さて虫様筋のトレーニングの仕方はさして難しいものではなく、取っ手が平らな水のはいった石油ポリタンを指先にかけて一定角度巻き込めばよいのだが、その前に、さらに少し説明しなければならないことがあるので聞いてくだされい。クラッククライマー(フェースクライマーやボルダラーも一緒なのですが)が 虫様筋を鍛えたからと言って、フェースが前より上手く登れるようになるとは限らない。虫様筋を使ってない人や、弱いがためにのぼれない人は鍛えて正しく使えば、役にたつだろう。が逆に虫様筋を使い過ぎて、コリコリになって、行き詰まっている人もクラッククライマー(だけではないが)も多いのである。こういう人はまずコリ固まった虫様筋をほぐしてやるとともに、他の大事な筋肉を鍛えることが絶対に重要である。余計なことかもしれないが、虫様筋の説明を少ししたい。虫様筋は手のひらにある筋肉で各指の付け根に1つずつある。機能としては、手のひらの関節を曲げるとともに、指先の背中がわを引っ張って指先を伸ばした状態にす
る。(写真)ここから指先の第二関節の腱を使ってカチもちのポジションに持って行こうとすると、虫様筋が働いて指の背中がわが突っ張っているので、一定角度までしかもっていけない(写真)(もっていける筋肉の柔らかい人もいる)。虫様筋が働けば、カチもちしたときの握り込みは浅くなる。これはかぶったフェースなどでほどほどの大きさはあるが、少し外傾したカチなどで力を発揮するホールディングだ。一方、虫様筋にちからをいれずにカチもちをすることもできる。そうした場合、より深い握り込みができる(写真)、が手のひらのロック力はへる。虫様筋を使えば手のひらのロック力は得られるが握り込みは浅くなり、逆に虫様筋の力をぬけば手のひらのロックはへるが深い握り込みができる。が、しかしそんな面倒なことを考えながらクライミングをしてるひとはいないと思われる、身体が勝手に反応して、虫様筋がふとく、手のひらの厚いひとは、握り込みは浅くても、手のひらのロックが強いカチもちをし、一方、手のひらが薄く、虫
様筋の細いひとは虫様筋の力を抜いて握り込みは深いが手のひらのロック力は弱いというホールディングがになっているのが、普通である。総ての関節に目一杯の力が加えられたら..と思うのだがきっと身体がこわれないように虫様筋の構造はそうなっているのだろう。スラブでは指先を深く巻き込んだカチもちが有利なので.手のひらの薄い人が有利になることが多い。深く握り込んだカチもちでは虫様筋のかわりに骨間筋という指の股を閉じる筋肉が手のひらの安定筋として使われる、が虫様筋ほどの安定力は得られない。(この2つの筋肉は互いに動きを阻害しあうようで2つ一辺には使えない)この骨間筋はクラックでも多用される筋肉で、スラブが得意なひとは傾斜の緩いクラックは得意なハズである。そうか、クラッククライマーは手のひらの安定筋として骨間筋を使っているのか、それならあとは虫様筋を鍛えて、やれば..とお思いでしょうが、瑞牆の末端壁あたりにいってみると、9割くらいの人はジャミングに骨間筋を使わず虫様筋を使う
という、間違いを犯してしまっているのである。
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