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「二重」解消 課題は多重…府市統合本部発足

大阪府市統合本部会議を終え、松井知事(左)と話し込む橋下市長(27日午前、大阪市住之江区で)=近藤誠撮影

 大阪府と大阪市の広域行政を一体化する取り組みが動き出した。大阪維新の会が圧勝した大阪ダブル選からまる1か月の27日に発足した府市統合本部。「二重行政」と指摘されてきた大型施設や水道事業のほか、地下鉄、都市開発、教育改革と、扱う分野は多岐にわたる。府市を再編する大阪都構想に向けて、橋下徹市長、松井一郎知事のかじ取りが本格的に始まった。

うめきた

 JR大阪駅北側のうめきた(梅田北ヤード)2期地域17ヘクタール。街づくりの権限は政令市である市が一元的に握るが、統合本部で検討することが決まった。橋下市長はこの日、「市役所の判断だけではダメ。府市合同でデザインを」と訴えた。

 橋下市長は「市民が憩う森に」として、府市共同で用地購入するプランを明かしている。ただ、購入費だけで少なくとも870億円との試算もあり、市の担当者は「費用の工面は簡単ではない」と話す。

 橋下市長が民営化を掲げる市営地下鉄、バスを統合本部で取り扱うのも、「大阪全体の都市戦略にかかわる」(維新幹部)との判断からだ。民営化の手法に加え、延伸や新規路線の整備についても協議する。

「無駄の典型」

 「無駄な二重投資の典型」との批判にさらされていた府市の水道事業を巡っては、橋下市長が知事時代、平松邦夫前市長と統合協議を進めたが、最終的に頓挫。府が4月に大阪市を除く府内市町村と「大阪広域水道企業団」を結成した。

 市は来年2月議会で企業団参加に向けた手続きをスタートさせ、2015年度に組織統合を実現する方針だ。橋下市長はこの日の会合で、「水道(統合)を成功させないことには、統合本部全体のイメージダウンになる」とねじをまいた。

 このほか、府市が別々に手がける公営住宅や病院、文化施設も一体運営の手法を協議する。府内市町村の消防組織も、大阪市消防局を中心に一体化し、「大阪消防庁」の創設を目指す。

維新案に異論

 維新が市議会、府議会に議員提案した教育基本条例案は、統合本部で改めて内容を精査し、来年2月議会に橋下市長、松井知事がそれぞれ首長提案する考えだ。ただ、維新案に対し、府教育委員が「学校現場の現実を無視している」と異議を唱えているほか、文部科学省も地方教育行政法に抵触する可能性を指摘。修正案策定の過程で調整が難航することも予想される。

 市立大、府立大は、新たな公立大学法人の下での一体経営を検討する。市教委が所管する特別支援学校(9校)、市立高校(22校)は、府教委への移管も協議される予定だ。市が大阪・中之島に計画する近代美術館についても、橋下市長は「節約してしょぼい美術館を建てるのではなく、知事と一緒に、大阪にふさわしいものにする話を進めたい」と話した。

2011年12月27日  読売新聞)
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