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国保保険料:15年度から都道府県単位に集約 政府方針

 政府は原則市区町村ごとに賄っている国民健康保険(国保)の医療費について、15年度から都道府県単位に集約し、市区町村が共同負担する仕組みに改める方針を決めた。24日召集予定の通常国会に関連法案を提出する意向で、最大2.8倍に達する同一都道府県内の保険料格差は縮小に向かう。ただし、高齢者が多い小規模の市町村は負担軽減につながる半面、都市部では保険料がアップする可能性が高い。

 自営業者や無職の人が入る国保の医療費は加入者の保険料と税金で運営される。病気になりやすい高齢者が多い小規模自治体は医療費がかさみ保険料も高くなりがち。国保全体の半数は赤字で、09年9月末時点で4分の1にあたる432団体は加入者が3000人を割り込むなど、運営が行き詰まりかねない。

 今も1人分が月に30万円を超す医療費は、同一都道府県の市区町村が共同負担している。高額の医療費がかかる患者がいると、小規模自治体では財政がパンクする可能性があるためだ。80万円を超すと国や県も拠出し、医療費全体の4割は共同負担で賄っている。だが、財政力や保険料には市区町村で差があり、東京都の場合、年額保険料の格差は千代田区(09年度11万3554円)と三宅村(同4万506円)で全国一の2.8倍に達する。他にも12道府県で差が2倍以上となっている。

 このため、政府は共同負担の仕組みを「30万円超」から「1円以上」に拡大し、全診療を対象とすることにした。各市区町村は加入者数と過去の医療費実績に応じ、拠出金を払う。拠出額の半分は加入者数に応じて決まるため、人口が少なく高齢化の進んだ郡部は負担が軽減される一方で、都市部は重くなる。都道府県の判断で、加入者の所得に応じた拠出も可能とする。

 厚生労働省は75歳以上の後期高齢者医療制度を国保に組み入れたうえで、都道府県単位に広域化する案を示しているが、野党の反対で暗礁に乗り上げている。共同負担方式の全面導入により、財政運営面では保険料水準などを除いて広域化が実現する。【山田夢留】

毎日新聞 2012年1月8日 11時23分

 

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