槙野智章にとっての2011年は、辛く厳しいものだった。
昨年1月にケルンへ移籍してから、トップチームではわずか8試合の出場にとどまった。そのうち先発したのは、加入直後のザンクトパウリ戦の1試合のみ。それも、出場停止に負傷に病気とDFラインの選手にアクシデントが続いたからだった。それ以降はすべて試合途中からの出場である。
移籍後半年間は環境になれるまでの辛抱だと割り切ることも、槙野にとって難しくはなかった。
しかし、新たなシーズンに入ると悠長なことは言っていられなくなった。
チームは今シーズンからノルウェー人指揮官のソルバッケンを招聘。新監督のもとで槙野はチームの始動日から練習に合流してアピールを続けたが、試合にもほとんど出られなかった。加入当初は「センターバックとして挑戦したい」と意気込んでいた槙野も、このころには「サイドバックでも、ボランチでも、ポジションにこだわらずに出場機会をつかみたい」と柔軟な姿勢を見せるようになる。それでも、出場機会は得られない。サイドバックの選手が試合中に負傷したことがあったが、そこで交代出場を命じられたのは槙野ではなく、ボランチの選手だった。
監督の言う「90分を通して安定したプレー」とは何か。
さらに、チームはプレシーズンから思うような成績が残せなかったことで、開幕直後にセンターバックとサイドバックの選手を補強した。これは監督が槙野の能力に期待していないことを暗に示すような出来事だった。槙野の心に残ったのは、悔しさだ。
「今シーズンは練習初日からチームに合流しているので、新加入の選手よりも一応このチームにいる時間は長いですし、監督のやろうとしているサッカーは理解しているつもりなのですが……」
開幕から1カ月が経過した9月に槙野は監督の元を訪れて、試合に出るためには何が必要なのかをたずねた。返ってきた答えはしかし、すんなりと受け入れられるものではなかった。
「試合に出ている選手は、お前よりも90分を通して安定したプレーをしているからなんだ」
槙野は当時、こんな心境を吐露している。
「そもそも90分試してもらえるチャンスがないので、なんとも言えないんですけどね……」
昨シーズン、シェーファー監督が指揮をとっていたころには練習試合も度々行なわれていたものの、今シーズンから就任したソルバッケン監督はほとんど練習試合を組むこともない。「90分を通して安定したプレー」というのは何を根拠にしているのかが全くわからない、その場しのぎの答えに思えた。
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