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ドゥーエ「『ナンバーズ〜魔法が使えない男リベンジ!〜』始まります。さて、今日はお二人をどう弄りましょうか?」
No.11 二人の異世界人と未来
 ドゥーエとの同居生活七日目。
 今日でドゥーエとの同居生活も終わる。思い返すと、一部を除いて割と普通の生活だったな。一緒にご飯食べて、休みの時は部屋でテレビ観たり、買い物に出掛けたり、極々普通のありふれた日常だよ。まあ、たまにちょい刺激的な事も、されたっちゃされたけどね。いやいや、悪いけど詳しい説明は出来ないな。ココじゃ描写出来ないから、教えるのは無理だ。
 そんな感じで、俺とサードはドゥーエと平和平穏な日常を過ごしてきた。
 最終日の今日も何事もなく、平和に過ごせると思った。けど、見事に俺の思いはぶち壊された。
 皆さん、事件です。
 現場は、ミッドチルダの首都・クラナガン。

「ちょっと、何でアンタまで隼樹にくっついてるのよ……?」
「あら? そんなの、私の自由でしょ? それに、隼樹さんだって嫌がってないみたいですし」

 犯人は、サードとドゥーエの二人で、人質は塚本隼樹──つまり、俺です。両サイドに回られ、腕を絡めてきてガッチリと捕まってます。そりゃもう、女性だけの柔らかい膨らみが当たる程、ガッチリとです。
 俺が周りを見渡すと、男共の目が痛いっす。敵意と嫉妬心剥き出しで、『何であんな地味男が、美人二人とくっついて歩いてんだよ?』って顔をしてる。
 周りの視線を辛く思う俺の両サイドで、サードとドゥーエが睨み合ってる。そりゃもう、火花散らせる程です。俺が入り込む余地なんて無いし、入り込む勇気なんてありません。だって、俺ヘタレだから。女って、怖いんだよ。
 何でこうなったのかと言うと、最後に皆で街に出掛けようとドゥーエが提案して、俺達は断れる訳もなく承諾したのだ。まあ、ぶっちゃけ断る理由も無いし、今までも何度か一緒に外出してたからな。
 そこまでは良かった。何の問題も無かったが、その後で異常事態が発生した。
 着替えて外に出た途端、ドゥーエが腕を絡めてくっついてきたのだ。当然、俺はビックリしたよ。ドゥーエとピッタリくっついて、恥ずかしくて顔が赤くなった。俺と腕組みをしてるドゥーエは、全く気にした様子もなく、笑顔で「行きましょう」と言ってきた。まあドゥーエに限らず、魅力ランクが最下位に位置する俺如きと腕組みして、恥ずかしがるなんてあり得ないからな。俺はスゲー動揺して、興奮したけど。
 しかし、事はドゥーエに腕組みされて終わりでは無かった。ドゥーエの行動を見て、何故かサードが顔を赤くして怒鳴ったのだ。どうしてサードが怒ってるのか分からなかったけど、多分、護衛と言う自分の役目で、ドゥーエから俺を護ろうとしたのだろう。でも、ドゥーエが思った程の危険人物じゃない事は、サードも解ってるハズなんだけどな。困惑する俺の前で口論したかと思えば、サードまで空いてる腕に絡み付いてきた。
 んで、現在に至るって事だ。
 ドゥーエと睨み合ってたサードが、視線を俺に向けた。

「隼樹。アンタも、嫌なら嫌ってハッキリ言った方がいいわよ」
「いや……はあ……。別に嫌って訳じゃ……」
「はあ!?」

 俺の言葉を聞いたサードは、目を剥いて顔を近付けてきた。迫力と身長差もあって、超怖い。

「ふふふ。ホントに、隼樹さんは正直者ね」

 ドゥーエ、笑ってないで助けて下さい。

「くぅ〜!」

 サードは俺から顔を離して、またドゥーエを睨み付ける。
 何となく分かった。要するに、ドゥーエはサードをからかってるのだ。サードって単純なところがあるから、ちょっとした事ですぐムキになる。ドゥーエにとっては、最高の弄り相手だろう。
 まあ、サードをからかうのは別にいいけど、その為に俺を巻き込むのはやめてほしい。いや、腕組みは良いんだけど、状況が状況だからさ。こんな睨み合う状況じゃなきゃ、最高なんだけどな。
 端から見たら羨ましいかもしれないけど、中心地に居る俺は、ちょいと複雑な心境なんだよ。何時サードが、本気で怒り爆発させるか分からないしさ。つーか、コイツ本当にロボットか? 今更だけど、スゲー人間っぽいんだけど。
 まあ、とにかく、一触即発とはいかないが、ソレに似た状態で俺達は街を回った。ウインドショッピングしたり、ゲームセンターに入ったり、飲食店でご飯食べたりした。あっ、勿論サードはロボットだから、食事は出来なかったから。
 二人と街を回ってる途中で、ふと俺は思った。
 ──コレって、デートっぽくね?
 今まで意識してなかったけど、男女が腕組みして街を回るのって、世間一般じゃ『デート』って言うんだよな?
 そう思った時、一気に緊張感が増してきた。少し落ち着いてきた心臓の鼓動が、更に加速してきた。夏でもないのに、顔が熱くてメチャクチャ汗かいてきた。
 だってさ、普通の買い物とデートって別物じゃん! いや、俺は今までの人生でデートなんて体験した事無いけど、絶対違うって! だって、デートって思った途端に熱くなったもん!
 汗拭きたいけど、両腕をガッチリ掴まれてるから、ハンカチを取り出す事が出来ない。しかも、二人共、力強いから余計に無理だった。ふと、警察に捕まった犯人ってこんな感じなのかな、と思った。
 街を歩き回った俺達は、公園で一休みする事にした。まあ、疲れてるのは主に俺だけどね。
 空いてる椅子に座って、一息つく。青空を仰ぎながら、デートって楽しいだけじゃないんだなって思った。

「あ〜、すいません。ちょっとお手洗い行ってきます」
「ええ」
「早く戻ってきなさいよ」

 一言断ってから、公園のトイレに行った。
 ふーっ、女と付き合うのは楽じゃないんだな。あっちこっち振り回された感じで、何だかスゲー疲れた。世の彼氏達は、いつもこんな苦労してんのかな。今まで、カップルを見ては殺意を抱いてきたけど、ちょっと見方を変えるか。
 そんな事を考えながら、俺は用を足してトイレを出た。
 それと同時に、俺の平穏は終わりを告げた。
 ハンカチで手を拭いて、ドゥーエ達が座ってる椅子に向かう途中で、彼女と出会ってしまった。

「あれ? 貴方……」
「え?」

 俺の事? と思いながら、横に振り向く。
 ソコには、以前の地下騒動で最初に遭遇した局員──ギンガが居た。
 今日は例のコスプレではなく、ちゃんとした茶色の制服を着ている。

「あ゛っ……!」

 俺も驚いて、顔を引きつらせた。
 ──俺、どんだけ運()ぇんだよォォォォ!?
 自分の不運に、俺は内心にシャウトした。
 更に運が悪い事に、俺は地下騒動の時と全く同じ服装をしている。面倒くさがり屋な性格が、こんな所で仇になるとは。
 最初こそ以外な展開に驚くギンガだったが、すぐに冷静さを取り戻して詰め寄ってきた。流石、捜査官。

「貴方、地下で会った人ですよね?」
「いや、人違いじゃ……」
「いいえ。その顔と服装は忘れません」

 そそくさと立ち去ろうとしたが、腕をガシッと掴まれた。女の子とは思えない、物凄い握力だ。
 ちょっ、痛い! マジ痛い! この()、本当に女の子!? この世界の女の子は、ホンットどうなってんの!? どっかの戦闘民族なの!? 赤いリボンの組織の博士が作った、サイボーグ!?
 ハッキリ言って、ヤバい事態だ。管理局に捕まったら、俺は犯罪者と言う事で、裁判で有罪判決受けて、完璧に人生終わる。

「地下騒動の重要参考人として、一緒に機動六課まで来てもらいます」
「あっ、いや、その……」

 連行される俺は、チラッとドゥーエ達の方を見た。
 サードが何やら暴れていて、ドゥーエが抑えている。俺の異変に気付いて、サードは助けようとしてドゥーエが止めてる感じだ。そりゃそうだよな。ドゥーエは潜入任務中なんだから、正体がバレるような事は避けたいハズだ。そう考えると、管理局側に捕まった俺を始末にし来る可能性もあるな。俺の口から、ナンバーズの情報が漏れる事を恐れてさ。

 私の正体がバレるような事をしたり、任務の邪魔になるようでしたら……殺しますよ……?

 ドゥーエに言われた警告が、俺の中で蘇る。
 終わったな、と俺は絶望のドン底に落ちた。


     *


 ギンガに連行されて、俺は機動六課って部隊の建物にやってきた。
 局員は若い奴等ばかりで、明らかに俺より年下のガキまで居る。ソイツ等は、地下で会った例のコスプレ集団だ。今は、ギンガと同じく制服を着て仕事をしてる。
 機動六課に連れてこられた俺は、早々に取り調べを受けた。相手は、地上で会った高町何とかってのとフェイト何たらって二人の女局員だ。取調室には、ギンガも同席してた。
 結果から言って、俺は連中に何にも喋らなかった。所謂、黙秘ってヤツだ。嘘や隠し事が苦手な俺は、喋る事自体をやめた。え? 何でナンバーズの事を、隠すのかって? だってさ、連中に喋るって事は、ナンバーズを裏切るって事になるだろ? どうせ喋ろうが黙っていようが、その内、潜入と暗殺が得意なドゥーエに殺されるんだろうけど、ナンバーズの事は裏切りたくなかった。一応世話になったし、ガジェットは友達だし、サードも居るしさ。それに、どうせ俺の人生おしまいなんだから、ドゥーエに殺されるのも悪くない。でも、出来れば苦痛が無いように殺ってほしいな。
 結局、最後まで口を割らなかった俺は、牢屋に入れられた。無機質な冷たい壁が剥き出しで、ベッドと洗面台、机にトイレが備え付けられた一室だ。俺はベッドの上で、大の字になった。ナンバーズの皆やサードは、どうしてるかな? いや、今は、もう何も考えたくない。何もする気にはなれない。
 初めて見る天井を眺めて、俺は溜め息をついた。今の状況を一言で表すなら、転落だな。可愛い女の子とデートみたいな事して、浮かれた結果がこの様だ。何コレ? もう笑っちゃうよね。正直、もうどうにでもなれって感じだよ。捕まった犯罪者ってのは、こんな気持ちなのかね?
 ベッドで横になって数分。ウトウトしてきた時、音が耳に入ってきた。ガツンガツン、と足音のようだ。廊下に響く足音は、俺が居る牢屋に近付いてくる。
 俺は上体を起こして、鉄格子の向こうの廊下を見た。
 ソコに現れたのは、一人の男だった。黒髪で、年齢は二十代前半位で俺と同じか少し上だろうか。端正な顔立ちで、制服を綺麗に着こなした姿はいかにもエリートと言った感じがする。但し、着ている制服は機動六課の連中と違って、色が青い。
 牢屋の前にやってきた男は、ニッコリと俺に笑顔を向けた。

「貴方が、地下騒動の重要参考人ですか?」
「そうですけど……?」

 何なんだ、コイツ? 他の局員と何か、雰囲気が違う。

「ああ、自己紹介がまだでしたね。私、時空管理局本局から参りました、藤堂一也と言う者です。以後お見知りおきを」

 変わらず笑顔で名乗る男──一也を俺は不審に思った。他の連中とは、やっぱり何かが違う。態度とか雰囲気とか、そう言う事じゃなくて、もっと明確な違いがあるような気がする。
 笑顔を絶やさず、一也は言う。

「ふふ。何やら意地を張って、黙秘をしてるみたいですが、無駄な事ですよ。貴方が黙っているところで、彼女達の運命は変わらないのですから」
「え……?」

 一也の言葉に、俺は僅かに動揺した。
 今、コイツ何て言った? 彼女達の運命は変わらない、だって? どういう事だ?

「どういう事だ? と言う顔をしてますね。信じられないかもしれませんが、私には解るんですよ……この世界の未来が、ね……!」
「この世界の未来……? まさか……」

 超能力者じゃあるまいし、そんな事解る訳がない。
 疑いの目を向ける俺に、一也は衝撃の内容を語り出した。

「ええ。実は、私も貴方と同じなんですよ」
「俺と同じ?」
「はい。私も、別の世界からミッドチルダにやってきた異世界人なんです!」
「なっ……!?」

 俺は驚きを隠せなかった。一也が同じ異世界人って事もそうだが、何より俺の正体を知ってる事の方が驚きだった。俺が次元漂流者だって事は、スカリエッティとナンバーズしか知らない事実のハズ。
 ソレを知ってるコイツは、何者なんだ?
 俺の動揺に構わず、一也は続ける。

「最初に言っておきます。貴方も地球の日本出身でしょうが、私と貴方が居た世界は違います。その証拠に、貴方はこの世界を知らない。しかし、私は知っている。
 何故なら、私の世界では“この世界はアニメとして放送されていた”んですから……!」
「ア、アニメ?」

 何を言うかと思えば、コイツ頭大丈夫か?
 俺が怪訝そうに眉根を寄せるが、一也は全く気にした様子はない。

「とは言っても、私はこの世界がアニメの世界だなんて思ってません。私の知るアニメに近い、パラレルワールドだと考えています。まあ、信じられないのも無理はありません。ですが、事実です。何なら、この先の出来事を特別にお教えしましょう」

 一也は、まるで講義する教師のような振る舞いで、未来を語り出す。

「この後、地上本部では公開意見陳述会と言うモノが行われます。その時を狙って、スカリエッティ一味は地上本部とココ──機動六課を襲撃します。襲撃は成功し、管理局に手痛いダメージを与えます。まあ、悪党側もそれなりに活躍しなければ、盛り上がりませんからね。
 そして後日、スカリエッティ一味は強大な古代兵器を復活させて地上制圧に動きます。ですが、連中の好調もここまでです。リミッターを外し、本来の実力を発揮した機動六課に敗れ、全員捕まってしまいます。古代兵器も破壊され、完敗です!
 いや、なかなか面白い作品でしたよ。自分達が戦ってる相手の黒幕が、自分達が属してる組織のトップなのですから、滑稽以外の何物でもない……! ククク」

 得意顔で語った一也の内容は、にわかには信じ難かった。だが、自信満々の一也の様子から、妙な説得力を感じた。一也の話には、頷ける部分もあった。最後の方の黒幕の事だけど、スカリエッティのバックに居るのが巨大組織のリーダーなら、あれだけの研究施設の資金の出所も納得がいく。黒幕から援助を受けてたんだな。

「そうそう。貴方が異世界人と解ったのも、根拠はアニメを観た事にあるんですよ。作品の中には、貴方は出てこなかった。つまり、私と同じイレギュラーな存在と言う事になるんです」

 マジかよ、と俺は驚くしかなかった。
 コレはもう間違いない。この一也って男は、この世界の事を全部知ってる。俺の正体を見抜いた事が、その証拠だ。

「ご理解して頂けましたか? 貴方が喋らなくとも、結果は変わらないのです。歴史は、定められた通りに動く。どうせ彼女達は戦いに敗れ、一人残らず捕まってしまうのですから」

 それから一也は、思い出したように“とんでもない事”を話した。

「ああ、『全員逮捕』は間違いでした。確か、一人死んでましたね」
「え……?」

 嫌な言葉を耳にして、俺は顔をしかめた。

「死んだのは……確か、二番目の戦闘機人でしたね」
「なっ!?」

 番号を聞いた瞬間、心臓が跳ね上がった。胸が締め付けられるように苦しくなって、冷静さが失われていく。
 ──ドゥーエ……? ドゥーエが死ぬ……?
 激しく動揺する俺の前で、一也は続けた。

「自分達を利用していた黒幕を殺した後、用済みの男を殺し、目の前に居たその男の友人の逆鱗に触れて殺されてしまいました。いやはや、殺しとは恐ろしいモノですね。ククク」

 一也の笑いは、まるでドゥーエの死を嘲笑ってるようだった。
 その時、俺は心中に不快感が広まった。拳を固く握り、目を鋭くして笑う一也を睨みつける。
 俺の睨みに気付いて、一也は笑いを止めて、両手を上げた。

「おお、怖い怖い。そう睨まないで下さい。気に障ったのなら、謝ります」

 頭を下げる一也だが、謝罪の気持ちは一欠片も無いだろう。何となく、態度で解る。多分、相手も解ってるのを承知でしてるんだろうな。ソレが余計に腹立たしい。
 あ? 俺、何でコイツに腹立ててんだ?
 少し熱くなった頭に、ふと一つの疑問が浮かんだ。

「では、私はこれで失礼します。自分の身を一番に考えるのなら、素直に話す事をお勧めしますよ」

 そう言い残して、一也は去っていった。
 アイツが居なくなった後も、胸の内がスッキリしない。
 脳裏に浮かぶのは、ナンバーズとサード、それにガジェットの姿だ。
 一也の話じゃ、アイツ等は悪人って設定らしいけど、そんな悪い奴じゃないと思うんだよな。いや、寧ろ良い奴に思える。短い間だったけど、こんなどうしようもないダメ人間を受け入れてくれたり、根性叩き直すとか言って訓練に参加させてくれたり、なんやかんやで世話焼いてくれたんだよな。ガジェットも、何故か懐いてきたしさ。悪い奴等じゃない、寧ろ良い奴等だと思うし、一緒に居ると──楽しい。
 思い返してみると、アイツ等と一緒に居た時って、結構楽しかったな。
 そんな楽しい時間を俺にくれたアイツ等が、犯罪者として捕まろうとしてる。
 しかも、ドゥーエは死んじまう。

「ふざけんな……!」

 俺の気持ちは、自分でも気付かない内に声となって出てた。
 アイツ等の事よく知りもしないで、凶悪犯扱いして捕まえる? ざけんなっ! 犯罪者の事なんか知った事じゃない? だったら、俺だって管理局(テメーら)の事なんか知るか!
 そこで俺は、ハッと気付く。

「そうだよ……。元はと言えば、管理局のトップのせいじゃねーか!」

 一也が言ってたじゃねーか。自分達の属してる組織のトップが、事件の黒幕だって──。
 あ? 待てよ? って事は管理局は、テメー等の組織の不祥事は隠して、ナンバーズだけ捕まえて事件解決って事にしたのか? そうなのか?
 そう考えると、腹の底から熱い怒りが込み上げてきた。
 ふざけんなよ、クソ野郎ども! 責任回避してんじゃねーよ!
 俺はベッドから立ち上がり、鉄格子を掴んで叫んだ。

「すいません! 誰か来てくれませんか!?」

 ぶちまけてやる! 一也から聞いた情報を、全部機動六課(ココ)の連中にバラしてやる!
 ナンバーズだけを犯罪者にするなんざ、許さない! 許してたまるかっ……!

「どうかしましたか?」

 やってきたのは、俺を捕まえて連行したギンガだった。
 俺は真相を話すべく、口を開いて、

「あの……!」

 すぐに言葉を止めた。

「何ですか?」

 牢屋の外では、ギンガが俺の言葉を待ってる。
 けど、俺は言えなかった。
 自分の行為の無意味さに、気付いちまったんだ。
 ──話してどうなる……?
 鉄格子を握ったまま、俺は顔を伏せた。
 ──話して……真実を訴えて……! そんな事したって、何も変わらない……! 変わらないんだよっ……!
 自分の無力さに歯噛みしながら俺は、その場でうなだれた。
動き始める運命

歴史と言う強大な力に、凡人・隼樹が立ち向かう!

次回『運命への反逆と炎の救出劇』


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