福島のニュース
苦難糧に選手成長 全国高校サッカー 尚志、決勝進出逃す
 | 初の決勝進出を逃し、悔しそうな表情で四日市中央工の選手と握手を交わす尚志イレブン |
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 | 尚志の全校生徒が声援を送ったスタンド |
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東京・国立競技場で7日行われたサッカーの全国高校選手権準決勝で、尚志(福島)は1―6で四日市中央工(三重)に敗れた。福島県勢初の決勝進出は逃したが、東日本大震災で被災したハンディを乗り越えての4強入り。イレブンは「逆境に直面したからこそ、ここまで来られた」と胸を張った。
震災や福島第1原発事故の影響で、練習を再開したのは3月29日。4月上旬に学校のある福島県郡山市に戻ったが、放射線の影響で屋外での練習は1日2時間のみ。普段の半分以下だった。三瓶陽主将(3年)は「またみんなでサッカーがやれるかどうかさえ分からず不安だった」と振り返る。 県外から推薦入学した有力選手の2人は、被ばくを恐れ、入部直後にチームを去った。練習試合は遠征ばかり。「相手校が福島に来てくれなかった」(矢島徹部長)。 だが、苦難を糧にチームは強くなった。山岸祐也選手(3年)は「震災で練習ができなかった分、チームが一つにまとまれた」と振り返る。大会前、三瓶主将は3年生全員の名前を腕に巻くキャプテンマークに書き込み、結束を確認した。 震災で福島県天栄村の自宅が損壊した黒沢瑠生選手(3年)は部をやめて働こうと思ったが、両親に説得されてサッカーを続けた。「(両親に)感謝の言葉が言えたらいい」と、かみしめるように話した。 準決勝では、山岸選手のゴールで1点をもぎ取った。三瓶主将は「福島で応援してくれた人たちに、最後まで諦めない姿を見せることができた」と誇らしげだった。
◎スタンドから拍手と声援 「ナイスファイト」「ありがとう」―。サッカーの全国高校選手権準決勝で敗退した尚志のスタンドからは、最後まで全力プレーを見せたイレブンに、惜しみない拍手と声援が送られた。 同校初の全校応援となったスタンドは、生徒と保護者、卒業生ら約1100人でぎっしり。応援団長の古川義人さん(2年)は「(選手と同じ)諦めない心で声を出す」とエールを送り続けた。 試合は次々に得点を奪われる厳しい展開。それでも、「1点取ろう」と大きな声援で選手を後押し。0―4の37分、山岸選手が待望のゴールを奪うとスタンドは総立ち。歓喜の輪が広がった。 2007年、初出場した時に主将を務めた桑名航さん(23)は「気持ちの入ったプレーだった」と選手をたたえた。仲村浩二監督の妻奈津江さん(36)も「感謝の気持ちを忘れずに戦った。お疲れさまと声を掛けたい」とねぎらった。
2012年01月08日日曜日
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