ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
いよいよ、ゆりかごが動き出す!
第十八話:ゆりかごを動かそう
 食堂のテーブルについているのは、隼樹、ナンバーズ、ルーテシア、ヴィヴィオ。スカリエッティを除く全員が食堂に集まり、朝食を食べている。
 何故スカリエッティが、食堂にいないのかと言うと理由は簡単。
 ヴィヴィオがスカリエッティを怖がってるから。
 なので、スカリエッティは一人寂しく研究室で朝食を食べているのだ。
 最初は、ナンバーズに対しても怯えていたヴィヴィオだが、一緒に過ごしている内に仲良くなっていった。歳が近いルーテシアとも、仲良く接している。

「ヴィヴィオ。口元にご飯がついてるわよ」

 隣に座っているウーノが、ヴィヴィオの口元についてるご飯を取ってあげた。

「ありがとう、ウーノお姉さん」

 ヴィヴィオが、笑顔でウーノにお礼を言った。
 ウーノも笑顔で応える。彼女はもう完全に、ヴィヴィオの母親代わりになっていた。
 ウーノに礼を言った後、ヴィヴィオは豆腐に醤油をかけようとして、醤油さしを取ろうと手を伸ばす。が、あと少しの所で届かない。
 自分では取れないと判断したヴィヴィオは、左隣りに座っている男に声をかける。

「隼樹お兄さん、お醤油取ってください」
「ん? あー、はいはい」

 頼まれて、塚本隼樹は醤油さしを取ってヴィヴィオに渡す。

「ありがとう」
「うん」

 ヴィヴィオのお礼に短く答え、隼樹が食事を続けようとした時だった。

「隼樹〜あたしにも醤油〜」

 今度は、ウェンディから頼まれた。

「はいよ」

 ヴィヴィオが使っているのとは、別の醤油さしをウェンディに渡す。
 すると、

「隼樹、私にも醤油をくれ」

 今度は、チンクから頼まれる。

「はい」

 別の醤油さしをチンクに渡す。今度こそ、食事を再開しようとした時だった。

「隼ちゃ〜ん、私にもお醤油〜♪」

 クアットロからも醤油を取ってくれ、と頼まれた。

「はいはい……って、いい加減にしろォォォォ!!」

 叫びながら、隼樹は席を立ち上がった。
 ヴィヴィオとルーテシアは驚いて、ビクッと体を震わせたが、ナンバーズは全く動じていない。もう隼樹がいきなり怒鳴る事に、慣れたようだ。

「俺は醤油さし渡し係!? ってか何で俺の前にだけ集中して、醤油さしが置かれてんだよ!? 誰だ、醤油さし置いたの!?」
「まぁまぁ、落ち着きなよ隼樹」

 怒鳴る隼樹となだめるセイン。
 とても悪の組織とは思えない、ちょっと騒がしい平和な朝食の光景だった。


*


 スカリエッティの研究室。
 朝食を食べ終えて、ナンバーズと隼樹が集まっていた。ナンバーズは私服を脱いで、戦闘スーツに着替えていた。背中の重りは外してあるが、手足にはまだリング状の重りが付けられている。

「隼樹。手首と足首の重り、まだ外しちゃダメっスか?」

 手をプラプラさせて、ウェンディが聞いた。

「そうだな。外したい人は、外してもいいよ」
「じゃあ、私は外そうかな」

 と、次々と手足の重りを外していくナンバーズ。その中で、重りを外してない人が二人いた。

「トーレとセッテは、まだ重りを外さないのか?」
「ああ。ギリギリまで付けておく」
「私もです」

 ギリギリまで付けて、ここぞという時に重りを外す。それもアリだな、と隼樹は思った。

「いや〜、体が軽くなったな〜」

 重りを外したメンバーは、腕をグルグル回したり、ピョンピョンとジャンプして身軽さを実感している。

「うむ。調子は良いようだね」

 ナンバーズの様子を見て、スカリエッティは笑みを浮かべた。地上本部での機動六課との戦闘データを蓄積した上に、隼樹が考えた特訓も受けてナンバーズは実力を上げているのだ。

「さて、それでは作戦を始めようか。まずはアインヘリアルの破壊だ」
「了解!」

 スカリエッティに応え、ナンバーズは研究室の出入口に向かう。
 その時、

「みんな……!」

 隼樹が、出撃しようとするナンバーズの背中に声をかけた。
 ナンバーズは足を止めて、振り返って隼樹を見る。

「あ……その……」

 ナンバーズの視線を受けて、隼樹は顔を赤くした。

「き……気をつけて」

 気の利いた台詞が思い浮かばず、これが隼樹の精一杯の言葉だった。

「前にも言っただろ? お前が、我々の心配をするなど百年早い」
「今度は、ちゃ〜んといい子で待ってるのよ〜?」

 ナンバーズは、余裕の笑みで隼樹に応えた。

「それじゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」

 挨拶を交わし、ナンバーズは研究室を出て出撃した。
 研究室には、隼樹、スカリエッティ、ウーノが残った。

「さて、それじゃあこちらも、聖王のゆりかごを動かす準備をしよう」
「では、ヴィヴィオをゆりかごの王座の間へ連れていきます」
「ああ、頼むよ」

 スカリエッティとの会話を終えて、ウーノは研究室を出ていく。

「んじゃ、俺もそろそろ」

 言って隼樹も、研究室をあとにした。


*


 研究室を出て、隼樹はアジトの一室の前にやってきた。
 扉を二回ノックする。

「隼樹だけど、入っていいかな?」
「いいよ」

 中から返事が聞こえて、隼樹は扉を開けて中に入った。
 部屋の中には、ベッドの上で眠っているメガーヌと、ベッドの傍で椅子に座っているルーテシアがいた。

「お母さん、どんな感じ?」
「まだ眠ってる」

 ルーテシアは、目の前で眠ってるメガーヌを見つめている。朝食の前にスカリエッティから、メガーヌはレリック無しで目覚める事を聞かされたのだ。今のところメガーヌの体に異常は無く、数日中に目覚めるハズだとスカリエッティは言った。

「まぁ時間はかかるけど、お母さん絶対目ぇ覚ますから」
「うん」

 ルーテシアは小さく頷くと、隼樹に顔を向けた。

「隼樹。ありがとう」

 ルーテシアが嬉しそうに笑ったところを、隼樹は初めて見た。
 隼樹は照れて、頭をクシャクシャと掻く。

「いや、そんなお礼なんて……。あっ、そうだ! 実はルーテシアに一つだけ、お願いがあるんだ」
「お願い?」
「ウーノさんから聞いたんだけど、ルーテシアは地震を発生させる地雷王って虫を召喚できるんだよね? ゆりかご浮上の時に、それで地割れを作ってくれないかな?」

 母親も解放され、自由の身となったに等しいルーテシアに、こんな事を頼むのは少し複雑な気分になる。

「いいよ」
「いいの!?」

 前と同じように、ルーテシアが即答で了承してくれた事に隼樹は驚いた。

「隼樹のお陰で、お母さんは目が覚めるから。隼樹の力になれるなら、私は協力する」

 いい娘だよ。この娘、最高にいい娘だよ。こんないい娘を持って、メガーヌさんは幸せな母親だな、と隼樹は思った。

「ありがとう! 本当にありがとう!」

 隼樹はルーテシアに礼を言った。


*


 ルーテシアの協力を得る事に成功した隼樹は、彼女に礼を言った後部屋を出て、再び研究室に戻ってきた。
 スカリエッティは、モニターを展開して画面をジッと見ている。隼樹も近づいて見てみると、モニターにはアインヘリアルを襲撃しているナンバーズの姿が映し出されていた。大勢の武装局員を蹴散らして、アインヘリアルを破壊している。大型口径砲三門が1セットの兵器『アインヘリアル』が、ボロボロに破壊されて黒い煙りを立てていた。全部で三基あるが、ナンバーズは武装局員を倒して全てのアインヘリアルを破壊した。

「スゲー。圧倒的じゃん」
「おや、戻ってたのかい、隼樹?」
「今さっき」

 短く答えて、モニターに映ってるナンバーズを見る。かすり傷一つない、無傷の状態だ。
 ナンバーズが映ってるモニターを見ていると、横に別のモニターが現れた。映ってるのは、ウーノだ。

「貴方のお陰で、妹達も随分とレベルアップしましたから。これくらいは楽な仕事です」
「ウーノさん。今どこに?」
「聖王のゆりかごの中です」

 ウーノはヴィヴィオを連れて、聖王のゆりかごの内部を歩き、王座の間へ向かっていた。そこに王の器であるヴィヴィオを連れて行って、ゆりかごを動かすのだ。
 王座の間に着いて、ウーノは扉を開けた。広い部屋で、中に入ると自動的に明かりがついた。王座に近づいていくと、ウーノの隣にいるヴィヴィオが少し怯え出す。
 ヴィヴィオの様子に気付いて、ウーノが優しく微笑む。

「大丈夫よ、ヴィヴィオ。お姉さんが付いているから」
「……うん」

 繋いでいるウーノの手を強く握って、ヴィヴィオは頷く。
 二人の様子を、モニターで見ている隼樹が口を開いた。

「スカリエッティ」
「何だね?」
「ウーノさんって、お姉さんというより、お母さんに見えません?」
「お母さんに見えるね」

 スカリエッティも、隼樹の意見に同意した。
 その時、けたたましいアラームが鳴り響いた。

「あれ? 何この音? 前にも聞いた事あるんですけど?」

 音を聞きながら、隼樹は思い出す。
 確かこの音は──。

「侵入者!?」

 モニターに映ってるウーノが言った。
 そうだ。これは侵入者を探知した時に鳴る音だ。隼樹が最初にこのアジトに突然現れた時も、同じようにアラームが鳴った。
 スカリエッティがパネルを操作して、新たなモニターを出す。ソコには、アジトの入口に立っている二つの人影が映っていた。
 一人は緑色のロングヘアーに白いスーツを着た男性。もう一人は、教会のシスターらしき服を着た女性。

「よくこの場所が解ったなぁ」

 隼樹は、少し感心したような声を出す。

「まぁ、バレたところでゆりかごはもう浮上するから、問題ないがね」

 スカリエッティも、余裕の態度は崩れない。
 モニターをよく見ると、緑髪の男の周りに半透明の犬が現れた。おそらくアレが緑髪の男の魔法で、アレでアジトを見つけたのだろう。
 二人が何やら話をしていると、大量のガジェットが現れる。ガジェットに囲まれて、二人は身構えた。
 すると、シスターがバリアジャケットを身に纏って両手にトンファーのようなデバイスが出現した。
 ソレを見た隼樹は、顔を顰める。

「ちょっ……何アレ!? トンファー!? 男の方は魔法っぽいけど、トンファー使った魔法なんて聞いた事ねーよ! この世界の魔法使いは何なの!? もう全然わかんねぇ!!」

 アレが魔法だなんて絶対認めねー、とモニターを指差して叫ぶ隼樹。
 隼樹の様子を見て、スカリエッティとウーノは思わず苦笑した。


*


 外では既に、シスターとガジェットの戦闘が始まっていた。シスターがデバイスを振るって、襲い掛かってくるガジェットを次々と叩き潰していく。
 その間に緑髪の男──ヴェロッサ・アコーズが、機動六課と連絡を取り、アジト制圧戦力の派遣を要請している。
 約10分後、シスターは大量のガジェットを制圧した。地面には、穴が空いていたり、縦に切られていたりと破壊されたガジェットが転がっている。

「まだまだ来るよ。ここに留まるのはキツいかな」
「なんの、まだまだ」

 シスターのシャッハ・ヌエラが、頼もしく言った。
 その時、突然地震が発生して地面が大きく揺れる。
 空には、紫色の魔法陣を展開してるルーテシアの姿があった。その後ろには、ガリューという人型の召喚獣がルーテシアを見守るように佇んでいる。
 ルーテシアは、巨大な甲虫『地雷王』を召喚して、隼樹に頼まれた地震を起こして地割れを作っていた。
 地震が激しくなっていき、一部の地面が割れて地中から巨大な戦艦が姿を現した。全長数キロはあるだろうこの巨大な船こそ、聖王のゆりかご。 地下のアジトでは、スカリエッティが不気味に笑っていた。

「ククク。これこそが、君達が忌避しながらも求めていた絶対の力……!」

 ゆりかごの映像が、各地に流される。その圧倒的大きさに、映像を見ている誰もが息を呑んだ。

「旧暦の時代、一度は世界を席巻し、そして破壊した古代ベルカの悪夢の叡知(えいち)、『聖王のゆりかご』だ!」

 興奮した声を出すスカリエッティの横で、

「チッ。生で見ないとイマイチ迫力が伝わってこないな」

 隼樹は生で見れない事を悔やんでいた。ちなみに、隼樹はモニターの外にいるので世界に流されてる映像に映っていない。
 そんな隼樹を気にせず、スカリエッティは話を続けた。

「見えるかい? 待ち望んだ主を得て、古代の技術と叡知の結晶は今その力を発揮する!」

 ゆりかご内部──王座の間の映像が流される。
 王座に座ってるヴィヴィオが、少し苦しそうにしていた。
 その映像を見て、隼樹は目を見開き、口も大きく開けた。


*


 次元航行艦アースラ。機動六課のメンバーが乗っている艦船で、大破した隊舎に代わる移動式の基地だ。
 通路でなのは達は、ヴィヴィオが苦しんでる映像を見ている。

「ヴィヴィオ……!」

 なのはは体を震わせて、手に持っている待機モードのレイジングハートを強く握った。

「さあ、ここから夢の始まりだ! ハハハハハ!!」

 スカリエッティが高笑いを上げた直後、隼樹が彼の頭をガシッと掴んだ。

「お前何してんのォォォォォ!!?」

 叫び声と共に、隼樹はスカリエッティの顔を近くの机に思いっきり叩きつけた。

「えっ!?」

 スカリエッティを睨んでいたなのは達は、表情を一変させて呆気に取られた顔になる。

「ちょっ……ウーノさん! 映像消して! ヴィヴィオが映ってる映像消して!!」
「あっ! は、はい!」

 慌ててウーノは、ヴィヴィオが映ってる映像を消した。
 それから隼樹は、スカリエッティの顔を起こして、怒りの形相で睨みつける。
 スカリエッティは、頭から血をダラダラと流していた。

「テッメ、ブッ殺されてーのか!? 何ヴィヴィオが苦しんでる映像を流してんだよ!? 機動六課の連中が怒るだろ!? キレちゃうだろ!?」
「いや、すまない。つい興奮して……」
「つい、じゃねーよ! ていうか、何でヴィヴィオ苦しんでたの!?」
「聖王の器であるヴィヴィオから、魔力を吸い上げているのだよ。だが、ちゃんと吸い上げる力は弱めてあるから、本来の痛みより随分和らいでいるハズだ」
「……仕方ないな」

 隼樹は、スカリエッティから手を離した。

「すいませーん! 機動六課の皆さん、すいまっせーん!! 本当にすいませーん!!」

 機動六課が映ってるモニターに、頭を下げて隼樹が謝った。
 モニターに映ってる隼樹を見て、なのは達は困惑の表情を浮かべている。
 え? 誰この人?

「あ……あの!」
「はい?」

 なのはに声をかけられて、隼樹は頭を上げた。

「私は機動六課スターズ分隊隊長、高町なのは一等空尉です。貴方は誰ですか?」
「俺? 俺は塚本隼樹」

 聞かれて、隼樹は名乗った。
 隼樹の名前を聞いて、なのは達は考え込む。捜査資料には、塚本隼樹という名は無いし、彼に関する資料も無い。それに彼の名前は、自分の名前と感じが似ているとなのはは思った。

「あの……もしかして、貴方は地球の出身ですか?」
「え? そうですけど、よく分かりましたね」

 少し驚いた様子で、隼樹は答えた。
 なのはがまた質問をする。

「塚本さん! 地球出身の貴方が、どうしてこの世界に? 貴方とスカリエッティは、どんな関係なんですか?」

 一遍に質問してくんじゃねーよ、と隼樹は心中で毒づく。だが、決して顔には出さない。

「ロストロギアの力で、偶然この世界に来ました。スカリエッティとは……友達……みたいな?」

 スカリエッティとの関係の所で、隼樹は若干迷った。
 スカリエッティと自分の関係。今考えてみると、自分でもよくわからない。友達……というのはちょっと違う気がするが、他に言葉が思い浮かばない。
 隼樹が考えていると、答えを聞いたなのは達が驚く。

「友達? スカリエッティは犯罪者なんですよ!?」
「ええ、そうですね。犯罪者ですね」
「犯罪者と分かってて、スカリエッティと一緒にいるんですか!?」

 スバルが語気を荒げる。
 それに対して、隼樹は冷静に答えた。

「そうだよ」
「!?」
「何が悪で、何が正義かなんて正直どうでもいい事です。もしかしたら、俺の感覚、考え方が貴女達普通の人とズレてるのかもしれませんね」

 ふっ、と短く笑って隼樹が続ける。

「まぁぶっちゃけて言うと、俺がここにいるのは、スカリエッティとナンバーズが好きだからです。といっても、スカリエッティは悪友とも違う、最低な知り合いみたいな感じですけどね。笑顔怖いし。まぁ、それでも気に入ってるんですよ」

 自分がスカリエッティ側にいる理由を、隼樹は語った。
 理由を聞いたなのは達は、言葉が出なかった。

「あっ、そうだ」

 思い出したように、隼樹が言う。

「誰か、ギンガ・ナカジマさんって知ってる?」
「ギン姉!?」

 ギンガの名前にスバルが反応した。

「ギン姉は……ギン姉は無事なの!?」
「ああ、あの人キミのお姉さんなんだ。無事だよ。ちゃんと怪我も治療して、今は部屋で安静にして眠ってるから。なんなら映像見せようか?」

 言って隼樹は、携帯電話のボタンをプッシュする。
 すると、なのは達の前にモニターが現れた。モニターには、ベッドで眠っているギンガが映っている。

「ギン姉!!」

 モニターを見て、大声でスバルが姉の名を口に出した。

「スカリエッティの話だと、明日には目が覚めるって。危害を加える気もないから、安心してください」
「ギン姉……!よかった……!」

 ギンガの無事を確認して、安堵からスバルは目から大粒の涙を零す。
 よし、とりあえず、これで相手側をプッツンさせる要素が一つ減った、と隼樹は心中でホッとした。

「じゃあ、もう消しますね」

 モニターを消そうとして、隼樹の手が止まった。

「あっ、そうだ」

 また思い出したように、隼樹が言った。

「機動六課の皆さんに、言いたい事があったんです」
「え?」

 なのは達は、モニターを見る。
 隼樹は、ニッと笑った。

「お前らの事は嫌いだから。あと、お前らが使ってるのが魔法なんて絶対認めねーよ」

 笑顔で言った後、隼樹はモニターを消した。


*


 モニターを消して、隼樹は深い溜め息をついた。

「あ〜、画面越しとはいえ緊張した〜!」
「大丈夫ですか、隼樹さん?」
「だ、大丈夫です」

 機動六課の連中の前で、冷静な態度をしていたが実は内心ビクビクしていたのだ。

「でも、最後に言いたい事言えて、ちょっとスッキリ」
「ふふふ。それはよかったですね。そういえば、ここにいる理由で、さりげなく私達が好きって言っちゃってましたね」
「あ……」

 思い出して隼樹は、顔が真っ赤になっていく。

「あああああああああ!!」

 恥ずかしくなって、隼樹は頭を抱えて叫んだ。
 その様子を、ウーノとスカリエッティは微笑んで見ていた。
やっと次回から、本格的に戦闘開始……するかも!?


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。