『茶粥仙人』〜〜「Kの夜話」より〜〜
如月マヤ
川村某は、友人から茶粥の作り方を教わったのである。一人暮らしの気楽さながらも、米と鍋だけはあったから、酒が過ぎた翌日には茶粥を作って重宝していた。
しかし、ひとつだけ気にかかることがあった。鍋を火にかけ湯が煮立ってくると、決まって背後に現れる者がいるのである。川村某には、後ろを振り向かずとも、なぜかその者の姿が見えた。渋い茶色の和装を身につけた、かくしゃくとした爺さんである。爺さんは背後からいちいちうるさく口を出す。やれ米の研ぎが足りないの、昆布が大きすぎるのと、口やかましい。
川村某は、他人から指図をされるのが大嫌いなたちである。負けた気がして嫌なのだ。心の底ではいつも他人を見下しているからなのだと、気がつくでもない。そこそこ頭のいい男であったから、相談をもちかけるふうをして上司や同僚と会話を弾ませることもできた。しかし助言を受け入れるはずもないから、いずれ職場で取り残されるのは時間の問題であった。
そのうちに川村某は、それはいかんと止める爺さんをいいかげんにあしらって、炊いて余った飯を湯に投げ込み、手早く茶粥を作るようになった。自分流ができたと得意になった川村某は、いつの間にか爺さんが現れなくなったことに気がつかなかった。
ある日のこと。川村某は、もっと早く煮えるようにと、茶粥の鍋に蓋をしたのである。突然、あの爺さんが背後に現れた。
「茶粥は粥にして粥にあらず。茶粥なり。」
爺さんはおもむろにそう諭すと、「蓋をしてはいかん」と言葉を残して姿を消した。
後日。
酒を飲み過ぎた翌日が休みであったから、川村某は昼頃になってから起き出した。無性に、うまい茶粥が食べたくなった。とかくこういう人間にありがちなことだが、川村某も、うまいものを食いたい、うまい思いをしたいという欲だけは人一倍強いのであった。今日は時間もあることだし、二日酔いの身体をゆっくり動かそうと、最初に友人から教わった作り方で茶粥を作り始めた。
そうしながら川村某は、あの爺さんが口やかましく言っていた、米の研ぎかげん、湯の量、昆布の大きさから茶の煮出し方まで、みな思い出していた。初めて、爺さんの言っていた通りの手間をかけて作ってみる気になった。そして出来上がった茶粥の味は、これほどうまいものはないと思えるほど、胃の腑にしみわたる美味だったのである。
茶粥を教えてくれた友人にこれを話したところ、友人は川村某に向かって、くすりと笑っただけであった。
川村某は今でも時々、あの爺さんにまた茶粥を教わりたいと思うことがあるが、爺さんが現れることは二度となかった。
(終)
「これほどうまいものはないと思えるほど、胃の腑にしみわたる美味」な茶粥って、どんな感じなんでしょう。
茶粥って見たことも食べたこともなかったので、思わず検索してしまいました。
茶粥仙人、そんなお茶目な仙人にお会いしとうございます。
けれど、ほとんどお茶の葉とお米だけ。
最後に塩っていうのもありましたが・・・やっぱり決め手は昆布に違いない!!!(^^*
あ・・・お話の趣旨から外れてしまって申し訳ありません。
マヤさん、私帰宅した途端に熱出して寝込んでしまって(笑
けれど今回はちゃんと病院からの薬を飲みましたとも(エッヘン♪
更には本山さんの漫画アカシックレコードリーディングが届いていて凄いタイミング!
読んだら更に五臓六腑に染み渡り過ぎて・・・・いやまぁ恥ずかしぃぃ〜(汗)
主人公・・・いや私の方が質悪かったかも(〜〜;
個人的な話ばかりで申し訳ありません。
新刊楽しみにしております〜!
あ、アカシックレコードリーディングの2巻はまだ予定ないのでしょうか?
シンプルでも丁寧に作られたものは、心にも身体にも「しみる」のかもしれませんね^^
本山理咲さんの漫画は「感じて、わかる」という感想が多く、おかげさまで好評だそうです。
2巻目はゆっくり進行中なので、お待ちいただく間、よろしければ、『ハッピーエンドではじめよう』(芳文社)、『オクラホマミキチャン』『たびいぬ』『妖怪のたまご』(本山理咲HP)などもおすすめでございます。(盛大に宣伝)
浅草寺は臥龍山ではなく、金龍山でございますよっ(^^
金の龍の舞を見られる日もあります〜。
浅草寺は、とても龍の神様ともご縁が深いようです。
Mishaさん、教えてくださってありがとうございますっっっ!!!
またマヤさんの小説が読めて嬉しいです。
そして、素敵な本山理咲先生の『ハッピーエンドではじめよう』を教えて下さりありがとうございます。
色々と自分のカラダや時間の大切さや自分の生活が如何に見えない沢山の人達に支えられているかを痛感しました。
おかげ様で猫が好きになりました。(笑)
茶粥仙人
そう、そうなんだよなと思いながら読ませていただきました。
私も世間知らずのお嬢様(苦笑)なので、川村某の気持ちもよくわかります。
感情に流されて、大切なものを手放す。
時間が経てば、どれだけ周りが気遣って言ってくれているのか解るのに…。
冷静に意見を聞けない自分が情けないです。
どんなに自己啓発とかスピリチュアルの知識があっても、実際コミュニケーションに活かされなくては意味がないのに、ついつい逃げてしまう癖。
どうにかしたいものです。
自分をどうにか「する」努力は、する価値があります。
メリットも快感も大きいので、くせになりまっせ〜!
ありがとうございます。
コメント読ませていただいて、今できることを!と精一杯もがき中です。(笑)
『お金持ちになる生き方』買いました☆
私にもまーちゃん欲しいなと思っていたら、お茶碗と湯呑に既にいました(笑)。
合言葉を言いながら、お財布とお金をなでています。
気分がスッキリ!しました。
『お金大好き!お金LOVE』って
これからは素直に、正直にお金に伝えられそうです!
ありがとうございました。
スッキリすぱっと、お金LOVE!!