米国の新たな国防戦略をめぐり、韓国国防部(省に相当)のイム・グァンビン政策室長は6日の記者会見で「在韓米軍の戦略には全く影響がないため、韓半島(朝鮮半島)の防衛公約にも何ら変化はない」と述べた。だが、米国が国防費の大幅削減や、米国陸軍・海兵隊兵力の縮小、大規模地上戦の回避といった方針を打ち出したことにより、韓国は有形・無形の追加負担を強いられるとの見方が強い。
まず、今後の地上戦に関しては事実上、全面的に韓国軍主導で行われるとの見方が出ている。米国の新国防戦略報告書は「米軍はこれ以上、大規模かつ長期間にわたる安定化作戦の遂行にとらわれないだろう」としているからだ。米軍は今後、主な戦争で友好国を支援する際、大規模な地上軍を投入するのではなく、海軍・空軍主体の遠距離精密打撃による支援に集中することで、米軍の人的被害を最小限に抑えたいと考えているようだ。
こうなると、韓半島有事の際の「作戦計画5027」に基づく米軍兵力の69万人派遣は、事実上不可能になる。69万人という兵力は、北朝鮮が全面戦争を仕掛けてきた場合、これを阻止して清川江付近まで攻め込み、北朝鮮政権を打倒するのに必要とされる数字だ。現在の米軍の総兵力(約140万人)などを踏まえると、非現実的と指摘されてきたが、今回の米軍の削減計画により、69万人の増援はいっそう困難になった。
米国の国防戦略の変化に加え、4年後には戦時作戦統制権の移管(2015年12月)も迫り、北朝鮮の非対称戦力に対応できる精密打撃武器や情報・監視体制の強化についても、早急な対応が迫られる。現在、韓国軍は戦略情報のおよそ95%を米軍に依存している。
韓国軍の関係者は「精密打撃や情報・監視体制の強化には、膨大な予算が必要。米軍が即座に該当戦力を縮小するとは考えにくいが、体系的な対策を練るべき時期にきている」と指摘した。