
 ガジェットがやってくる方向とは反対側。一つの影が、防衛ラインの魔導師隊に近づいていく。魔導師隊は、ガジェットの群れに集中していて、後ろから近づいてくる影に気付いていない。
 影は立止り、魔導師隊の背中を見据える。

「コノ騒ギハ何ダ?」
「え?」

 声を聞いた魔導師隊の一人が、後ろを振り返った。
 振り返った瞬間、魔導師の表情が凍りつく。
 そこにいたのは、あの異形だった。

「お、お前は……がっ!」

 魔導師が杖を向けてくる前に、異形は手を伸ばして相手の首を掴んだ。

「何だ!? どうした!?」
「き、貴様は……!?」

 他の魔導師も、異変に気付いて振返り、異変の姿を見て驚く。

「コノ騒ギハ何ダ? 空ニアル戦艦ハ何ダ? 詳シク教エテモラオウカ」

 魔導師の首を掴んだまま、異形が聞いた。
ナンバーズVS機動六課

最後の戦い開始!

そして異形も!?


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