■ 室蘭を新エネルギー拠点に―鳩山元首相インタビュー
【2012年1月7日(土)朝刊】


 民主党の鳩山由紀夫元首相が7日、室蘭民報社を訪れ、インタビューに答えた。開港140年市制施行90年を迎える室蘭市の活性化について、太陽光や地熱、風力など再生可能エネルギーの国内拠点を苫小牧と連携して目指すことを提案。東日本大震災の津波被害がなかった室蘭港を災害時に活用するシステムづくりと、環境産業都市としての成長戦略を強調した。

 環境産業都市・室蘭の展望については「風力発電の裾野は広く地熱と太陽光も有望。再生可能エネルギー基地として位置づけ、意識的につくり上げる発想が重要」と提言。カギを握るのは蓄電技術とし「自動車を凌駕(りょうが)する産業になると業界でいわれ、絵空事ではない」とした。

 実現に向けては「産業基盤の確立に向けた特区のような位置づけや、苫小牧との協力で日本全体の中でメッカにすることは十分可能」と強調した。

 港の活用でシップリサイクル事業は「世界の流れの中で国の法律や位置づけ、受け皿が必要。国の補助なしに静脈産業は育ちにくく、リーダーシップを取るべき」と述べた。

 震災で被害がなかった室蘭港は「災害に強い港と位置づけされたと認識している。危機の際に活用するシステム構築が必要。投資し取り組むべき」とし、アジアや北米を結ぶ安全で安定した港として「優位性をPRすれば芽が出る」とした。

 調査が進む未着工の白鳥新道2期工事は「室蘭地域は医療が充実している。黒松内からも救急搬送があり、命を守る道路の位置づけで全体を健康のマチとして開発してはどうか」と提案。着工に力を尽くす考えを示した。

 国政では野田佳彦首相の消費税増税方針について、「解散含みではあるが、党の分裂は民主党を作った張本人として耐えられない。極力避ける努力をする」考え。

 石油精製能力削減を検討するJX日鉱日石エネルギーが、国内8カ所の製油所の一部を石油化学製品工場への転換を検討している点については「室蘭に決まったわけではないが、石化は裾野の広い業界。転換となれば地域への影響はなく、雇用もマイナスにならない」との認識を示した。

 国内で原子力発電所が定期点検などで停止する状況の中「石油に対する依存度は高くならざるを得ない。決して(製油所廃止など)悲観的に申し上げるタイミングにはない」とし、資源エネルギー庁と連携を密する考え。

 今年一年を「地域のみなさんの気持ちに応える年にしたい」とし、「外交面で人脈を生かし野田政権を助ける意味で役立ちたい。北方領土問題にも尽くしたい」と述べた。
(粟島暁浩)




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