原発事故の損害賠償を巡って、被害者と東京電力との交渉の仲介を行う国の「紛争解決センター」が申し立ての受け付けを開始してから4か月になりますが、実際に和解が成立したのは2件にとどまっており、センターは賠償の基準を早期に確立し、迅速な解決を目指したいとしています。
「原子力損害賠償紛争解決センター」は、原発事故の被害者からの賠償の請求を迅速に解決しようと、東京電力との交渉を仲介するために設置され、去年9月から申し立てを受け付けています。これまでに500件を超える申し立てがありましたが、和解が成立したのは2件にとどまっています。この理由について、センターは、個別の被害の実態を把握するのに時間がかかっていることや双方が納得する賠償の基準を作るために慎重に検討を進めてきたためだとしています。センターは先月27日、東京電力が支払いに応じてこなかった住宅の損害に対する賠償の和解案を初めて示しました。センターには今後、被災した地域の住民が集団で申し立てを行おうという動きもあり、一層の迅速な解決が求められることになります。センターの野山宏室長は「進みが遅いと言われてもしかたがない状況であり、賠償の基準を早期に確立し、迅速な解決を図りたい」と話しています。