予想は下方修正されているものの、大抵のエコノミストは世界経済が2012年に3%を多少上回る成長を遂げると見ている。これは2011年の成長率を1ポイント下回るだけで、景気拡大の大半を新興国が担う見通しだ。
危機の中心は欧州だ。ユーロ圏内およびユーロ圏周辺の国々は今にも景気後退に入ろうとしているように見える。「バズーカ砲」がイタリアとスペインへの危機波及を防いでくれるという希望が打ち砕かれた今、欧州の大部分では政府、家計、企業が金利上昇に直面している。
■依然残るユーロ崩壊の懸念
ユーロ圏が急速に回復すると考える向きは、ほとんどない。大半のエコノミストは2012年初頭にユーロ圏経済が縮小に転じ、英国など、単一通貨圏を取り巻く国々がほぼ停滞状態に陥ると予想している。
特に懸念されているのは、景気の悪化が、問題が解決されたとはとても言えない国債市場と銀行の資金調達市場の緊張を高め、2008年のような悪循環を生み、ユーロ崩壊を招きかねないことだ。
マネーサプライ(通貨供給量)は2009年初頭以来最も速いペースで減少しており、大手金融機関クレディ・スイスのネビル・ヒル氏は「例えば欧州中央銀行(ECB)やドイツ連銀など、金融指標を特に重視する機関にとっては、これは警戒すべきサインのはずだ」と話す。
大半の観測筋はユーロが存続すると考えているが、それは政策立案者たちが問題を解決したからではない。
■米国経済にも期待できず
もう1つの巨大な先進国経済圏である米国では、大方のエコノミストは、緩やかな景気回復が続く中で選挙の年に入ると予想している。相対的に高い消費支出を背景に、失業率が低下し、成長率が欧州を上回っているため、各種調査統計はありきたりなペースでの成長が続くことを示唆している。だが、選挙の季節が近づくことから、静かな1年が保証されているわけではない。
大手金融機関シティグループのチーフエコノミスト、ウィレム・ブイター氏は、たとえ緩やかな景気拡大が続いたとしても「米国の経済成長は、2012~13年に失業率を大きく引き下げられるほど力強いものにはならないだろう」と話している。
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