日本経済新聞

1月8日(日曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

コンテンツ一覧

深読み記事で知るセキュリティー

スマホのウイルス感染、大流行前夜 備えはあるか

(2/2ページ)
2012/1/8 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷
この記事をはてなブックマークに追加
この記事をmixiチェックに追加
この記事をLinkedInに追加

 ウイルスに対する脆弱さを抱えたスマホが爆発的に普及し、それを狙うウイルスが急増する――。スマホに関係する通信会社やセキュリティー会社の専門家の多くは、スマホのウイルス被害が表面化するのはもはや時間の問題と見ている。

 ひとたび被害が広がった場合、収束に向けて従来よりも難しい対応を迫られる懸念がある。スマホ向けのサービスは、主力となる通信回線を提供している携帯電話会社に加え、端末メーカーやOSの開発者を含め多様なプレーヤーが絡んでいるからだ。深刻な事態が広まった場合、解決に向け各プレーヤーが複雑な連携や調整を迫られることになる。

 現時点では潜在的なリスクにすぎないスマホのウイルス感染に対し、可能な備えはあるのか。

 総務省の研究会がまとめた中間報告では以下の3点を挙げている。

 第1はOSの更新だ。次々生まれるウイルスに対抗するため、スマホ向けOSは対策を講じたうえでバージョンアップをしている。古いOSのままだとウイルス感染の確率が高くなる。更新の案内が来たらすぐ更新すべきだ。

アンドロイド対応の主なスマホ向けウイルス対策ソフト
製品名提供元主なウイルス対策機能価格
(1年版)
マカフィー ウイルススキャン モバイルマカフィーウイルス検出、危険なサイトのブロック2980円
ウイルスバスターモバイル for Androidトレンドマイクロ不正アプリや危険なサイトのブロック2980円
エフセキュア モバイルセキュリティ for Androidエフセキュアウイルス検出とブロック、インストール済みアプリの通信制御3500円
ノートン モバイルセキュリティシマンテック不正アプリや危険なサイトのブロック2980円
カスペルスキー モバイルセキュリティ9 forアンドロイドカスペルスキーウイルス検出とブロック2625円

 第2は不用意にアプリをダウンロードしないことだ。アプリはスマホがウイルスに感染する主要ルートと考えられる。アプリのダウンロード時にはついつい、契約内容をよく読まずにOKボタンを押してしまいがちだ。しかし、よく読むと「全地球測位システム(GPS)情報を提供する」など、個人情報が漏れてしまう条件が記載されているケースもある。取り込む際には、こうした点にも目を通し、疑わしければダウンロードを避ける。提供元の信頼性もチェックすべきだ。

 3つ目の対策は、多少の出費を迫られるため、最終手段と位置づければよい。それはウイルス対策ソフトの活用だ。セキュリティー各社は11年に入り、相次ぎスマホ向け製品を発売した。通信会社経由で利用できるサービスも増えている。ただ、多くの商品が年間で数千円と安いとはいえないのが難点だ。

 スマホ向けウイルスでとりわけ注意を払うべきなのは、社員に端末を携帯させている企業だろう。

 社員のスマホがウイルス感染し、そのまま社内システムにアクセスすれば、情報流出などの被害を受ける恐れもあるからだ。

 企業向けにスマホに関するセキュリティー強化のアドバイスをするサービスが増えている。システム開発大手の伊藤忠テクノソリューションズが12月初旬にスマホ向けのセキュリティー対策の企業向けセミナーを開いたところ、想定の倍以上の申し込みがあったという。業種も商社・メーカー・小売……と様々。「11年に入って急にスマホのウイルス報告が増えだして、企業担当者も焦りをみせている」(企画開発部の望月祐幸氏)という。

 ソフト開発のクオリティソフト(東京・千代田)は12月、国内外すべての拠点で情報端末のセキュリティー状態を一元管理できるシステム「ISM 4.0i」の提供を始めた。スマホもPCも同時に管理可能。社員がウイルス感染の恐れがあるアプリをダウンロードしても、起動できないのでウイルスのまん延を防げるという。

 多くの日本企業が拠点を持つ中国や東南アジアでは日本以上にスマホの普及速度が高く、ウイルスの発見も相次いでいる。クオリティの飯島邦夫常務は「ウイルス感染の危険は世界規模で考えなくてはならない」と指摘する。

 ウイルス対策といえばパソコン――という時代は今は昔。従来の携帯電話と違い、スマホは「世界共通仕様」のOSを搭載している。世界中からウイルス攻撃を受ける恐れを持っているのだ。気づかぬうちに感染し、誰かに被害を与えてしまわぬよう、早急な対策が必要だ。

(電子報道部 岡田真知子)

「テクノロジー」の週刊メールマガジン配信中

人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷
この記事をはてなブックマークに追加
この記事をmixiチェックに追加
この記事をLinkedInに追加
関連キーワード

スマートフォン、OS、アップル、iPhone、マカフィー、ソースコード、伊藤忠テクノソリューションズ

【PR】

【PR】

深読み記事で知るセキュリティー 一覧

スマホのウイルス感染、大流行前夜 備えはあるか

 通信やセキュリティー会社が相次ぎ、スマートフォン(スマホ)を狙うウイルス(悪質なプログラム)の「新種」を発見したと報告している。スマホから勝手にメールを送信したり電話をかけて、他人の端末にウイルスを…続き (1/8)

図1 日経パソコン編集部に送られてきた偽メールの例。添付ファイルを実行すると、契約者番号や暗証番号、乱数表(暗証カード)の数字などを入力させる画面が表示される。同じような入力画面がある偽サイト(フィッシング詐欺サイト)に誘導する偽メールもある

従来と違う手口 銀行口座を狙うフィッシングが猛威 [有料会員限定]

 2011年夏以降、国内の銀行をかたるフィッシング詐欺が相次いで報告されている。特徴は、ウイルス(悪質なプログラム)を使って、インターネットバンキングサービスで利用する乱数表(暗証カード)などの情報を…続き (2011/12/5)

表1 同一のパッケージでWindowsだけでなくMac OSやAndroid向け対策ソフトを同こんする製品が増えている  *1:価格は有効期間が1年間の製品のもの(マカフィーは1ユーザー版)。パッケージ版は実勢価格、*2:登録ユーザーの所有機器のみ。

相次ぐサイバー攻撃、対策ソフトはクラウド連携で応酬 [有料会員限定]

 トレンドマイクロ、カスペルスキー、シマンテック、マカフィーの主要セキュリティソフトメーカー4社が、個人…続き (2011/11/4)

新着記事一覧

【PR】

sponsored by

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

日本経済新聞の公式ページやアカウントをご利用ください。

日経・JBIC 12/26更新

475.6 ▲+27.7 単位:円/トン

買気配442.0 売気配509.3

日経産業新聞 ピックアップ2012年1月6日付

2012年1月6日付

・インド攻略、トヨタの本気
・クオリティソフト、駐在員のスマホ一括監視サービス
・ショーワ、二輪車用緩衝器をインドとベトナムで増産
・横河ブリッジHD、橋梁の軸足耐震補強部材に
・資生堂、北米子会社から新ブランド
…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

関連媒体サイト

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について