ギンガ「世の中には、不測の事態と言うのが起こります。ソレは、良い方にも悪い方にも起こる可能性があります。運命を変える為に闘う彼に起こる不測の事態は、どちらになるのか? 『ナンバーズ〜魔法が使えない男リベンジ!〜』始まります」
No.18 躊躇してる時じゃない
こんなハズじゃなかった。
あの隼樹、ナンバーズだけじゃなく本来戦場に出ているハズのギンガやガジェットⅣ型を数機ひっさげて来やがった。
クソッ! 俺とした事が、こうなる事は予測しておくべきだった。戦力、実力で劣る奴等が巨大な組織に勝つ最も有効な手段は、トップを潰す事だ。しかも、時空管理局のトップである最高評議会は、今回の事件の元凶だ。奴等の狙いは、最高評議会の今までの悪事と今回の事件の真相を世界中に暴露する事だろう。そうなれば、戦闘で敗北しても管理局側の不祥事が世間に明かされ、批難を受け、ナンバーズの刑が軽くなる。
奴はソレを狙って、ココを攻めてきたんだ。
今、俺の前では奴の軍団とこちらの魔導師隊が戦闘をしている。
戦況は、正直あまり良いとは言えない。ⅠからⅢ型のガジェットは問題ではない。ソコは問題無いのだが、厄介なのはⅣ型のガジェットだ。あのタイプのガジェットは、光学迷彩で姿を消す事が出来る。ロボットだから、気配や魔力で動きを察知する事も出来ない。純粋な戦闘力なら、こちらの魔導師の方が上のハズだが、姿を消されては分が悪い。
ソレに加え、完全戦闘型のセッテに魔法と格闘技を使いこなすギンガが居る。ガジェットⅣ型ばかりに気を取られてる魔導師の隙を見逃さず、ブーメランブレードで吹き飛ばし、突きや蹴りで倒している。
しかも、
「鬱陶しいわね!」
奴等に混じって、妙な女が一人居る。
長い金髪を左右に分けた女だ。半壊した機動六課隊舎で見た女なのだが、どうやら人間では無いようだ。背中から、ガジェットⅢ型の持つ太いアームのような物を出して、魔導師を薙ぎ払っている。アームの先からは光線を撃ち、明らかに人間では無い。隼樹の他にも、イレギュラーな奴が出現したのだ。
隼樹の手駒と俺の手駒では、奴等の方が一枚上手だ。こちらが奴等より勝ってる部分は、数だけだ。
マズイ。このままでは、遅かれ早かれ突破されてしまう。
「ぐっ……!」
目の前の戦況を眺め、俺は逆転の方法を考えた。
最も手っ取り早いのは、こちらが先に最高評議会を始末してしまう事だ。隼樹の狙いは、あくまで最高評議会の逮捕であり、ソレには連中が生きている事が絶対条件となっている。つまり、先に最高評議会を始末すれば、奴の計画は破綻する。こちらの勝ちだ。
しかし、事はそう簡単ではないのも事実だ。現状では、こちらは奴等に押されてる形になっている。そんな状況で、最高評議会を始末する為に俺や何人かの魔導師を退かせたら、士気に影響が及び、数も減らす形になって奴等に突破の好機を与えてしまう。
緩められないっ……!
このギチギチに閉じられた兵の壁は、緩められない。ココは、最終防波堤、俺の最後の砦なんだ。この場を突破されたら、それこそ終わりだ。
歯を食いしばり、汗まみれの拳を強く固めた。
甘く見ていた。あのガキが、ここまでの戦力を揃えてくるなど考えてもみなかった。俺とした事が、とんでもない誤算、不覚だ。
「藤堂様……!」
俺の動揺を察したのか、秘書のアリスが心配した顔で寄ってきた。
今の戦力で、奴等を押さえ切るのは不可能だ。となれば、俺に残された手は一つしかない。
「アリス……」
「はい。何でしょうか?」
「アレがあったな……!」
「え……?」
ちっ、察しの悪い女だ。
この最悪の状況で、アレと言ったら一つしかないだろう。何とか苛立ちを抑えながら、俺は言った。
「このくだらない戦いが終わり、ほとぼりが冷めた後に動かそうとしてた奴だ」
「あっ……!」
ようやく分かったか。
「アレを動かすぞ……!」
「で、ですが藤堂様。アレはまだ未完成で、テストも完全には終了していません……! 今動かすのは……」
「テスト終了前もクソも無いっ……!」
苛立ちを抑え切れず、とうとう俺は声を荒げた。
急に声を荒げた俺に、アリスは驚いてビクリッと体を大きく震わせた。
この馬鹿女は、今の状況が解っているのか? ココを突破されたら、全てが水の泡になるんだぞ!
「ココの突破だけは、絶対に許す訳にはいかないんだっ……! その為には、手段なんか選んでいられない! 殺すっ……! 奴等を……いや、隼樹を、ココでキッチリと……!」
そうだ。今は手段なんか選んでる余裕は無いんだ。どんな事をしてでも、ココを守り切る事が先決だ。使い物にならなくなれば、また造ればいいだけの事だ。大事なのは今だ。
「分かったら行けっ! アレを起動させるんだっ……!」
「は……はっ!」
俺の命を受け、アリスは踵を返して走り去っていった。
アリスの背中が見えなくなり、俺は忌々しげに隼樹を睨んだ。
こなったら、躊躇してる時じゃない。何が何でもココを死守して、奴を殺すんだ……!
その為にも、今は耐えるんだ。俺の最終兵器──アレが届くまで、この兵隊の壁で持ち堪えるんだ。この壁を突破されたら、もう守る手段は無い。
イレギュラーにはイレギュラーを、だ。
*
「よしっ! いいぞ!」
戦況は、思って以上に有利な展開になってる。
一也が集めた魔導師隊は、確かに強い。けど、それでも俺達の方が優勢だった。コレは、ガジェットⅣ型を連れてきた事が大きい。いくら魔導師が強くても、姿を消せる相手となると戦い難くなる。しかもガジェットⅣ型ばかりに意識を向けてると、サードやセッテ達が隙を衝いてくるからな。サードとガジェットⅠからⅢ型だけじゃ、こうはならなかったね。ホント、クアットロがⅣ型を譲ってくれて助かったぜ。スゲー感謝してる。戦いが終わったら、改めて礼を言わないとな。
それにしても、と俺は戦ってるサードを見る。セッテが強い事は知ってたし、ギンガもそれなりに強そうだとは思ってたけど、まさかサードがここまで凄いとは思わなかった。背中から二本の太いアームを伸ばして、薙ぎ払うように魔導師に攻撃を仕掛けてる。それだけじゃなく、アームを合体させて何かデカい大砲になってレーザー砲撃まで撃ちおった。何かAMFのオマケ付きみたいで、相手の障壁を突き破って魔導師を何人も吹っ飛ばしてる。
──マジパネェよ。
元々戦闘機能が付いてたのか、今日の戦い前にスカリエッティから改造を受けたのか分からんが、とにかくサードも強かった。
サード達の活躍で、見る見る敵兵が倒れ、数が減っていく。無論、こっちのガジェットも何機か破壊されてるが、俺達の優勢に変わりは無い。それに、壊されたガジェットは無駄死にじゃない。アイツ等が意地張って踏ん張ってたお蔭で、敵は明らかに疲弊してる。恐れを知らないロボットだからこそ、躊躇無く突っ込み、敵にプレッシャーをかけて精神的にも追い詰める事が出来る。
──勝てる……! いや、勝つっ……! 絶対に勝ってやる……!
戦況は優勢で、順調に進撃してる。ガジェットⅣ型とセッテ達の高い戦闘力が上手く合わさって、次々に魔導師を倒していってる。ただし、殺しはしない。人殺しは絶対にしないよう、全員に言ってある。俺達の目的は、あくまで奥に居る最高評議会を表に引っ張り出す事だ。
そう、順調に進んでいた。
なのに、戦いの最中で俺は妙な違和感を憶えた。そのキッカケは、敵兵の奥に居る一也と目が合った時だった。
アイツは、険しい顔で俺の方を睨んでいた。一見すると、目障りな俺をただ睨んでるようだが、何か引っ掛かった。アイツの顔は、ただ単に俺を憎んでる表情じゃなくて、何か、こう……イライラしてる感じだった。まるで、何か待ってるような。
いや、と俺は頭を左右に振った。考え過ぎだ。初めて大きな戦いってヤツに参加したせいで、緊張していらん不安を抱いてるんだ。
俺は、必死に気のせいだと自分に言い聞かせ、不安を振り払おうとした。
けど、一向に俺の中の不安は消えなかった。
相手の魔導師の数は、もう残り僅かだ。そろそろ、姿を消したガジェットⅣ型がすり抜けられる位の隙間が出来てる。正体の解らない不安が胸中に渦巻いてるが、目の前には好機が出来つつあった。現に、一也の顔色はさっきよりも悪くなっている。奴にとって、コレは想定外の事態なんだ。
ガジェットには、道が出来次第、前に進むようあらかじめ指示を与えてある。今指示を飛ばさなくても、ガジェットは自己判断で兵の隙間を縫って奥に進むハズだ。
相手の魔導師の数は、もう五、六人にまで減っていた。こっちも、それなりの被害はあるが優勢には違いない。
コレならイケる!
そう思った時だった。
一際大きな金属が砕ける音が、通路に響いた。
「えっ!?」
一同の視線が、音の出所に向けられた。
ソイツを見た瞬間、ゾクッと背筋に悪寒が走った。
視線の先に、見た事も無い異形が居た。思わず自分の目を疑った。全体的には人の形に近いが、顔が人間のモノではない。トカゲのような、爬虫類の顔をしている。まるで特撮ヒーローに出てくる怪人のようだ。
実際にあんなモノを見ても恐がらないだろう、と思ってたが、そうでもなかった。ソイツを見た俺は、完全にビビってた。
「何なんだよ、アレ……?」
絞り出したような声で、疑問の言葉を出した。自分でも驚く程、震えていた。
セッテ達も突然現れた怪物を警戒してか、見据えたまま動きを止めていた。
謎の怪物が現れた途端、追い詰められてた一也が冷や汗を流しながらも余裕の笑みを浮かべた。
「ククク……! コレでお前等の快進撃も終わりだ、隼樹……! いいぞ、好きなだけ攻めてこい。雑魚が何匹かかってこようが、問題無い……! 全てコイツが蹴散らす……! 俺が造った半生物兵器でな……!」
「半、生物兵器……?」
一也の言葉を聞いて、半ば唖然とした様子で呟いた。
一也は、狂気染みた笑みを浮かべ、言った。
「やれ、ガルマっ……!」
指示が出た直後、異形──ガルマが動き出した。
何も無い所に跳んだガルマは、拳を固めて鋭い突きを放った。宙に放たれた突きは、ガシャンと硬い物が壊れる音が鳴った。突いた空間が歪み、バチバチと放電したかと思うと、ボディを貫かれたガジェットⅣ型が現れた。
「なっ!?」
「まさか……ガジェットの位置を見破った!?」
近くで身構えていたセッテとギンガが、驚愕の声を上げた。
勿論、俺やサードも驚いた。光学迷彩で姿を消したⅣ型を捉えるなんて、信じられなかった。
俺達の驚く様を見て、一也が笑い声を上げた。
「カカカ……! 残念だったな、隼樹! ガルマに、ガラクタの小細工は通用しねーんだよ!
ソイツはな、魔力の他に、熱源で相手の動きや位置を把握するんだ! 熱は人間もガジェットも持っている共通のエネルギーだからな……姿が見えないなんて、関係無いんだよ!」
そして、一也が解説を終えた直後、ガルマはガジェットの群れに向けて大きく口を開いた。
次の瞬間、口の中にエネルギーが溜まって、ソレをガジェットの群れに向けて一気に放出した。放たれたエネルギーは光線のように宙を飛び、ガジェットの群れに直撃して、通路を揺らす大きな爆発を起こす。
煙が晴れていき、粉々になったガジェットの残骸が見えてきた。
ガルマの砲撃の威力を見て、俺は尻餅をついてしまった。足もガクガク震えてる。
「セッテ! サード!」
「言われなくても!」
「分かってるわよ!」
想像以上の脅威を目の当たりにして、ギンガは殲滅に動くよう二人に声を投げた。
三人は、それぞれ三つの角度から攻撃を仕掛ける。
「ナックルバンカー!」
「IS・スローターアームズ!」
「喰らえっ!」
ギンガは背後から硬質フィールドを纏った拳の突きを放ち、セッテは左側から二つのブーメランブレードを飛ばし、サードは右側から砲撃を放った。
空が無い通路では、逃げ場は無い。流石にコレは避けきれないと思ったが、驚きの光景を目にした。
「なっ!?」
攻撃を仕掛けた三人が、同時に驚愕した。
ガルマは回避しないで、三人の攻撃を防いでいた。半球状のドームのような障壁で体を覆って、三方向の攻撃を受け止めてるのだ。
「無駄だっ……! ガルマの障壁は強化されてる上に、魔法を無効化させるAMFも含まれてる! 物理攻撃・魔法攻撃に対する対策は万全なんだよ!」
「そ、そんな……!?」
三人はガルマから離れて、間合いを広げた。
俺は、余裕を取り戻した一也を睨んだ。
──あの野郎……! なんてモノ隠し持ってやがんだ……!
こんな隠し玉があったなんて、想定外だった。違法研究の実験体を持ってるのは、スカリエッティだけと決めつけてた。その思い込み、決めつけで足を掬われた。
「決めろ、ガルマっ! そのクズ共に、力の差を見せてやれ!」
一也の指示を受け、ガルマは体勢を変えた。
屈んで両手を床に着け、四足歩行の獣のような構えを取る。目は先ほどよりも鋭くなったように見え、獲物を狙う獣のような威圧感を放っている。何か仕掛ける気だ。
敵の異変を感じた三人、それにガジェット達も対応出来るよう身構えた。
メキメキと四肢に力が入る音が、耳に入ってきた。
何をするつもりなのか、と凝視していると、次の瞬間にはガルマの姿が視界から消えてた。
「え……?」
呆けた声を出した直後、一体のガジェットが斜め縦に割れた。
「えっ!?」
壊れたガジェットの目を向けた直後、また別の方向から何か壊れる音が聞こえた。
まさか、と思い振り向くと、ソコには真ん中に何か貫通したような穴が空いたガジェットⅢ型があった。
何が起きてるのか解らず、通路全体に目を向けた俺は、驚愕して目を見開いた。
俺の目に飛び込んできたのは、線だった。ダダダダダッと激しい音を立てて、線が幾つも通路内を物凄い速さで飛び交っていた。
ガルマだ、と直感した。多分、手足の異常な筋力で床、天井、壁を蹴って飛びまわってるんだ。更に厄介なのが、縦横無尽に跳び回ってて、動きや攻撃の軌道が全然読めない。並の人間の俺じゃあ、沢山の線が通路内に引かれてるように見えるだけで読みもクソも無い。
「動きが読めない!」
「メチャクチャよ、コイツ!」
ギンガ達ですらガルマの動きは捉えられず、どう対処したらいいのか困惑していた。
そうこうしてる間に、次々とガジェットが破壊されていく。
腹の底から悔しさが込み上げてきて、俺は固めた拳で床を殴った。見てるだけの自分が、ふがいなくて、何も出来ないのが悔しい。
そして、ガルマの牙はセッテ達にも襲いかかった。
「がはっ!」
無防備の背中を強打され、ギンガは床に倒れた。
「ぐあっ!」
セッテは、二本のブーメランブレードを破壊され、腹に砲撃並の打撃を受け、前のめりに倒れた。
「ぐっ……!」
サードは、両足を破壊されてバランスを崩して床に倒れた。更に、背中から出ているアームも破壊して、武装を無力化させた。
五分も経たない内に、戦況はひっくり返された。
「み、皆……!」
倒された皆の元に駆け寄ろうとしたが、ソレは叶わなかった。
突如、目の前に黒い物体が現れ、行く手を阻まれた。
ガルマだ。
「がっ……!」
左頬を拳で殴られ、床に倒される。
更に体の上に乗られ、身動きが取れない状態になった。何とかどかそうとするが、物凄い怪力で押さえられて全然動けない。
「じゅ……隼樹ぃ!」
サードの呼ぶ声が、聞こえた。俺よりも危険な状態なのに、こんな時でも俺の心配をしてくれてる。
セッテ達も受けたダメージが大きそうで、すぐに動けないようだ。
「ハハハハハ!」
次に聞こえてきたのは、一也のムカつく笑い声だった。
カツカツと足音を鳴らして、一也が近づいてきた。
「終わりだ、終わり……! 終戦! 敗者決定っ……!」
俺を指差して、一也が敗者宣告をした。
「ぐっ……!」
涙目で一也を睨む。
怪物に追い詰められた恐怖、一也に言いたい放題言われる悔しさ、ソレらの感情が渦巻いて、目から涙が出てきた。
──くそっ……! ここまで来たのに、負けるのかよ! 結局、歴史は変えられないのかよ……ちくしょう……!
心中で悔しさを叫ぶ俺を見下ろして、一也は笑う。
「これで解っただろう! お前のような弱者が、運命を動かせる訳ねーんだよ! お前みたいなクズは、一生勝てねーんだよ! クズっ! クズがっ……!」
俺を見下し、暴言を吐いてくる。
何か言い返してやりたいが、言えなかった。悔しいけど、今の俺は敗者以外の何者でもない。
悔し涙を流してる時だった。
「藤堂様……!」
一也の後ろから声が聞こえた。
女の声だ。
一也が振り返った先には、さっき居なくなった女局員が立ってた。急いで来たのか、少し息を切らして肩を揺らしてた。
「おおっ、アリスか。ガルマの起動、ご苦労だったな」一也は機嫌良く部下に言葉をかけた。
「今、この身の程知らずの馬鹿にトドメを刺すところだ……! ククク……コレで全て解決だ……! コイツさえ消せば、邪魔者は居なくなり、俺の時代がやってくる……!」
仲間は倒され、俺自身も取り押さえられて身動きが取れない。
絶体絶命の状況だ。この状況をひっくり返すのは、無理だ。一也のように、隠し玉でも無い限り──。
そう、諦めかけた時だった。
ドスッ、と何か刺すような音が耳に入った。俺が、ガルマに手刀か何かで刺されたのかと思ったけど、体に痛みは感じなかった。すると、ポタッと何か雫が落ちてきた。視線を下げる途中で、赤い液体が目に入った。その赤い液体は、俺に乗っかってるガルマの腹の辺りから滴り落ちていた。
「え……?」
偶然にも、俺と一也の声が重なった。
ただ、一也の方が若干驚きの気が大きい感じだ。
「あら、ごめんなさい。隙だらけだったので、つい刺してしまったわ」
ガルマの背後から、聞き覚えのある女の声が聞こえた。
顔を動かして、ガルマの背後を見ると、意外な人物が居た。
ガルマの背後から刃物を刺したのは、なんと一也の部下のアリスと言う女だった。
「なっ……!? アリス! 何をしてる!?」
部下の凶行に、激しく動揺した一也が声を荒げた。顔色を悪くさせて、後ずさる。
アリスは刃物を抜き取り、ガルマの体を押した。不意を衝かれたガルマはバランスを崩し、俺から離れた。その隙に、アリスは俺の腕を掴んで引っ張り、立たせた。
「え? え? え?」
訳が解らず、俺は混乱する。
どうして敵側の彼女が俺を助けたのか、全然解らない。
「貴様……誰だっ……!?」
ワナワナと体を震わせて、一也は怒声を上げた。
頭に血がのぼって熱くなってる一也に対して、アリスは冷徹な笑みを浮かべた。
「この子のお姉さん、と言ったところかしら?」
答えた直後、アリスの姿が変化した。
一也と俺は、驚愕して目を大きく見開いた。
「ああっ……!」
「ドゥーエさん……!」
俺を助けてくれたのは、ナンバーズのドゥーエだった。
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