中国四川省のアバ・チベット族チャン族自治州で6日、チベット族住民2人が焼身自殺を図る事件があり、1人が死亡した。昨春から相次ぐ中国政府による統治への抗議と見られる。中国当局はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世への批判を強めており、今後も緊張が続きそうだ。
在英のチベット人支援組織「フリー・チベット・キャンペーン」によると、6日午後、同自治州アバ県の重要寺院キルティ僧院近くの路上で男性が、ほぼ同じ時刻にもう1人が焼身自殺を図った。国営新華社通信は8日、地元当局者の話として、同僧院の元僧侶2人が共謀して自殺を図ったと伝えた。
同自治州や隣接するチベット自治区では昨年、チベット仏教の僧侶や尼僧、元僧侶ら12人が中国政府への抗議で焼身自殺を図った。ダライ・ラマ14世は、「自殺による抗議は中国政府のさらに強硬な対応を招く」といさめる姿勢を示しているが、中国側は「ダライ一味がそそのかしている」(新華社)として、対立が強まっている。(北京=林望)