政府は26日、九州新幹線長崎ルート諫早-長崎など未着工3区間を新規着工する方針を決めた。費用対効果など着工条件を満たすことを確認した上で、JRの同意などを経て本年度内にも認可する方針。長崎ルートは武雄温泉から長崎までを「フル規格」で整備し、一括開業する。新規区間の諫早-長崎の建設期間は着工から10年程度とされ、2018年春ごろの予定だった武雄温泉-諫早の開業は少なくとも4年程度遅れ、最短でも22年春ごろになる。肥前山口-武雄温泉の在来線複線化も、新幹線事業として一体的に整備する。
新規着工3区間は長崎ルートのほか、北海道の新函館-札幌、北陸の金沢-敦賀で、総事業費は約3兆100億円。長崎ルート諫早-長崎(21キロ)は1900億円で、複線化事業は200億円。長崎までの延伸に伴う佐賀県の財政負担はないが、複線化では約37億円程度の負担となる。今回の延伸と複線化を含め、長崎ルートの全体事業費は5千億円になる。
長崎ルートはこれまで、在来線と同じ線路幅で整備する計画だったが、高速化を図るため、新幹線と同じ線路幅のフル規格に変更する。現在、在来線規格で計画している武雄温泉-諫早もフル規格に変更するが、国交省は「事業費は変わらない」としている。フル規格化で、博多-長崎の所要時間は現在の特急「かもめ」の最速より28分短縮の1時間20分となる。
長崎ルート全体の費用対効果は「1・1」で、武雄温泉-諫早だけを整備した場合の試算「1・3」より減少した。長崎までの延伸とフル規格化で時間短縮は図られるが、事業費が膨らむため、費用対効果は低下した。
また、国交省は12年度予算案の既着工部分の事業費配分を決めた。長崎ルート武雄温泉-諫早は前年度より120億円増の220億円となっている。
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