『Kの夜話』(8)
如月マヤ
「ほら、また何か別のこと考えてるだろ?」
そう言って笑うと、米原は机の上に広げてあったノートに手を伸ばした。
「おっと、うっかりしてた。俺としたことが、こんなところにノートを置き忘れていたなんて。相談内容の記録なんだよな、これは」
今度はKが笑う番だった。
「ヨネさん、わざとらしいですよ。最初っから、わざわざ机の真ん中にノートが広げてあったしさ。それに、ヨネさんはコーヒー買いに行ったまま、なかなか戻ってこないし。僕にそのページを読めといわんばかりじゃないですか」
「で? これ、読んだのか?」
「いいえ。ここに座っていたら、たまたま見えちゃいました。自分からは読んではいません」
「そうか。たまたま見えただけなんだな。読んでなければ、それでよし」
Kは吹き出した。
「ヨネさん。今の会話もわざとらしいですよ」
「ま、事実確認というやつだ。それにしても、おまえも飲みこみが早いよなあ。じゃ、さっそく本題に入ろうか」
「もしかして、ヨネさん、独り言でも喋るつもり? で、僕は、たまたま聞こえちゃったということにするとか?」
「そんなまわりくどいことなんか、しないよ。俺、そういうの苦手だからさ」
だろ? という目でにっと笑う米原に、Kも笑った。まわりくどいことをしても、たいしていいことはない。それはKがいちばんよくわかっていた。
米原の説明によると、ある男の捜索願が出されているのだそうだ。一般家出人ではなく特別家出人の届け出だった。そこで、男の身辺でトラブルがなかったか、生活安全課の資料でも手がかりを調べたところ、その男について苦情が寄せられていたことがわかった。男の名は土井剛弘。四十一歳、独身。宅配会社の営業所で、配送のアルバイトをしている。
「十年ほど前に父親が亡くなって、現在、六十七歳の母親と同居。妹あり。土井の妹夫婦は隣町に住んでいる。当夜、母親が土井の妹宅に泊まりに行っていたため、行方不明が発覚したのは翌日の夜になってからだった」
「特別家出人ということは、何か事件性があったってことなのかな?」
米原は頷いて、先を続けた。
「営業所の話だと、朝、土井が出社してこなかったので自宅に電話をかけたけれど、誰も出ない。携帯も電源が切られていたそうだ。自宅に訪ねてみたところ、営業車もなくなっていた」
「営業車? 会社の車を自宅に?」
「母親によると、土井は、自分の車を売り払っていたんだな。職に就いても長続きしないらしくて、この年まで親の金に頼っていたようなんだけど。自家用車を維持するのも大変だったんだろう。親戚の口添えで今の営業所に雇ってもらったとき、所長が、生活の立て直しができるまで、会社と自宅の往復にも営業車を使っていいと言ってくれたんだそうだ」
「都会と違って、ここは田舎だもんね。車がなくちゃ生活できないし。でも、配送の車って、けっこう大きいでしょ?」
「ワンボックスだった。横幅の狭いコンパクトなやつだから、自宅に置いても問題はなかったみたいだけどな」
そのワンボックスカーは、土井の担当区域内では見つからなかった。担当区域には別荘地が含まれていたが、土井の車が見つかったのは別荘地の外れからさらに先の、県境の山林の中だった。
(続く)
行方不明者って…。
CHOサスペンスです。
マヤさんは、小説を本にはしないのですか?
今までのもまとめて。
なんか映画化されないかなぁ…とか思います(笑)
私にはまだ解らない事だらけで、お恥ずかしい限りです。
質問なのですが、個人ワークの枠はもう埋まってしまわれたのでしょうか?
もし、空きがあるようでしたらお願いをしたくコメント
させて頂きました。
どうぞ宜しくお願い致します。
オフィス・マヤのワークから、このブログの右側欄にお知らせ記載の依頼があった時に、記載して協力しています。
お知らせ記載が出たときに
ご連絡をさせて頂きます
ありがとう御座いました。
米原のノートも気になります。
前書かせていただいたお寺探しでの夫のアカシックレコード調査は
思い込みと形だけを受け取っていたので、マヤさんのご指摘通りに順序を組み立て直してから再調査しています。
今度は全然違ったお寺の名前がダイレクトに彼の口から出てきました。
そして調べてみると夫の見えたものや感じたものとを組み合わせて行くとなかなか面白い結果が見え始めました。
最近では『何事も順序が大切!』と家訓になっています。
……って、いったい誰に図々しいお願いをしてるんでしょうか、私。
マヤさんの小説は頭の中で映像化しやすいので、読んでいてとても楽しいです。毎度無料で読ませてもらって恐縮です。ありがとうございます。
米原…私の中の勝手なイメージでは、彼はかなり男前です!(笑)
もっと面白く、もっと上手に書きたいと、毎日思っています。
でもやっぱり映画化されたら嬉しくてCHOテンション上がります(笑)
ヤさんでも、“上手くなりたい”と思うんだ…と思いました。
つづきを楽しみにしています!
11時からの回でお世話になった者です。
ワーク終了後、喫茶店に入り、自分が体験したことや感じたこと、
マヤさんに教わったことを思い返しながら3時間くらいノートに
向かいました。すごく貴重な体験になりました。
ワーク中のことを思い返しながら気づいたことがありました。
もしよかったら教えていただけますでしょうか。
私は、人生の起点では特に感情とか感覚とかを感じなかったと
お伝えしてしまいましたが、自分の目の前に道がスーッと
現れたとき、私は「うわぁーーーーーーーーっ!!!」と思い、
嬉しいような楽しいようなワクワクした気持ちを抱え、喜び勇んで
ものすごい勢いでその道へと飛び込んでいきました。
これって、私の魂の性質と思っていいのでしょうか?
自分では、すごくそんな感じがしています。
今まで本を読んでもまったく理解できなかったあることが、今日の
マヤさんのお話を聞いているうちに一瞬でストンと腑に落ちました。
大事なことに気づいたり触れたりすると、スーっと涙が流れるのですね。
頭でも体でも心でも理解できた合図が「涙」のような気がしました。
マヤさん、目がキラキラしていて素敵でした。
今日は、素晴らしい機会をいただきありがとうございました。
それそれ!まさしく、それです!
アイさんがそれを体感しているときに、私はアイさんのいちばん側にいさせてもらいました。言葉にできない、感動のひとときでした。ありがとうございました。
お聞きしてみてよかった〜。
お陰様で、自分の魂を可愛らしいと思えました♪
このエネルギー、大切にしていきます。
マヤさんにお会いすることができてよかった。ありがとうございました。