また、バークレイズ・キャピタルのジュリアン・キャロウ氏は、欧州がふらついている以上、今後の見通しにとって最も重要なのは、2011年末に期限切れを迎える給与税減税を米議会が延長することだと言う。
■中国の成長に大きく依存
先進国がまた期待外れの1年に思いを巡らせる中で、世界経済のエンジンはかつてないほど決定的に新興経済大国にシフトした。
新興国を専門とする大手銀行スタンダードチャータードのジェラルド・リオン氏は、西側諸国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は弱く、信頼感はぼろぼろだと指摘。「対照的に、新興国ではファンダメンタルズが堅調で、政策の棚がほぼ一杯なうえ、信頼感は回復力を示す可能性が高い」と話している。
だが、こうした新興国でさえ、問題が全くないわけではない。日本の野村証券によると、中国は2011年の世界の経済成長の40%以上を担った。「中国のハードランディングのリスクについて我々がこれほど不安になるのも無理はない」と同社チーフエコノミストのポール・シェアード氏は言う。
中国は諸外国での景気減速を感じており、当局は成長を維持する能力について心配し始めている。大手銀行HSBCの屈宏斌氏は、少なくともインフレが和らいでおり、景気刺激策を講じる余地が大きくなっているとし、「中国のマクロ面の大きな課題は急速にインフレから(物価が上がらない)ディスインフレに変わりつつあり、来年に向けてより積極的な政策緩和が必要になるだろう」と言う。
2009年にはインフラ支出や国有企業による投資、住宅建設を増やす景気刺激策が奏功した。そうした資本支出は世界経済の不均衡是正という長期的な目的には何ら役立たないにせよ、再び刺激策を講じれば、うまくいく可能性は高い。
■先行きは予断を許さない
その他新興国でも成長は続いているが、ペースは鈍っている。トルコを含む東欧地域は特に、ユーロ圏の危機の悪影響を受けやすい。コモディティー(商品)ブームが踊り場に差し掛かり、中南米地域の成長が急激に減速する一方、アフリカ諸国は劇的な経済情勢の改善にもかかわらず、世界的な景気減速に極めて弱い。
先進国は2008~09年の危機から回復したとは到底言えない状況で、新興国が自律的な成長を生み出せるかどうかは不透明なため、世界は依然として危険な場所だ。2010年の力強い回復の後で、今年は極めて大きな失望をもたらした。
By Chris Giles
(翻訳協力 JBpress)
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