北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去を受け、韓国で総書記のそっくりさんとして活動する金永植(キム・ヨンシク)さん(61)に「お悔やみ」の電話がかかっている。10年以上にわたり総書記役で映画やテレビ番組に出演してきただけに、突然の死去にショックを受けたという。
ソウルではんこ屋を営む。「総書記に弔意を表したいって言う電話には、『俺が弔意を受けるから店に来い』って答えてるんだ」。地方のイベントに出向くと、「死んだ人が生き返った」と驚かれた。
1990年代から総書記のヘアスタイルやしぐさをまね、注目を集めた。日本のテレビ局にも来たことがある。「これで仕事がなくなると言う人もいたけど、(後継者の)金正恩(キム・ジョンウン)氏のそっくりさんが出てきたら一緒に出演したいね」
北朝鮮の問題にデリケートな韓国で、総書記のまねをすることに心配する声もあった。それでも続けてきたのは、南北統一を願う気持ちを伝えたかったからだ。総書記と会う夢はかなわず、「自分が死んだようにさみしいよ」。(ソウル=広島敦史)