世界銀行の需給予測によれば、欧州や日本などの排出枠の需要は13億9200万トン。一方、途上国の温暖化ガス削減事業を資金面や技術面で支援し、その削減実績をもとに排出枠をつくりだす国連のクリーン開発メカニズム(CDM)などからの排出枠の供給は12億3800万~14億8700万トンとみている。両者はほぼ均衡している。
しかし、ロシアや東欧諸国が持つ余剰排出枠は15億トンほどある。これらが市場に供給されると、需給のバランスは崩壊する。「パンドラの箱が開いた」。東欧諸国が持つ余剰排出枠の売却が始まった09年、CDMを使った排出枠創出事業の開発をしてきた商社の担当者はこうつぶやき、排出枠を巡るビジネスの転機を予測していた。
排出枠の移転実績(万トン) | 購入予算額(億円) | 1トン分の「単価」(円) | |
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2006,2007年度(2年分) | 23.3 | 171 | 73390 |
2008年度 | 291.5 | 303 | 10394 |
2009年度 | 4498.2 | 429 | 953 |
2010年度 | 3380.8 | 424 | 1254 |
合計(「単価」は平均) | 8193.8 | 1327 | 1619 |
東欧諸国が排出枠の売却を始めてから、その排出枠を最も熱心に購入してきたのが日本だ。日本政府がこれまでに購入契約を結んだ排出枠9782.3万トンのうち、チェコとウクライナの両政府との契約分が合計7000万トンを占める。電力会社などが購入している排出枠にも、商社を経由して東欧の余剰排出枠が多く入り込んでいる。世界銀行の資料によると、日本の民間企業の東欧諸国からの排出枠購入量は政府を上回る1億1500万トン。世界で流通している東欧諸国から流出した排出枠の8割近くを日本が購入していることになる。
日本の政府や企業が東欧からの排出枠購入を大幅に増やしているのは、その安さからだ。政府は09年度から東欧で取得した排出枠を国内に移し始めた。
政府の排出枠購入費を国内に移転した排出枠の量で割った単価は、08年度は1トンあたり1万円超だったが、09年度は2ケタ下がり同900円台になった。粗い計算ではあるが、東欧から取得した排出枠の量が、民間企業を通じて取得したCDM由来の排出枠よりも桁違いに多く、価格水準が急落したのは間違いない。市場で取引される排出枠の相場にも、一定の影響を与えているとみられる。
排出枠、COP17、温暖化ガス、脱・炭素社会
日経平均(円) | 8,390.35 | -98.36 | 6日 大引 |
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NYダウ(ドル) | 12,359.92 | -55.78 | 6日 16:30 |
英FTSE100 | 5,648.96 | -0.72 | 9日 10:36 |
ドル/円 | 76.84 - .86 | -0.33円高 | 9日 19:28 |
ユーロ/円 | 98.18 - .22 | -0.41円高 | 9日 19:30 |
長期金利(%) | 0.980 | -0.005 | 6日 14:40 |
NY原油(ドル) | 101.56 | -0.25 | 6日 終値 |